黒焼きそばは坂本冬美とガガの味?

 「安くてうまくて、ちょっと変わったB級の麺類ある?」
彦作村長の謎かけみたいな、無茶な要求にベコちゃんは百万ドルの笑顔で答えた。
「村長みたいな変なメニューでよかったら、ありますよ」
とある日の夕暮れどき、とある駅前のこじゃれたカフェバー「veco cafe」。
オーナー兼料理人のベコちゃんが妙にきっぱりと言った。

村長みたいな変なメニューという表現は気になるが、待つこと10分。

出てきたのが「黒焼きそば」(680円)だった。イカの墨を使った真っ黒スパゲティは今や定番となっているが、黒い焼きそばは初めてだった。上に目玉焼きがドンと載っている。


         黒焼きそば(ベコの店) 


「何これ?」

「村長、知らないんですか? 遅れてる~(笑い)。東村山が開発したんですよ。イカスミと鹿児島の黒酒をブレンドしたソースを使った焼きそばで、東村山ではすごい人気なんですよ」
とベコちゃん。ベコちゃんはまだ20代で、鹿児島出身のかわいい系。農業大学を出て、得意の料理の腕前を生かして、パートナーと一緒にこの店をオープンさせたやり手でもある。

東村山だとお? お笑い好きの村長の頭に、一瞬、志村けんの顔がぱっと浮かび、東村山音頭が流れた。何ということだ。時代はすっかり変わってしまったようだ。
東村山イコール志村けんではなく、黒焼きそばとは。気を持ち直すのに15秒ほどかかった。

う、うまいっ。意外にもまろやかな甘み。豚肉とキャベツが黒い焼きそばと絡まって、ラードを使っているのだろうか、深い味わいを舌の上で奏でる。音楽に例えると、演歌でなく、民謡でもなく、ロックでもない。坂本冬美と前田敦子とレディ・ガガをミキサーに入れたような味とでもいおうか、かすかなマヨネーズも効いていて、不思議な調和性がある。

「若い人に特に人気があるんですよ。村長はうどんの方が合うと思ったけど、変な人なので、こっちを出したんです。当たり、でしたね(笑い)」

B級グルメという言葉が流行語になったのは、1985、6年ごろから。ライターの田沢竜次が初めて使い、文藝春秋社が「高い料理ばっかり取り上げるメディアの風潮に対して、B級こそが庶民の王道なのだ」という旗を掲げ、B級グルメという言葉がどんどん広まっていった。


          DSCN0623.jpg 


いまでは「Bー1グランプリ」をはじめ、星の数ほどのご当地B級グルメ大会が、町おこしや新しいビジネスとして定着している。これでいいのかB級グルメ、といいたくなるようなチェーン店展開に乗り出している企業もある。

初代B-1グランプリ王者「富士宮焼きそば」は今やB級とはいえない。地元から離れ、全国展開となり、B級をはるかに超えてしまったと思う。それを食べたときの感動、それが隠し味として重要だと思う。黒焼きそばにそれがあるかどうかはまだ不明だが。

本日の大金言。
もともとB級の焼きそばにB級の冠はいらない。


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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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