赤坂で見つけた「70年代のオムライス」

 久しぶりの赤坂! 彦作村長は友人でもある気鋭のジャーナリストの研究発表会に出席した後、寸詰まりとなった旧赤坂プリンスホテル本館を横目にしながら、TBS方面へと散策に出かけた。ちょうど昼飯時。赤坂は流行に便乗した高い店が多いが、じっくり探せば、安くて渋い店もある。

一ツ木通り周辺をウロウロしながら、どの店に入ろうか、あれこれ思案していると、村民2号が「久しぶりにオムライスを食べたい」と言い始めた。赤坂には洋食屋も多いが、有名店のオムライスは1500円とか2000円とかとにかく高い。日本橋の「たいめいけん」がチキンライスの上に乗っけたオムレツを中央で割って、まるで溶岩のように、ふわとろの中身が流出する形を作ってからというもの、オムライスはそれまでの下町の庶民の味から、高級洋食へと変身してしまったと思う。ちなみに「たいめいけん」のオムライスは1650円である。

          橋の下① 
          70年代オムライスの世界へ

彦作村長はハタと困った。村の財政事情から言っても、せめて1000円までの予算。安くて美味い、がB級グルメの基本である。歩き回ること約20分。さすが赤坂である。流行に流されるだけの街ではない。「セットメニュー ポークソテー900円 オムライス900円」というブラックボードが目に飛び込んできた。店は地下へと続いていて、ニューヨークの裏通りにありそうな、いい雰囲気が漂っていた。「CAFE&BAR&GRILL 橋の下」という店名。カフェとバーとグリル! 何というクールなコンセプトだろう。
赤坂にこれ以上の店はない。彦作村長はそう確信した。

店は1975年頃に創業、約38年ほどの歴史があり、JAZZバーとしても、赤坂界隈では知る人ぞ知る店だった。昼はカフェグリル、夜はジャズバーというのが現在の立ち位置であるようだ。黒をベースにした店内は横長のスペースにテーブル席とカウンター席がある。流れているBGMはもちろんJAZZ。驚いたのは客のほとんどが煙草をぷかぷか吹かしていること。灰皿も置いてある。まるで1970年代のような大人の雰囲気なのだ。

         橋の下④ 
         正統派オムライス!

さっそく「オムライスのセット サラダ、コーヒー付き」(900円)を注文した。カウンターの向こう側が厨房になっていて、マスター(コック?)が手慣れた熟練のワザで忙しそうに料理を作っている。グリルというのもうなずける。店内はほぼ満員。隣の客のポークソテーが実に美味そうで、オムライスへの期待も高まらざるを得ない。待つこと15分ほど。見事なオムライスがやってきた。流行のふわとろではない、正統派の下町のオムライス! 卵は2個は使っているだろう、黄色い夢のような世界が楕円形に整えられている。その上にはデミグラスソースではなく真っ赤なトマトソース。これだこれだ。

         橋の下⑥ 
         ふわとろなんて
         橋の下⑦ 
         絶妙なバランス

「うまそうね。懐かしいオムライスと出会えるなんて」
村民2号もケチャップのように表情が紅潮している。村長も鼻血が出かかる。ほとんど谷岡ヤスジの世界。
スプーンを入れると、中からいい匂いとともに、チキンライスが「むふむふむふ」と顔を出してきた。グリーンピースの鮮やかなこと。口に運ぶと、卵とチキンライスとケチャップが三位一体となって、味覚の粘膜という粘膜をくすぐってきた。甘酸っぱくて懐かしいあの洋食の味! 

         橋の下⑧ 
         赤と緑の出会い
         橋の下⑨ 
         コックの腕前

「場所が赤坂ということを考えると、このオムライスには星三ツあげたいな。ちょっと残念なのはチキンが少ないことかな。それとマッシュルームも欲しい。それ以外はサラダもコーヒーも美味いし、私は満足よ」
「煙草がダメな人はやめた方がいいけど、喫煙オーケーというのも店のポリシーを感じる。村長は煙草はやめてしまったけど、大して気にならないよ。それ以上に、この店にはバブル以降に失われてしまった大事な何かがある。そんな気がする。また来たいよ。今度はポークソテーを食べてみたい。それとここは夜もいいだろうな。赤坂の夜は更けて、の世界を満喫したいよ」
地上は真昼なのに、ノー天気な会話はいつまでも続くのだった。



本日の大金言。

赤坂はTBSの街でもある。ギョーカイ人も多い。その分、探せば路地裏などに小さくていい店も残っている。韓国料理と流行のラーメン屋ばかりではない。



                    橋の下12 








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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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