昭和の半チャンラーメンの金字塔

 「半チャンラーメン」は彦作村長にとっては思い入れが深い。ラーメン好きで炒飯好き、しかもお金がない。そんな時に「半チャンラーメン」ほど頼りになる存在はない。「半チャンラーメン」を初めてメニューにしたのは東京・神田の「さぶちゃん」と言われているが、それが事実だとしても、たかだか47年ほどの歴史しかない。東京オリンピックを成功させ、日本が高度経済成長時代へと突入していた時代である。

彦作村長は宮仕え時代、有楽町ガード下にある「谷ラーメン」が好きで、ここの名物「半チャンラーメン」が絶品だった。ここも早いころから半チャンラーメンを出し始めている。

友人と赤羽で一杯やっているときに、「埼玉に絶品の半チャンラーメンがある」という情報を聞きつけたのは、最近のことである。そこは創業63年の古い大衆食堂で、大宮に住むその友人はしたり顔で「とにかく行ってみなよ。ラーメン、炒飯、餃子、玉子丼・・・何でもうまいよ。ザ・大衆食堂と頭にザを付けたくなる店で、お世辞にもきれいとは言えないけど、行ってみる価値はあるよ」とのたまったのだった。

          多万里 
          タイムスリップ!

その店が「食堂 多万里(たまり)」だった。大宮駅東口「高島屋」の裏手。そこだけ時代の流れから置いてきぼりされたみたいな佇まいの食堂だった。入ると、すぐ左に食券売り場あり(自販機ではない)、そこに女将さんだろうか、戦後のままの白衣のお姿で注文を取っていた。実用的な安テーブルが14~5ほど、次々と訪れる客でにぎわっていた。奥が厨房になっていて、そこからいい匂いが流れてくるようだった。迷うことなく「ラーメン+半チャーハン」(850円)を注文。

          多万里③ 
          この生活感
          多万里④ 
          うむむむ

12~3分ほどでおばちゃんスタッフが「半チャンラーメン」を運んできた。ひと目見て、村長はウームと唸った。ラーメンは見事な東京ラーメンで、ラーメンというより東京の正統派中華そばと言った方がぴったりくる。黄色い極細麵、薄いが見事なチャーシュー、ダシ醤油で煮込んだシナチク、鮮やかなナルト、四角い海苔・・・醤油ベースのスープが多分鶏がらの脂をうっすらと浮かべてゆったりと控えていた。その隣の半チャーハンは作り置きではなく、明らかに注文してから作った「うまそう光線」を放っていた。小皿のお新香も好感。

          多万里⑤ 
          正統派中華そば
          多万里⑥ 
          奥深いスープ

まずはスープ。自然に「うんめ~」という声が漏れてきた。多分イリコの出汁と鶏ガラの出汁中心の、まろやかでジワジワくる絶妙な旨味だった。懐かしさだけでなく、これだけのスープに出会うことはあまりないと思う。麵は極細でコシもあり、スープとよく合っている。だが、すぐに食べないと、みるみるスープを吸って、伸びるのが早い。ここだけが注意点。

          多万里⑧ 
       チャーシューさま

チャーシューは手抜きがない。薄いのにうまい。シナチクは量も多く、一見味が濃そうだが、まろやかでシャキッとしたいい食感。多分すべてが自家製だろう。見えないところでの店主のこだわりを感じる。ここにもいぶし銀の職人がいる。

          多万里10 
          すご腕半チャーハン
          多万里⑨ 
          あ~ん

半チャーハンはごま油の香りがフワッとして、いい塩加減の、かなりのレベルのうまさだった。フライパンの熱が伝わってくるプリッとしたライス、刻まれたチャーシュー、卵、ネギ、ナルト、それにグリーンピースがふんだんに使われている。半チャーハンでこれだけの味。村長がこれまで食べた中では、有楽町ガード下の「谷ラーメン」の半チャーハンと双璧ではないかと思う。「谷ラーメン」の半チャンラーメンは強気の1000円だが、ここは850円。大宮にかような店があったとは・・・。彦作村長はドンブリの底が見えるまでスープを飲み干し、半チャーハンを最後のひと粒までお腹に収め、ツマヨウジをくわえると、大いなる満足で外に出るのだった。太陽が半バカめ、と叫んでいた。



本日の大金言。

半チャンラーメンは昭和40年代以降のサラリーマンにとって、昼メシの大定番のひとつでもある。これで、長い午後を乗り切る気分にさせてくれた。日本経済の陰の功労者であると思う。



                  多万里12 
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よくぞ

よくぞ多万里を取り上げてくれました。いい店です。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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