「伝説のサンドゥイッチ」秘伝の味

 東京・有楽町にある「伝説のサンドゥイッチ」の店に足を運んだ。知る人ぞ知る「はまの屋パーラー」。約1年半前の2011年12月、45年間続いた店がほとんど誰にも告げずにひっそりと幕を閉じた。理由はマスターの高齢と言われている。その味を惜しんだファンがその後、マスターのもとに通い「伝説の秘伝」を教えてもらって、翌年の2月リニューアルオープンにこぎつけた。二代目はまの屋パーラーの誕生となった。それからまた1年3か月ほど時は流れた。味に変化はないか?

          はまの屋11 
          この店構えのさり気なさ

「特に玉子サンドゥイッチが絶品」という評判を聞きつけた彦作村長は、新有楽町ビルの地下にある「はまの屋パーラー」の前に立った瞬間、ある種の感慨に襲われた。ガラス張りの、昭和の雰囲気が香り立つような店構えだった。店の造りはそのまま継承しているそう。透明なガラスの上には「はまの屋」という大きめの縁取り白文字とそのすぐ下に小さい字で「PARLOR&SNACK」の黒文字。パーラー?スナック?この言葉は今ではほとんど死語だが、昭和30年代から40年代にかけて銀座の、いや日本にとってモダンな、新しい時代を予感させる流行語だったからだ。

          はまの屋12 
          パリのビストロ風?

お断りしておくが「パーラー」はパチンコ屋の代名詞ではない。元々はフランス語で「いこいの場所」を意味していて、軽食喫茶のような意味合い。今でも銀座「資生堂パーラー」はこの言葉を死守している。その「はまの屋パーラー」。ブラウンを基調にした店内はテーブルが16席ほど。2人用と4人用があり、カウンターの奥がちょっとした厨房になっていた。若い男性がそこでサンドゥイッチを作っていた。他に女性スタッフが2人。お客への対応は悪くない。

          はまの屋パーラー① 
          よき時代のコーヒー

時刻は午後3時30分。ランチタイムはすでに終わっていた。彦作村長はメニューの中から「玉子サンドゥイッチ」(580円)を選んだ。この店は卵ではなく「玉子」、サンドイッチではなく「サンドゥイッチ」。玉子は良しとしても「サンドゥイッチ」は「ゥ」と「ッ」を小さく発音することになぜか強烈なこだわりを持っているようだ。村長はそこが気に入ってしまった。銀座の古き良き頑固!

「玉子と野菜を半々にすることもできます。こちらを頼む方が多いです。ハムでもオーケーです。2種類選べるんですよ」
感じのいい若い女性店員さんのアドバイスに従って、「玉子と野菜」にしてもらった。コーヒー「はまの屋ブレンド」をセットにしてもらう。セットだと380円が250円になる。合計830円ナリ。

         はまの屋パーラー③ 
         伝説のサンドゥイッチ

作るのに時間をかけているようで、待ち時間は15分ほどナプキンが敷かれた白い大皿にきれいな玉子サンドと野菜サンドが乗っていた。これが伝説のサンドゥィッチか。玉子サンドは厚焼き玉子を使っていた。ゆで卵をマヨネーズで合えるというのが一般的な玉子サンドだが、ここはそうではない。関西に多い厚焼き玉子だった。薄切りの食パンにマヨネーズを塗って、そこにレタスが敷かれている。厚焼き玉子はかなりのボリュームでその上にグラマラスに横たわっている。初期のマリリン・モンローかブリジット・バルドーのよう。清楚な妖艶・・・。

          はまの屋パーラー④ 
          秘伝は素材か?

ひと口ガブリと行く。パンはしっとりしていて普通に美味い。玉子は中が柔らかい。半熟に近い。それが実に新鮮なことに気が付いた。マヨネーズが薄めに塗られているだけ。塩加減も薄味。素朴な、実に素朴な美味さだった。秘伝がどこにあるのか、探しても見当たらない。それなのに美味い。この美味さはどこから来るのだろう? シンプルな素材の美味さとでも言ったらいいのだろうか。

         はまの屋パーラー⑤ 
         ふんわりとした玉子焼き

野菜サンドもトマトときゅうりとレタスが新鮮で、それ以外に特別なものは感じなかった。45年続けたマスターの秘伝の正体は最後までわからなかった。「素朴に美味い」。この意外と忘れられがちなシンプルこそが秘伝なのだろうか? 常連客によると、これでもまだ先代の味の域には達していないという。石原裕次郎の「夜霧よ今夜もありがとう」がLP盤レコードで流れる中、彦作村長はズレてしまった越中ふんどしを締め直すことにした。目の前に夜霧はなかったが。



本日の大金言。

パーラーとサンドゥィッチ。これは戦後から高度成長期にかけての日本の食における希望の星だったと思う。さて、2013年における希望の食とは?





                 はまの屋パーラー⑨ 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR