最中のエノケン、「都電もなか」の郷愁

 「都電もなか」を初めて見たとき、「駄菓子屋で売っていたおまけつきキャラメル」を連想してしまった。パッケージといい、都電の形そのまんまといい、最中(もなか)という和菓子の伝統とはイメージのギャップがあり過ぎたからだ。飲み会の席にテレビ界のご意見番・梅谷プロデューサーが手土産として持参してくれたときのこと。
「これ、知りませんか? 都電・荒川線の梶原駅で降りて買ってきたんですよ。下町の名物でもあるんですよ」
そう言って梅谷プロデューサーは独特の表情でシニカルに笑った。梅谷プロデューサーは下町育ちだった。

          都電最中⑧ 
          包装がシャレている

「おもしろーい!」
北海道育ちのイケイケ商社ガールが素っとん狂な声を上げた。その場で、食べると、これがパロディーっぽい外見とは違って、本格的な最中で、中に求肥(ぎゅうひ)が入っていて、かなり甘かったが、予想外の美味さだった。アンコ好きの村長の沽券(こけん)に係わる小さな衝撃だった。これは現場に行かなければならない。田舎育ちゆえに「都電もなか」なるものを知らなかったことも少々恥ずかしかった。グ、グヤジイ~。

          都電最中① 
          久しぶりの都電に乗って

東京で唯一残っている都電荒川線。久しぶりに町屋から早稲田行きに乗って、梶原駅で降りた。昔より都電がきれいになっていることに戸惑いながら「都電もなか」を製造発売している「菓匠 明美」はすぐにわかった。佇まいからして老舗の菓子屋さんで、都電の全面撤廃が決定したことがきっかけで、何とか都電の面影を残そうと、昭和52年(1977年)にこの「都電もなか」を考案して発売したという。第24回全国菓子大博覧会で厚生大臣賞も受賞している。今では「下町の東京土産」としてファンもついている。

          都電最中②  
          只の老舗じゃない?

「都電もなか 10輌入り」(1450円)を買い求めた。10個と言わず、10輌。ばら売りもしているというのが下町の駄菓子屋風で、隣から「こち亀」の両津勘吉が出てきそうだった。ウマズイめんくい村に戻って、賞味することにした。包装がシャレていて、遊び心がいたるところに感じられる。「9001」「8502」など5種類の車両のパッケージ。野暮を承知のこの凝り方が小粋である。中にチャプリンやエノケンが乗っている錯覚に陥った。

         都電最中② 
         見ているだけでチンチン
         都電最中 
         こんな最中ってあり?

和紙に包まれた最中は皮が柔らかめ。最中特有の焼いた餅粉の香りがプンと広がってくる。手で割る。中から北海道産のいい小豆が顔を出してくる。求肥(ぎゅうひ)がビューンと伸びる。添加物は使われていない。都電の夢を乗せた最中をまずはひと口。あんはつぶし餡で、甘めだが風味は十分。口中で求肥の柔らかなモチモチ具合とよく合う。

          都電最中⑤ 
          ズズとひと口・・・

最高峰の美味さではない。皮はもう少し固めの方が村長の好みだが、そんなこと以上に「都電もなか」の存在自体にささやかに敬意を表したくなった。偉大なる超B級の最中。A級に脱線しないことを祈りながら・・・。



本日の大金言。

チャプリンやエノケンの世界にも通じている都電もなかのペーソス。「街の灯」のラストシーンで遠ざかるチャプリン。「洒落男」のエノケン。それは単なるノスタルジーかもしれないが。




                都電最中⑨ 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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