「立石の伝説」鳥カラと再会

砂漠に陽が落ちる頃、東京の下町・立石は居酒屋の街に変貌する。彦作村長は約10年ぶりに京成線立石駅に降り立った。周辺の居酒屋をしばらく散策してから、目的の「鳥房(とりふさ)」を目指す。ここの「若鳥唐揚げ」は、あのケンタッキー・フライド・チキンが「立石だけは鳥房があるから出店を見合わせた」という、ウソか誠かわからない伝説を持っているほど。10年ほど前、今は京都にお住いの調布先生たちと10人ほどで繰り出したことがある。そのときの驚きは今でも覚えている。ジューシーなどという言葉では到達できない旨さだった。

          鳥房⑨
          時代劇の世界?

今回の立石ツアーはメディア界のカミツキガメ氏の音頭で、跳び蹴り女史も参戦した。彦作村長はこのところ「胃変」で節酒中だが、「鳥房」の名前に惹かれて、胃薬をがぶ飲みしてから参戦したのだった。「鳥房」は10年前とほとんど変わっていなかった。昭和の下町がそのまま残っている。駅前商店街の通りに面して表が鶏肉専門店、その並びが居酒屋になっている。江戸茶のくすんだ暖簾(のれん)と障子戸に大きな墨文字で「鳥房」と描かれている。何やら時代劇のセットの中にでも紛れ込んでしまったような錯覚に陥る。

         鳥房10
         下町価格

時刻は午後6時半過ぎ。10年前は行列状態だったが、混み合っていたものの、スッと入れた。座敷の手前を指定されて、そこに陣取る。ほぼぎゅうぎゅう詰め状態。瓶ビール(560円)と本命の「若鳥唐揚げ」(時価)を注文する。「今日は630円と650円、どっちにしますか?」と店の名物おばさん。「若鳥唐揚げ」は半身のデカさで、これを一人一人前食べることが暗黙のルールになっている。戦後すぐからのこの店の看板メニュー。「20円の違いは何?」と彦作村長。「肉の量です」「20円分?」「そうです」。このシュールな会話がたまらない。「では650円の方お願いします」。

          鳥房④
          この付き出しが絶品

注文してから揚げるので、時間がかかる。その間、付き出しの「鳥皮の甘辛煮」をつまむ。肉の付いた鳥皮と生姜を甘辛く煮たもので、これが絶品。ご飯が欲しくなるが、我慢がまん。20分ほど待って、何とも言えないいい匂いと共に「若鳥の唐揚げ」がズシンと登場。国産の若鳥を下味を付けてから三度揚げして出すという手間ひまをかけているそうで、見るからに旨そう光線を放っていた。半身揚げなのでそのデカさに目を見張らされる。キャベツの千切りパセリとレモンがいい合いの手で、レモンをギュッと絞ってから、熱々の半身を箸でさばく。ほとんど格闘。よだれが出かかる。

         鳥房⑤
         このデカさとボリューム
         鳥房⑦
         匂いが伝えられないのが残念

ガブリと行く。コロモはない素揚げで、まず表面のパリパリ感が秀逸。調味料は塩だけという話だが、村長はかすかに醤油と何かの隠し味を感じた。その何かはわからない。絶妙なジューシーで旨味がにじみ出てくる。だが、しばらくすると、村長の舌に変化が起きた。単調な味に飽きが来始めたのだ。どうしたことか? 10年前のあの感動がない。村長の舌がおかしいのか? カミツキガメ氏は完食。跳び蹴り女史は半分残し。何故だ? 村長は呆然と残った唐揚げを見つめた。だが、我に返ると、もったいないので、名物おばさんに「お土産」で包んでもらい、外に出た。立石慕情。次の暖簾の灯りが「おいでおいで」していた。


本日の大金言。

立石では長居をしてはいけない。サッと飲んでサッと切り上げる。この立石ルールを知らないと、親父や女将にとっとと追い出されるので注意が肝要。江戸っ子の原点のような気風に怒ってはいけない。





                  鳥房③
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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