アキバの意外「冷やしかつ丼」

 「冷やしかつ丼」なるものを知ったのはごく最近である。東京・渋谷で、「冷やしかつ丼」の看板を見つけ、目を二三度こすった後に、好奇心がむくむくと湧き起こった。「かつ吉」というトンカツ屋さんのメニューだった。「冷えたかつ丼」なんてうまいはずがない。きっと受け狙いだろう、そう思いながら、値段を見ると、「1500円」なり。安くない。財布の中は千円札一枚と小銭のみ。そのときは無念のリタイアとなった。

         浜勝②   
         冷やしかつ丼さま~

秋葉原のヨドバシカメラ8階レストラン街を散策中に、偶然「冷やしかつ丼」の文字を見つけたときは、「これは神様のおぼしめしかもしれん」と思った・・・いや、思うことにした。「かつ吉」ではなく、「とんかつ浜勝」というノレン。舌代も「かつ吉」より安い990円(税込)。あまり大きく宣伝していないのも気に入った。即決。

         浜勝③ 
         目立たないところに・・・

よもぎ色の作務衣姿の女性店員に「冷やしかつ丼、一丁!」そう注文すると、「ご飯は白いご飯と麦ごはん、どちらになさいますか?」。麦ごはんは村長の世界でもある。「では麦ごはんでお願いします」。ここはトンカツ専門店だが、リンガーハット系の店であることもわかった。「冷やしかつ丼」は2011年から始めた夏季限定のメニューだそう。興味はあのトンカツを冷やして、賞味に耐えうる味にしているのか、の一点だった。フツーに考えると、あり得ないメニューである。

          浜勝④ 
          ふたを取った瞬間

熱い焙じ茶を飲みながら、15分ほど待つと、黒いお盆にのかって、「冷やしかつ丼」が登場した。浅漬けの小皿が控えていた。有田焼き風のドンブリのふたを取る。丼物はこの瞬間が最高である。山芋の白と梅肉みその赤、それにサラダ菜、赤タマネギ、キュウリの薄切りがいい彩りで「おいでやす」とささやいた。その下にローストンカツが「主役のワイを忘れたらあきまへんでえ」と寝そべっていた。ローストンカツ1枚の存在感。さらに、いい色の出汁醤油が浅瀬のようにひたひたと波打っていた。うーむ。

         浜勝⑤ 
         かつ丼というよりかつ茶漬け
         浜勝⑥ 
         これこれ

トンカツは揚げ立てを少し冷ましてから出しているようだ。コロモがサクサクとしていて、ロース肉の柔らかさといい、予想以上の味わいだった。肉の厚さは7~8ミリくらいか。厚くもないが薄くもない。梅肉みそと山芋を付けて食べると味の強弱が楽しめるという構成。出汁醤油に浸った麦ごはんは、麦の他に黒米なども入っていた。ダシが意外に効いていて、薄味だが悪くない。キンキンには冷えていない。むしろ常温の感じ。麦ごはんはやや固め。木の匙(さじ)ですくって口中に運ぶと、「案外、イケるじゃん」という言葉が漏れてきた。

         浜勝⑦ 
         出汁つゆと麦飯

食べ終えると、頭の中で「あり得ない冷やしかつ丼」が「あり得る冷やしかつ丼」に変換していた。これは「冷やしお茶漬け」の進化系かもしれない。アキバのオタクの中にも「冷やしかつ丼」にハマっている輩がいるという。トンカツの揚げ立てサクサク感にも感心した。「冷やし親子丼」とか「「冷やしお好み焼き」が登場する日も案外近いかもしれない。ブラックジョークの世界が現実になる? 村長はドンブリの底をしばしの間じっと見つめた。


本日の大金言。

これまでの常識が通用しない時代に突入している。時には物の見方を変えて見ることも必要かもしれない。冷やしかつ丼もそのキッカケのひとつになり得る。



                     浜勝12 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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