具のない「足利シュウマイ」と花火

 関東の古都・足利が年に一度華やぐ日がある。渡良瀬川河川敷で行われる足利花火大会である。毎年、約35万人ほどが観賞にやってくる。隅田川花火に負けない見事な花火が2万発打ち上げられる。関東でも指折りの歴史のある花火大会だ。
「たまにはパーッと行きましょ」
パッとしてない彦作村長と村民2号は隣村の、パッとしている友人夫妻を誘って、電車で、足利にやってきた。駅に降りた瞬間、見物客でごった返していた。浴衣姿のカップルやファミリーが目につく。日本は平和でいいのう。

意外に気が利く(?)村長は、事前に「花火の見れる居酒屋」を予約しておいた。当てずっぽうで電話したら、たまたま4人用の席だけ開いていたのだった。「3000円の特別弁当」がこの日のメニューだった。だが、彦作村長は、単品メニューの中に、「足利シュウマイ」(540円)と「足利揚げシュウマイ」(540円)が入っていることを抜かりなくチェックしていた。

          足利・樹洞(うろ)① 
          門をくぐると、そこは・・・

予約したのは「酒菜 樹洞(うろ)」という店。入り口が門と階段になっていて、居酒屋というよりはシャレた和風レストランだった。席に着くと、3000円の特別弁当が運ばれてきた。かなりのボリューム。生ビールで乾杯してから、すぐに「足利シュウマイ」を頼んだ。「足利揚げシュウマイ」も追加注文。

            足利  
            特別弁当

「足利シュウマイ」は「ジャガイモ入り焼きそば」とともに、足利が売出し中のB級グルメ。実に不思議なシュウマイで、片栗粉とすり下ろしてペースト状にしたタマネギだけしか入っていない。それを地元の月星ソースで食べる。村長は何度か足利に来ているが、説明を聞いただけで食べる気がしなく、これまでむしろ避けてきたB級グルメである。元々の発祥は屋台のラーメン屋が戦後に考案したシュウマイというのがどうやら定説である。豚肉が高かった時代で、安くてそれなりに旨いシュウマイを編み出したその努力には敬意を表したい。だが、具のないシュウマイなんてありか?という根本問題はある。

          足利シュウマイ③ 
          これが噂の足利シュウマイ
          足利シュウマイ④ 
          具がない?

蒸したての「足利シュウマイ」がシュウシュウと湯気を立ててやってきた。崎陽軒のシュウマイよりもひと回り大きい。それが6個。焦げ茶色のスパイシーな中濃の月星ソースがたっぷりとかかっていた。醤油ではなく堂々とソースをかけて出すシュウマイは世界中探しても足利だけかもしれない。その大雑把な強引さは、栃木・群馬文化の凄味でもあると思う。ひと口。ムニュっとした蒸し団子のような食感。もっちり感もある。うーむがムムムに変わる。意外とうまい。片栗粉とタマネギのペーストから不思議な旨味がにじみ出てくる。何か隠し味でもあるのかもしれない。

         足利シュウマイ① 
         こちらは揚げシュウマイ

「足利揚げシュウマイ」は2個ずつ串に刺されて登場。月星ソースとマヨネーズが控えめにかけられていた。足利シュウマイを油で揚げたものだが、皮がパリッとしていて、シュウマイ自体のムニュモチ感を引きたてている。こちらも意外にうまいが、A級ではなくB級のうまさ。マヨネーズも効いている。

「見た目よりもうまいわね」
「意外だけど、中濃ソースと合う」
「540円はちょっと高いかもね。具がないんだから」
特別弁当そっちのけで足利シュウマイ談義が続く。

そのうち、花火が上がる時刻、午後7時になった。店の屋上に上がる。すでに夕闇に染まっていた。渡良瀬橋の向こう側で、花火が打ち上げられ始める。夜空に大輪の花が次々に咲く。一瞬遅れの豪快な音と繊細な一瞬の美。それを見上げる約35万人の眼差し。それだけの数の人生。それだけの数の胃袋。村長は頭がクラクラしてきた。

               足利花火④ 
        一瞬の夢?

本日の大金言。

夜空に咲く花火を見ると、なぜか心が洗われる。花火の前には善人も悪人もない。心の洗濯に花火。





              足利花火 
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あんなもん

足利シュウマイはシュウマイではなく、モドキだと思う。不味くはないが、美味ではない。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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