時代は変わる新星「田村屋」の味

 ボブ・ディランではないが「時代は変わる」。寒風の中、行列に並んで食べた超有名店「万里」の味に少々がっかりした彦作村長。佐野ラーメンは村長の好きなラーメンだが、メディアにひんぱんに取り上げられることと実際にその評価に値する味かどうかは別物だ、ということを改めて確認させられた。普通に食べて「万里」はうまい店であるとは思う。だが、1時間待つほどの味ではないというのが村長の個人的な評価である。

「老舗」が「老舗」であるためには、最終的には経営者=作り手の職人意識がカギだと思う。これが根っこにあるかどうか。彦作村長は日を改めて、再度、東北道を佐野へと向けてポンコツ車を飛ばした。目指すは今現在、約200軒ある佐野ラーメン店で最も評価の高い店の一つ「田村屋」。


          田村屋12 
          平日なのにこの行列

「田村屋」は約7年前にオープン、佐野ラーメンの伝統を受け継ぐ青竹ラーメンで、しかもその味がきわめてレベルが高いと言われている。化学調味料に頼らない作り方というのも「志の高さ」を感じる。到着したのは午後1時ちょっと前。平日だというのに10人ほど並んでいた。ここも行列か。少々うんざりしながら、25分ほど待たされて、ようやくテーブルに着いた。

「万里は老舗だけど、ここは7年の歴史しかない。それで食べログなどでもベスト3に入っている。今佐野でもっとも人気の高い店というわけね。食べログの評価もそのまま信じると間違う。しっかりチェックしなきゃ」
美熟女の村民2号の鼻息が伝わってきた。

          田村屋③ 
          舌代が良心的

メニューの中から「ラーメン」(580円)と餃子(一人前3ケ280円)をチョイス。ざっと店内を見渡すと、テーブルが4つ、それに座敷。ゆったりしている。厨房にはお決まりの黒いTシャツ姿の男性が2人。頭に白いタオルを巻いたスタイルはどこか山岸一雄のよう。やや長めの15分ほど待っていると、「ラーメン」がやってきた。続いて餃子。餃子は1個がかなり大きい。一人前3個で280円という値段設定はかなり良心的だと思う。

          田村屋⑤ 
          チャーシュー麵ではありません
          田村屋⑨ 
          デカ餃子の実力

ラーメンはひと目見て気に入った。醤油ベースの透明で奥行きのあるスープ。大きめのチャーシューが3枚。それにシナチクとナルトとホウレンソウ。刻みネギ。その下に控えている麺は、まさに佐野ラーメンの伝統の平打ち縮れ麺。それがつややかに「おいでおいで」をしているよう。やっぱりラーメンにはナルトがなくちゃ。ここに海苔があれば言うことないんだが。

まずはスープ。一瞬、薄い味と感じたが、じわりじわりとまろやかに口中に広がってくる。この柔らかな奥深さは何だ?きれいな脂がうっすら浮いている。多分鶏ガラを中心に鰹など魚介類からのダシだろう、相当な熟練のワザを感じてしまった。

         田村屋⑥ 
         スープに感心
         田村屋⑦ 
         麺にも関心

「うまい。麺もヒラヒラしているようでコシがしっかりしている。私が食べた中でもこれはトップクラス。待ち時間はどうにかしてほしいけど、チャーシューも柔らかいうえに肉汁がジワジワくる。全体的にここは人気と実力が合致していると思うわ」

辛口の村民2号が高評価。以前食べた佐野ラーメンの進化系「ゐをり」も高評価だったが、青竹を使わない手打ちラーメンという新しい流れに挑んでいる。その意味では田村屋は佐野ラーメンの伝統線上にある正統派の新星と言えるだろう。

村長もこの味なら行列に並ぶのも仕方がない、そう思った。ただし、1時間以内。それ以上待つとぎっくり腰が悪化して再起不能になってしまうぜよ。麺は時間が経ってもぶよぶよ感がない。麺打ちに手抜きがないのだろう。奥行きのあるさり気ないスープとの相性がいい。チャーシューは豚バラだが、ほどよく煮込まれていて、脂分が気にならない。その柔らかい肉のうまみの味わい。これで、580円というのは好感が持てる。

          田村屋13  
          むふふなチャーシュー
          田村屋10 
          イケてる

餃子も皮から手づくりしているのがわかる。モチモチした皮と野菜が多めの、重層的な味わいはかなりのレベルの高さ。
「こういう店が出てきていることが佐野ラーメンの凄いところね。新しけりゃいいというものではないけど、人気にアグラをかいている老舗の人気店にとってもいい刺激になると思うわ」
「ビジネスと職人意識のせめぎ合いってことかな。田村屋がこれからもこの志しを忘れないことを祈るよ」
村長と村民2号は自分たちのことを棚に上げて、外に出ると、すこんと広がる青空の下、野良猫のように背伸びをするのだった。


本日の大金言。

ボブ・ディランの「時代は変わる」が世界中の若者の心をとらえたのは1960年代。その後、時代は変わったが、世界は変わらなかった。


                     田村屋11 




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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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