B級の極致か、ゼリーフライの人生

映画 「のぼうの城」の大ヒットで、ゼリーフライとともに埼玉・行田市が一躍脚光を浴びた。何せ近隣の映画館では未だにこの映画を上映中である。行田市民は原作者の和田竜に足を向けては眠れない。足袋(たび)を履いたままてもいいが、なんてね。

彦作村長は以前、行田名物のゼリーフライを取り上げたことがある。ポンコツの愛車を吹っ飛ばして「のぼうの城」を見た後にゼリーフライなるものを食べに、地元でも評判の「かねつき堂」に立ち寄った。ゼリーフライは人気テレビ番組「秘密のケンミンSHOW」などで取り上げられ、その名前と実物のあまりの落差のために、行田以外の人々に衝撃を与えたB級の食べ物である。

         行田① 
         さきたま古墳群の梅

久しぶりに「さきたま古墳群」までポンコツの愛車で遠征した彦作村長は、きれいな梅並木を見ながら、行田に来たからにはやっぱりゼリーフライだろう、そう思った。以前食べた「かねつき堂」(1個100円)のゼリーフライは意外にもおいしかった。恥ずかしい話だが、それまではお菓子のゼリーをフライにしたものだとばかり思っていた。ではなくて、おからとジャガイモをメインにネギやニンジンなどを加えて鉄板で焼いたもの。形が銭の形そっくりだったことから銭フライ→ゼニフライ→ゼリーフライとなったという。それは見かけも味もまるでコロモのないコロッケのようだった。

今回は有名店ではない、ごくフツーのゼリーフライを食べたい。そう思って、街行く人に聞き回った。その中の一人があまり有名ではない「ときわ」を教えてくれた。B級グルメとウマズイ味わいの合致を求めて、村長は20分ほど市内をウロウロしてから、ようやく「ときわ」を探し当てた。もともとは「ときわ肉店」という肉屋さんで、現在は「やきそば&ふらい」という看板。行田市の商工観光課が発行している「フライ&ゼリーフライ」マップにも掲載されている店だった。

           ときわ① 
           いい雰囲気である

駐車場がわかりにくかったが、壁は高いほどいい。ややわびしげな外観がいやがおうにも期待を高めてくれた。うまいでもないマズイでもない、ウマズイ味わい。そこに作り手の山あり谷ありの人生がぎっしり詰まっていればさらにいい。儲けりゃいい、だけでは薄っぺらで悲しすぎる。

時刻が3時過ぎだったせいか、お客は他に一人しかいなかった。メニューは行田独特のフライ(お好み焼きのようなもの)とゼリーフライなど数種類のみ。なぜかもつ煮(1皿200円)もある。この店はフライの評判が高いが、村長は目的のゼリーフライ(1個80円)を注文した。村民2号も「1個だけなら」と同じものを注文した。村民2号は「かねつき堂」には行っていないので、ゼリーフライは初体験。注文してから作っているらしく、いい匂いが厨房から漂ってきた。待つこと10分ほど。まるで大きめのコロッケのようなゼリーフライがやってきた。最後にソースにくぐらせるようで、昔の駄菓子屋のような温かい匂いが皿から立ち上ってきた。

          ときわ④ 
          ジャーン、これがゼリーフライ

「本当にコロッケみたい。おからとジャガイモが2対1の割合で、ネギとニンジンも入っているわ。言われなければコロッケと勘違いしそう。これは私は好きな味だな。メチャウマではないけど、どこか懐かしい味。おやつにはいい。行田の人は昔からこれをゼリーフライと呼んで普通に食べていたのね。ウソみたい(笑い)」

村民2号の言葉に無口な店主が反応した。
「そうなんですよ。他の地域もみんなボクらと同じようにゼリーフライを食べてると思ってましたからね。テレビで話題になって、それがフツーじゃないとその時にようやくわかったくらいなんですよ(苦笑)」

        ときわ⑥ 
        コロッケではない
         ときわ⑦ 
         おからとジャガイモ

村長もしみじみと賞味する。おからとジャガイモがミックスしたかすかな甘み。店主の人生の塩分。かねつき堂が大関の味なら、ここのゼリーフライはカド番の関脇の味だろう、そう思った。だが、とさらに思う。80円という安さと店全体に漂うある種のわびしさがいい味付けになっているのではないか。これだ、これはウマズイ味わいそのものではないだろうか。B級グルメの一方の極致かもしれないぞ。なぜかホロリと涙が出かかった・・・。

帰りに手土産に別売りの「メンチカツ」(1個70円)を3個買ってウマズイめんくい村に持ち帰った。それが予想以上にうまかった・・・・。


本日の大金言。

人生はスターばかりでは成り立たない。いぶし銀の脇役があってこそで、その魅力に気づくか気づかないか。そこが分かれ道である。



                    ゼリーフライ① 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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