大内宿の「くるみもりそば」とそば団子

 ポンコツの愛車で、5年ぶりの大内宿へ。戦国時代から江戸時代にかけての宿場町の面影を残す茅葺(かやぶき)の屋根の古民家が両側にずらりと並ぶ。あの豊臣秀吉も奥州仕置きの際にこの宿場町を通った記録が残っているそう。その後は会津ー日光ー江戸を結ぶ参勤交代の宿場町として栄えた。彦作村長の祖先も足軽として、この大内宿の軒先を利用して、雨をしのいだのではないか。今では観光客でにぎわう会津の見どころの一つになっている。

          山本屋 
          時代劇セットではありません

その大内宿は蕎麦のメッカでもある。高遠そばを箸の代わりに長ネギで食べる「ねぎそば」が名物となっているが、へそ曲がりの村長は、ねぎそばではなく「くるみそば」を売り物にしている「金太郎そば 山本屋」に入ることにした。3度目の訪問。入り口では「じゅうねんみそ」を付けた焼きだんごとそばがきだんごを炭火で焼いていた。観光客さえいなければ、江戸の昔にタイムスリップしたよう。

          山本屋14 
          この風情

江戸時代中期の建物をそのまま利用した店内は、広い座敷になっていて、さり気なく炉端もある。村民2号が「ここは先代の金太郎さんがそば屋を始めたのよ。この近くで採れたそばの実を石臼で挽いて自家製粉している本格的な手打ちそば屋さんなのよ。でも、十割そばでなくつなぎに小麦粉をちょっと使っているので、十一そばなんだって。十一そばなんて聞いたことないわ」とウンチクをひとくさり。

         山本屋③ 
         お品書き

煤(すす)でいぶられた真っ黒い天井を仰ぎながら、「くるみもりそば」(900円)を注文する。店先で焼いていた「焼きだんご」(大1本300円)と「そばがきだんご」(小2本300円)も注文する。お通しが二品。「ぜんまいとシラタキの甘辛煮」にまずは舌鼓。薄味で辛口の村民2号が思わず「うまい」と唸る。「大根の酢漬け」も麹でも入っているのか、何とも言えない甘みで、ついお土産にしてしまったほど。

        山本屋④ 
        焼きだんごとぜんまいの甘辛煮

やがて、主役の「くるみもりそば」が登場。そばは量は少なめ。細打ちで、コシが強く、ほどよく出汁の効いたツユに付けて食べると、いい風味が口中に広がった。新そばはもう少し先だが、この時期のそばとしては、まずまずの味わい。

         山本屋⑧ 
         くるみもりそば
         山本屋10 
         コシとエッジが立っている
         山本屋⑨ 
     山ぐるみの薬味

山ぐるみをすり潰した薬味を加えてみる。くるみのまろやかな風味が悪くない。村長はさらに薬味を加えてみる。大根おろしとワサビ。刻みネギも入れる。すると、意外な化学作用が起きた。イケる。
味わいに強弱が付き、最後に口中に残るくるみの風味が、そばの旨味とともに風雪に耐えてきた大内宿の営みの歴史を運んでくるようだった。一瞬の風。この建物の中で食べることが確実に味わいに深みを増している。

        山本屋⑦ 
        香ばしい焼きだんご
        山本屋⑥ 
        こちらはそばがきだんご

「焼きだんごは甘味噌が香ばしくて、まずまずの味。餅はもう少し柔らかい方がいいと思うけど。ま、こんなもんかなという味ね。上州の焼きまんじゅうの方がうまいわよ。そばがきだんごは文字通りにそばがきを団子にして油で揚げたもので、甘辛のゴマだれがよく合っている。私はこっちの方が好き。くるみそばはちょっと高いかな」
上州女の村民2号がエラソーにのたまった。 
「観光名所としてはこの味で十分だと思うよ。地産の物で添加物など使っていない作り方も好感が持てる。村長はぜんまいの甘辛煮に感心したよ。会津若松市内で食べた有名店のものと遜色なかった。さり気ないサービスがいい。それに何よりも、縁側に座って観光客の相手をしている、大内宿の昔美人たちが元気でいい。最後に頼りになるのはやっぱりおばあちゃんだな」
「私もン十年後はああなりたいわ。もっとも、その時には村長は天国行ってると思うけど」
「・・・・・」


本日の大金言。

大内宿の商売熱心は訪れる人を驚かさせるかもしれない。だが、京都も川越も商売熱心に変わりはない。そうした表層の奥にある人間の営みを見る。




                      山本屋12 
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味よりも建物だ

大内宿は確かに観光化しすぎですね。建物には感動しましたが、そばにしても何にしても期待していたほどではなかった。私もその中では山本屋はよかった。地場の天ぷらも美味かったですよ。値段が高めなのは場所柄しかたないのでは。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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