アキバに江戸の立ち食いそば屋

 今ではどこにでもある「立ち食いそば屋」。もともとは江戸時代の屋台そばにルーツがある。落語の定番でもある「時そば」も屋台そばが話の舞台となっている。手軽で安い、というのが立ち食いそばのポジションだが、江戸の昔の面影を感じさせる立ち食いそば屋がアキバにある。電気街、オタクのメッカ、AKBの出発点。そのアキバの中に、立ち食いそばファンの隠れメッカが・・・。

          二葉11  
          ただの立ち食いそば屋じゃない

三井記念病院の途中にある「二葉(ふたば)」だ。入り口からして、雰囲気が違うのがわかる。「江戸茶」のノレンに白字で「そば処 味の店 二葉」と染め抜かれている。それがこれ見よがしではなくさり気ない。江戸しぐさの伝統。木の引き戸。入り口には寄席の演目のように「アサリかき揚げ 150円」「貝柱かき揚げ 150円」「かけ 250円」「木くらげ 100円」などと書かれた白札が掛けられている。メニューからして江戸の延長線上である。

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         立ち食いそば界の歌舞伎座?

彦作村長は宮仕え時代に三井記念病院へ何度か通っていたので、いつもこの店が気になっていた。調べてみると、創業は昭和42年(1967年)ごろ。ごろと書いたのは、ここの女将さんがご主人と始めた正確な日時を覚えていないからである。老舗の有名チェーンの「名代富士そば」の原点の立ち食い屋が渋谷で産声を上げたのが昭和41年(1966年)だから、ほとんど同じ時期に当たる。約45年ほどの歴史だが、東京でもかなり古い歴史の立ち食いそば屋だとわかる。

立ち食いそば屋の必修アイテムでもある自販機も置いていない。木の引き戸を開けて中に入ると、団十郎茶(柿色)の見事なL字型の木のカウンターが無言で「らっしゃい」。その質素できれいな照りが江戸の面影を感じさせる。椅子がない。本当の立ち食い。給食おばさんのようなお方が2人。その一人が女将さんだった。

         二葉④ 
         いよっ、助六の登場

かけそばに「貝柱かき揚げ」と「木くらげ」を注文する。合計で500円ナリ。立ち食いそば屋でこういうメニューは初めての体験である。ここは「アサリのかき揚げ」も目玉である。2~3分で大きめのドンブリに黒い木くらげがどっさり乗ってやってきた。赤唐辛子をかけると、助六登場のよう。刻みネギが新鮮でこちらもどっさり。「貝柱のかき揚げ」もかなりデカいのに、木くらげと刻みネギに隠れてしまっている。何というボリューム。

         二葉⑦ 
         貝柱のかき揚げと木くらげとネギ

そばつゆは濃いめで関東だが、鰹の出汁と返しのバランスが効いていて、見た目よりもやさしい味わい。添加物の匂いがしない女将さんによると「毎日、しっかり作っているんですよ。割に合わないけど」。そばは残念だが茹でめん。量も多い。それでもしっかりした茹でめんで悪くない。貝柱のかき揚げはタマネギが多めで貝柱は少ない。木くらげの食感が全体のバランスをとる上で意外な効果を演じている。つゆがそばの量と比べて少なめなのが気になるが、かなり熱い。それも江戸風で、ふうふう言いながら食べ終えると、お腹の底から「ああ食ったァ食ったァ」という言葉が自然に漏れてきた。

         二葉⑨ 
         茹でそばとは思えない

ここで気を付けなければいけないのは、早めに食べること。時間を置くと、かき揚げは崩れてきて、そばはゆるくなってくる。そばをのんびり食うなんて冗談云っちゃあいけないよ。村長はそれが江戸っ子の長所でもあり欠点でもあることを思い出して苦笑するのだった。



本日の大金言。

頑なに味と風情を守り続けること。消費社会でこの一点を守り続けることは大変なことだと思う。立ち食いそば界の団十郎に拍手を送りたい。



                    二葉10 
 
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落差がありすぎ

先日のシャトーぺトリュスは反則だよ。一本何十万もする高級ワインを出してくるとは、そりゃないぜ。B級の看板が泣くというもんです。嫉妬とひがみも混じっている。

で、今回は立ち食いそば。秋葉原は私の会社があるところで、ここにそんな店があることすら知りませんでしたよ。赤羽村長の落差が凄すぎ。それがあなたの魅力かもしれないが(笑い)。マジで一度、顔が見てみたい。本当に阿呆顔なのか。どこかで村の会を開いてはどうか。村民になってやってもいい。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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