開高健も通った店の「スープ入ヤキメシ」

 東京・有楽町ガード下沿いにある「純広東料理 慶楽(けいらく)」。昭和25年に創業したこの店は、健啖家の作家・開高健や吉行淳之介も通った知る人ぞ知る広東料理の名店である。彦作村長はエンターテインメント新聞社時代に何度かこの店を利用したことがある。「赤坂璃宮」や「楼蘭」ほど高くはなく、それでいてどこか香港にでもいるような本格的な広東料理を出してくれる。味にうるさい人を連れていくには格好の店の一つだった。

        慶楽③ 
        まるで香港

この店の名物の一つが「上湯炒飯(スープ入ヤキメシ)」(1000円)。炒飯(チャーハン)に熱々の白湯スープをたっぷりと注ぐという恐るべき発想で、「慶楽」の初代が創業当時からオリジナルメニューとして出しているもの。スープ入り水餃子もあるのだからスープ入り炒飯があってもおかしくはないが、案外これはコロンブスの卵かもしれない。ひょっとして初代は日本のお茶漬けをヒントにしたのかもしれない。

        慶楽② 
        63年の歴史

午後1時50分。1階の深緑色のテーブル席に座って、小雨降るガード下の通りを眺めながら、年季の入ったチャイナドレスのおばさんウェイトレスに「スープ入ヤキメシ」とひと言。食在広州。「四本足で食べないのは机、飛んでるもので食べないのは飛行機だけ」という中国人のブラックジョークを噛みしめながら、サソリまで食べてしまう中国人の胃袋をぼんやり考えていると、目の前に湯気とともに大きな白磁のドンブリがさっとやってきた。

        慶楽⑤   
        スープ入ヤキメシ!

鶏ガラや野菜などを長時間煮込んで取った白湯(パイタン)スープの下に見事な炒飯がゆったりと沈んでいた。旨そうなムキ海老が3匹乗っかっている。見ただけでかなりのボリューム。シンプルな中に広州の混沌が渦巻いているよう。思わず引き込まれてスキューバダイビングしたくなる。危ない、危ない。

        慶楽⑦ 
        恐るべき混沌?

まずは熱々のスープをレンゲでひと口。あっさりした塩味。さり気ない深み。炒飯は細かく刻んだ本格的なチャーシュー、卵、ネギが彩りを添えていて、形の崩れていないライスとともにすくうと、炒飯のいい香りが鼻腔をくすぐる。白湯スープとの相性は悪くない。ぷちっとしたムキ海老がいいアクセントになっている。

        慶楽⑨  
        ここだけの味わい

次第に炒飯が白湯スープを吸い込んでくる。そのオジヤのような食感も悪くはない。レンゲの回転がどんどん速くなる。こういう旨さもあるんだ。だが、村長にはこの単調さが気になった。旨いには旨いが飽きがくる旨さ。単調の中に奥の深さを感じられるか否か。きっと炒飯だけの方が旨いだろうな。村長の単調な前頭葉にそんな思いがチラとかすめるのだった。


本日の大金言。

あらゆるものを食べまくる「食在広州」。だが、今や食在日本かもしれない。二本足で食えないのは政治家だけ。




                   慶楽11 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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