北千住、味噌タンメンの妖しい夜

 北千住といえば、尾崎豊「最後の聖地」でもあり、ビートたけしの実家も近い。駅周辺の再開発で、モダンな丸井が出現し、ルミネがきらめき、ここ十年くらいで「若いおしゃれな街」に生まれ変わった、かのように見える。悪い事ではない。

しかし、一歩老舗の居酒屋「永見」の方向へ入ると、途端に猥雑で艶めかしい「あの昔ながらの北千住」が生きている。細い路地には居酒屋が暖簾を競い合い、今や死語となりつつあるピンサロだってある。客引きもいる。まるで、タイムマシンで戦後の闇市時代から昭和40年代の世界に紛れ込んでしまったような錯覚に陥る。

これだ、これだ。赤羽彦作村長はルーツの一つである北千住を久しぶりに歩きながら、仙腸関節あたりが懐かしく疼くのを感じるのだった。腰痛ヘルニアさえなかったら、10軒はハシゴしたい。ハリウッドだって行きたい。福富太郎さんにだって会いたい。あまり関係ないが、村長はその昔、福富太郎さんの担当編集者だったのである。

その北千住がラーメン激戦区になっている。駅前であの「手打ちラーメン 珍来」がチラシを配っていた。創業84年の珍来がチラシを配っている。「本券持参でジャンボ餃子3個無料!」。「丸井の中には「青葉」が入っているし、「空海」も競っている。

彦作村長は駅ビルを背に、商店街を日光街道の方向へヨボヨボと歩いて行った。目的は「蔵味噌屋」である。味噌を前面に押し出した「味噌タンメン」を食いたくなったからだ。2年ほど前にオープン、あっという間に北千住の人気店になった店だ。半年ぶりの味噌タンメン。


         北千住・蔵味噌屋 


テーブル席とカウンター席があるが、カウンター好きの村長は、ちょこんと座ると、「味噌タンメン」(690円)を注文した。ガッツリとあっさりがあり、村長はあっさりを選んだ。細ちじれ麺が好みなのである。

ちなみにガッツリは極太麺で濃厚とんこつスープ。麺の量は大・中・小の中から「中」を選んだ。大でも小でも値段は同じ。
味噌ラーメンとは言わずに味噌タンメンというところにかなりのこだわりを持っているのではないか。

「味噌は赤味噌2種類と白味噌1種類をブレンドして使ってます。すりごまと練りごまも入れてじっくり作っているので、旨味が違います」と店員さん。

タンメンというだけあって野菜がどっかりと載っている。もやしの合間にニンジン、タマネギ、小松菜、きくらげあたりが顔を出し、豚肉も「オレを忘れないでくれよ」と流し目を送ってくる。確かにあっさりとしているが、何とも言えない深い味噌のハーモニーが口中の粘膜に一夜の愛をささやきかけてくる。(何という文学的な表現だろう?我ながら呆れる)。

麺は細麺とはいうものの、結構太い。これで細麺なら極太麺はどのくらいの太さなのか、つい心配になるほど。札幌の西山ラーメンくらいはある。しかし、その縮れ具合と歯ごたえの良さは村長の好みである。

味玉(プラス90円)を付けたかったが、ビンボーな村長は「味玉を食べたつもり」で我慢。それでもゴマの香りもする味噌スープを完飲みしてしまった。余計な濃厚がないダシの効いたあっさり味噌味が五臓六腑に染み入ってくる。


          北千住・蔵味噌屋 味噌タンメン 


ビンボーの勝利、なのか。いやそうではない。これは味噌の勝利なのである。ここの味噌の勝利なのだ。村長は仙腸関節のあたりに忘れかけていたパワーが宿ってくるのを感じていた。

「今夜は特別だ。もう一軒ハシゴするぞ」

一人でわめきながら猥雑な北千住の路地裏へと向かっていく赤羽彦作村長の情けない後ろ姿を、チャイニーズの美人客引きの妖しい目がしっかり捕らえていた。大丈夫か、村長・・・。

本日の大金言。

天然味噌があればバイアグラなんていらないぞ。


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR