軽井沢まさかのランチ天丼

 そうだ、軽井沢へ行こう。東京五輪の話題で盛り上がるテレビを見ながら、彦作村長はそう思った。理由は特にない。エンターテインメント新聞社を退社した際に、後輩諸君からJTBの商品券をもらっていたことを突然思い出したからだ。すっかり忘れていた。で、どうせ行くなら、軽井沢。ジョン・レノンも愛した軽井沢。ほとんど刷り込み、である。

よく考えてみたら、約10年ぶりの軽井沢だった。すでにホテルは予約してある。ポンコツ車をぷかぷか走らせながら、ランチをどこにするかで、村民2号と意見が衝突した。
「軽井沢は信州だから、やっぱりそばにしましょ。最近、太り気味だし」
と村民2号。
「いやいや、やっぱりここは旧三笠ホテルの幻のカレーだろう。これは外せない」
と村長。車を有料駐車場に入れて、あちらこちらと歩き回る。食べログなどでも人気の蕎麦屋は高いうえに行列。バカバカしい。時間だけがどんどん過ぎて行った。お腹の虫がわめき始める。

          万喜① 
          軽井沢で天丼?

すったもんだの末、軽井沢銀座をちょいと横に入ったところで、二人同時に立ち止まった。「万喜天丼1100円」というメニューが・・・。若者で混雑する軽井沢の中心部らしからぬ閑静で老舗の佇まい。「万喜(まき)」の看板と白地の暖簾。昭和34年創業の老舗の天ぷら専門料理屋だった。「万喜天丼」はランチタイムのみのメニューで、この店構えで「1100円天丼」は当たりかもしれないぞ。食べログなどの評価がそれほど高くないことも気に入った。

          万喜② 
          ここはどこ?

L字型の白木のカウンター、テーブルと小上がり。時間が午後1時半とランチタイムぎりぎりだったこともあるのか、客はまばらで5~6人ほど。白衣にネクタイ姿の料理人が3~4人ほど。どこか銀座の一流天ぷら屋のような雰囲気にいささかたじろぐ。もう一度ランチ天丼の値段を確認してから、おもむろに注文した。

          万喜③ 
          ランチメニューを確認

注文してからカウンター越しで料理人が揚げ始めるのが見えた。待つこと12~3分ほど。黒塗りのお盆に乗って、万喜天丼とみそ汁、お新香がやってきた。隙がない。みそ汁に箸を付ける。
「いいダシが出てるわ。みそ汁でわかる店の実力・・・」
村民2号がつぶやきながら、天丼のふたをる取る。いい匂いとともに、エビ天、魚2種(たぶんキスとメゴチ)、ししとう、かぼちゃ、5つの天ぷらが現れた。コロモはやや多めだが、ツユがほどよくかかっていた。

         万喜④ 
         おお天丼!
         万喜⑤ 
         もっと、ちこう

たぶんゴマ油で揚げられた天ぷらはコロモがカラリとしていて、そのサクサク感はプロのワザだった。ツユの加減が絶妙で、やや甘めだが、自然でダシ感のある奥深い味。炊き立てのコシヒカリ(だと思う)は、ほどよい柔らかさと固さを兼ね備え、ふっくらしていて、そこにもツユが絶妙な加減でかかっていた。エビも魚もかぼちゃも素材がいいことがわかる。食べログなどの評価が正しいとは限らない。それは村長もいつも感じることだ。要は自分の目、自分の舌、自分の五感。

          万喜⑥ 
          エビさま~
          万喜⑦ 
          このごはんとツユ・・・
          万喜⑨  
          最後のキス

「若い人なら量がもう少し多い方がいいかも。でも、私にはちょうどいい。何といっても、これだけの味とピリッとした雰囲気をこの値段で味わえたことがうれしいわ。まさか軽井沢の中心部で、うまい天丼に出会えるとは・・・」
「おっ、辛口の村民2号が珍しくホメた。浅漬けのお新香もよかった。でも、村長が感心したのは料理人だな。立ち振る舞いに怖いくらいに隙がない。目つきが鋭い。背筋がシャキッとしている。観光客でにぎわう軽井沢銀座横にかような店があるとはね。きっと夜は別荘の紳士がくるんだろうな」
別荘など無縁の村長が、ちょうどいい満足感で外に出た。駐車場料金が気になった。



本日の大金言。

ジョン・レノンとオノ・ヨーコはこの天丼を食べたのだろうか? イマジンしてみるが、箸を使って天ぷらを食べるジョンを想像できないことが悲しい。





                      万喜13
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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