摩訶不思議な蔵の「おにぎりランチ」

 「ねえ、染谷しょうぶ園に行ってみない? 花ショウブがとてもきれいよ。アジサイもきれいよ」
美熟女の村民2号が、大叔母の介護で少々疲れ気味の表情で言った。村長と違って愚痴をこぼさないタイプだけに、こういう時は何かある。
「この前、浮野の里に行ったばかりだろ?」
とは言えない雰囲気だった。彦作村長は「うむ」とうなずくと、さいたま市・見沼区にある「染谷しょうぶ園」までポンコツ車を飛ばすことにした。その帰りに近くで旨いものでも食べようという考えもちらと浮かんだ。

        染谷しょうぶ園⑤ 
        見事な花ショウブ
        染谷しょうぶ園① 
        アジサイ

入園料500円を払って「染谷しょうぶ園」で約2万株の見事な花ショウブを堪能してから、近くの旨いもの屋を探すことにした。村民2号が地元の住人からすぐ近くに「蔵をそのまま再利用した面白い軽食・喫茶」あるという情報を仕入れてきた。
「旨いかどうかはわからないけど相当ユニークな店みたいよ。おにぎりもあるらしいわ」
おにぎり好きの村長は、駐車場に車を置いたまま、草履姿で歩いて行くことにした。

        蔵① 
        うーむの世界

距離にして500メートルくらい。あった。築約100年という蔵と古民家が見えてきた。「軽食・喫茶 ひびき 画廊 蔵 」という看板。いい雰囲気である。「ひびき」は漢字で書いてあったが、「広辞林」にも載っていない漢字だった。それだけでもここの主人が相当ユニークな人物であることが容易に想像できた。
「大丈夫よ。村長もかなりの変人だから」
自分のことを棚に上げて、村民2号がそう言ってから中に入った。蔵の中は雑然とした摩訶不思議な空間だった。

入り口にはセンベイやら和菓子やら自然食品やらが売られている。一枚板の大きくて見事な自然木のテーブルが5つほど。2階がギャラリーになっていて、和ダンスやら版画やら陶器やら竹細工やらが置いてある。1階の奥には陶器類や小物類が盛りだくさんに置いてある。何やらタイムスリップして民芸品店の物置にでも入ってしまったような錯覚に陥ってしまった。

         蔵⑧ 
         食事は数種類

メニューからちょっと高いかな、と思いながら、「おにぎり」(1050円)を選んだ。「但しスープ、そうざい、果物等付」という文字にも期待したからだった。他に常連らしい中高年客が2組ほど。細身の店主は愛想がよく、一人で店を切り盛りしているようだった。
サービス精神旺盛のようで、香木や香草を持ってきて、「これ、聞いてみませんか? よかったら当ててみてください」などと言ったかと思うと、自分で作った黒にんにくを試食させてくれたり。その間に厨房に入ってはおにぎりセットを作って一品ずつもってくる。その目まぐるしさは村長の好きな世界でもある。苦手な人もいるかもしれないが。蔵が建つよりキャラが立つの世界。

        蔵② 
        いいノリ

スープから始まってコンニャクと漬け物の小鉢、トマトジュース、デザートの果物、和菓子が次々と出てくる。手焼きのセンベイまで出てきたのには驚いた。メインはパリッとした海苔に包まれたおにぎり3個。ご飯がちょっと柔らかいのが村長の好みではないが、山口・萩市にあるふりかけの老舗「井上商店」の「しそわかめ」や「夏みかんわかめ」をまぶしていた。ご飯は胚芽米かと思ったら白米だった。萩地方伝統の乾燥わかめのふりかけは悪くない。塩分がほどよくて、まずまずの旨さ。店主はよくしゃべる。善意の説明なのか商売熱心なのか境目がわからない。

        蔵④ 
        しそわかめ
        蔵⑥ 
        和菓子はマル

「雰囲気が好きか嫌いかで店の評価も変わるわね」
「和菓子が旨かったよ。店主のサービス精神と一生懸命さは微妙なところだなあ。全部で7品も出てきたのには正直驚いた。そう考えると1050円は高くはない。まあ、あえて言うと、600円ぐらいの食事セットも作ってほしいが」
「器もいいものを使っているし、果物にしてもセンベイにしても素材はいいものを使っていると思うわ。それを組み合わせている。でも、何かが過剰で、何かが足りない気がする」
「ショーバイはむずかしいなあ」
「そこが面白いところなのよ、きっと。でも、村長より苦労してそう」
「・・・・・・」



本日の大金言。

古い蔵を再利用したビジネスは急増している。喫茶店にしたりレストランにしたり。地域活性化のシンボルの一つでもあるが、成功している例は意外に少ない。蔵だけに蔵を開けるカギが問題で、そのカギとはキーマンの能力かも。



                    蔵⑦ 




 
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興味深深

なんだか面白そうな店ですね。古蔵にも興味があるので近々に行ってみよることにします。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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