谷中で超人気メンチとコロッケとは?

 「夏のあんみつ」を賞味したB級ハンター・彦作村長の目は、もう一つの目的であるメンチカツとコロッケに向かっていた。谷中銀座の中でも最も人気の高い「美味しい肉のすずき」。夕方の4時過ぎ、すでに5~6人の行列ができていた。この肉屋は創業が昭和8年、ぜいたくにもランクの高い黒毛和牛の端余り肉をミンチにしてメンチカツやコロッケにしているという。吉祥寺「さとう」と同じポリシーのようだ。

        肉のすずき② 
        谷中の行列店

店頭には取材に訪れたテレビ番組やタレントの写真が満艦色のように飾られている。すぐ近くの「肉のサトー」もメディアの写真をド派手に飾っていた。粋ではなく野暮の世界。「おい、トウヘンボクめ。冗談言っちゃいけねえ。世の中は生存競争に勝たなきゃ意味がないってもんよ。肉屋に粋なんて必要ねえ。それこそ無粋ってもんだ」そんな声が奥から聞こえてきそうだ。

        すずき② 
        すぐに売れていく

店の奥が厨房になっていて、そこからいい匂いが店先まで漂っている。ここは昔からラード(豚の脂)とヘット(牛の脂)を混ぜ合わせて揚げているという。彦作村長は最後尾に並んで谷中名物の「元気メンチカツ」(1個200円)を3枚、もう一品「おいものコロッケ」(1個90円)を2枚買った。「元気メンチカツ」は大人の握りこぶし大のデカさで、見るからにごつごつした手づくり感があり、「これが肉屋のメンチだ」という代物。「昔ながらの味 おいものコロッケ」はメンチほどデカくはないが、スーパーのコロッケよりも大きめ。こんがりといいキツネ色の揚げたてだった。牛肉入りだという。 

村長は「元気メンチカツ」はウマズイめんくい村へ持ち帰り、コロッケをぶらぶら歩きながら賞味することにした。谷中では缶ビール片手に賞味するのも流行っているそう。夕焼けだんだんを上る。夕焼けにはまだ少々早い。階段を上りきった左側に知る人ぞ知る「大島酒店」があった。入り口にはお世辞にもきれいとは言えない酒のケースで作った椅子が5~6個ほど並んでいて、常連らしきオヤジさんや昔美女がコップ酒を楽しんでいた。谷中本来の姿の一つでもある下町の飲ミニュケージョン。村長の好きな世界だった。

        すずき③ 
        昔の肉屋のコロッケ
        すずき④ 
        もそっと近くに・・・

そこに腰を下ろして、生ビールの小200円を買った。店の女将さんがキュウリとなすの漬け物をツマヨウジで刺してサービスしてくれた。この下町の心遣いに心の中に一足早く夕焼けが広がる。青空酒場。目の前を観光客が行き交っている。肉のすずきの「昔ながらの肉屋の味 おいものコロッケ」を紙袋から取り出す。ひと口ガブリと行く。パン粉はやや細く、それがサクサクとしていて、中のジャガイモの甘みとマッチしている。牛のミンチは極めて少ないが、探し出して噛むと奥歯からいい甘みがにじみ出てくるようだ。ある種、懐かしい昭和の匂いのするコロッケ。ごくフツーの旨さ。生ビールでノドをうるおしながら、ステテコ姿のオヤジさんとバカ話をしていると、初対面なのに「袖すり合うも多生の縁」というほとんど死語となった言葉が、頭の中を渡り鳥のようによぎっていくのだった。

        すずきメンチ② 
        デカい!超人気のメンチカツ
        すずきメンチ③  
        圧倒的な和牛のミンチ力

ウマズイめんくい村に帰って、「元気メンチカツ」を賞味。改めてしみじみ見る。楕円形のあまりにグラマラスなボディ。「あたいを甘く見ないでよ」とメンチを切っている。揚げてから半日ほど経ってしまったので、ジューシーさは半減していたが、それでも牛肉のミンチの塊のような具はどっしりとしていて、したたかな肉汁の旨味を放っていた。タマネギも入って入るが、その存在感は薄い。ショウガの香りがかすかにある。砂糖と塩で味付けされていて、ソースなしでも旨い。吉祥寺さとうのメンチより、牛のミンチの存在感が素朴で圧倒的。そこが好き嫌いの別れるところだと思う。安ワインを飲みながら、彦作村長は、揚げたてを食うべきだったと少々後悔した。


本日の大金言。

谷中銀座はメンチカツとコロッケの激戦区でもある。その中でも値段の高い「肉のすずき」のメンチが人気1位なのは伝統だと思う。旨味の裏にある下町の肉屋の伝統。




               すずき⑥ 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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