元芸者置屋の仰天オムライス

国元・会津で童謡「月の沙漠」が流れる中、 87年の生涯を閉じた母の葬儀を終えた赤羽彦作村長は、その足で磐越自動車道を新潟へと向かった。新潟には食べ物の思い出がいっぱいある。幼少(ガキ)のころに小林デパート(現在は三越)のレストランで食べたランチの美味かったこと。古町で食べたソースかつ丼(昔はタレカツ丼とは言ってなかったと思う)、洋菓子、笹飴・・・。盆地の会津にとって新潟は開けた大都会で、江戸の昔から、北前船の寄港地として京都や大阪などから新しい文化や物産品がどんどん入り込み、明治維新後も日本海の重要な港として発展し、それ故に美味いものも多い。

彦作村長の目的は「Bar 町田」だった。ここのオムライスが絶品だという情報を友人から聞いていたからである。バーと言っても、いわゆる止まり木のある狭いバーではない。むしろレストランと言った方が近い。花街として発展した古町の中でもこのあたりは別格の一帯で、弘化3年(1846年)創業の老舗料亭「鍋茶屋 光琳」が当時の建物のまま営業をしていたりする。「Bar 町田」は路地を挟んでちょうどその「鍋茶屋 光琳」の斜め向かいに位置している。昭和初期に建てられたという古い木造二階建ての町家づくり。以前は芸者置屋だったという。

          バー町田① 
          この店構えに驚く

京の町家のように入り口は質素で、「町田」と書かれた表札があるくらい。メニューの書かれた小さな黒板が置いてなければ、ここがレストランバーだとは到底思えない。1階がカウンターのあるバーになっていて、2階がレストラン。感じのいい男性が案内してくれて、2階への木の階段をトントンと上る。サーモンピンクのテーブルクロスがかけられたテーブルが5つほど。マティスの絵がさり気なくかけられている。ランチメニューの中から「スパイシーオムライス」(コーヒー、紅茶付き 1155円)を注文した。

          バー町田② 
          窓から「鍋茶屋」が見える

「驚いたわ。バーというイメージとは全然違う。これだけの雰囲気でこの値段は何だか申し訳ない気がする。本日のランチコースくらい頼めばよかった。3150円だけど」
「いや、これでいいのだ。見栄は無用。雰囲気は二重丸だけど、味はまだわからないぞ。これからこれから」
「それもそうね。味が楽しみ、ウッヒッヒ」

          バー町田③ 
          水ではなくレモネードだった

雰囲気を楽しんでいると、オムライス用のスプーンとフォーク、それに水が運ばれてきた。水ではなく自家製のレモネードだった。ほんのりと甘くて美味い。続いて、「スパイシーオムライス」が登場した。あの日本橋「たいめいけん」のたんぽぽオムライス(1850円)と同じふわとろのオムレツが乗っかっていた。真ん中で割ると、溶岩のように半熟の中身が流れ出るスタイルだ。違うのはチキンライスではなくカレーピラフであること。自家製のトマトソースがオムレツの上にかかっている。香菜が彩りを添えている。見事な色合いと言わざるを得ない。

          バー町田④ 
          うーむ
          バー町田⑤ 
          むむむむ

卵はおそらく3個は使っているのではないか。スプーンで割ると、中から見事なふわふわ半熟卵が、露わ過ぎるほど妖艶な姿態を押し出してきた。生つばごっくん。カレーピラフはタマネギ、しめじ、人参、ピーマン、鶏肉が惜しげもなく混入されていて、多分コシヒカリとともにバターでいためられている。カレーの風味が立ち上がってくるが、味付けは薄味で、オムレツと自家製トマトソースとのバランスを考えた構成になっている。

         バー町田⑥ 
         真ん中で割ると・・・
         バー町田亜⑦ 
         カレーピラフの絶妙

「量的にもちょうどいい。新潟でこんなに本格的なオムライスを食べれるとは思ってなかったわ。私は大満足よ。コーヒーも一流ホテルのコーヒーと遜色ないわ。この値段を考えると、不満は言えない。東京なら行列のできる人気店になると思う」
「辛口でいうと、すべてが80点という感じ。確かに値段を考えると驚きだよ。次は夜来てみたいよ。1階のバーでワインかスコッチを楽しんでから2階で食事。それからおもむろに花街へと繰り出す。それからそれから・・・」
「勝手に妄想してれば」

村長の救いようのない頭の中を「月の沙漠」がよぎっていった。旅のラクダはどこへ向かうのか?



本日の大金言。

誰の人生にも終わりはある。誠に人生一瞬の夢。たった一つの壮大な物語。だが、悲しんでいる時間はない。




                   バー町田⑨ 
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ブログを見て、村長の母上がお亡くなりになったことを知りました。遅ればせながらお悔やみ致します。いつも楽しく拝見させていただいております。勉強もさせていただいてます。これからもますます楽しみにしてます。応援してます。頑張れ、村長!
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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