「100食限定親子丼」680円の驚き

 人形町「玉ひで」や茅場町「鳥ふじ」といった親子丼の名店を制覇している彦作村長には少々不満がある。どちらもうまいには美味いが、値段が高すぎる。「玉ひで」などはランチタイムに行くと、1時間待ちもザラ。それで一番安い親子丼が「元祖親子丼」で1500円ナリ。「鳥ふじ」もランチタイムで950円。通常で1600円。店構えも立派で、それはそれで感動もあるが、へそ曲がりの彦作村長にはどこか気にくわない。懐石料理ではない。

          伊勢ろく④ 
          飛んで火にいる・・・

もっと手軽で美味い親子丼はないものか。敷居の高い親子丼に対して、安くて美味い「愛すべき親子丼」はないものか。上野・アメ横周辺をぶらぶら散策中に、そんな村長の乾いた目に「伊勢ろくの親子丼 スープ付き680円 一日限定100食」という看板が飛び込んできた。飛んで火にいる親子丼! 「伊勢ろく」は神田に本店がある老舗の鳥料理専門店。上野店も古い木造の3階建てで悪くない雰囲気だった。時計を見ると午後1時半。

                 伊勢ろく③ 
          伊勢ろく上野店


照明を落とした店内は、何やら江戸の昔の時代劇の世界のよう。1階は入るとすぐに白木のカウンターとテーブル席がある。カウンター席のすぐ前が調理場になっていて、料理人が忙しそうに親子丼を作っていた。手元を見るとガス台が6つほど。そこで一つ一つ見事な手さばきで親子丼鍋を操っていた。職人の誠実な作り方。これは信用できる。村長は直感した。すぐに「親子丼」を注文した。だが、680円という安さがどこか引っかかる。

         伊勢ろく 
         白木のカウンター

お茶とおしぼりと箸が置かれ、続いて、しその実の漬け物と鳥スープの順。手抜きがない。その後に主役の「親子丼」がやってきた。漆器のドンブリ。ふたを取ると、いい匂いとともに湯気が立ち上り、ふわとろの世界が現れた。卵は多分2~3個使っているだろう、黄身の部分が7~8割、卵白部分が2~3割で、その雲間から鶏肉の塊がゴロリゴロリと突き出ていた。数えてみたら4つほど。三つ葉の緑もいい色合い。やはり手抜きが感じられない。680円というのは何かの間違いではないか?

          伊勢ろく⑤ 
          ふたを開けると・・・
          伊勢ろく⑥  
          親子の関係
          伊勢ろく⑨ 
          このバランス

パラパラと七味唐辛子を振りかける。まずはひと口。江戸前なのかやや甘めだが、出汁が効いたやさしい味わい。鳥は放し飼いで育てた若鳥を使っているそうで、新鮮な食感だった。ご飯は多分コシヒカリでやや固め。そこにツユが滲みこんで、ふわとろの卵とのバランスがいい。シイタケが浮いた鳥スープはあっさりとしていてきめが細かい。店の雰囲気といい、手抜きのない味といい、これでこの値段とは・・・。量は少なめだが、大いなる満足感。

         伊勢ろく12 
         鳥スープ

勘定を払うときに、ふと「この安さで儲けが出るんですか」と聞いてみた。すると、店員さんは「うちの味を知っていただいて、夜も足を運んでもらえればと思いまして」。むむむ、で、できる。夜も来なければ、と思ってしまった。押し出しで村長の負け。ちなみに夜の親子丼は950円ナリ。



本日の大金言。

親子丼の歴史は明治になってから。人形町「玉ひで」で客が鳥鍋の残りをご飯にかけて食べていたことがヒントになったという説が有力。もともとは表立ったメニューではなかったようだ。浮雲や老父と食べる親子丼。お粗末。




                     伊勢ろく11
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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