「大衆酒場」の串かつと揚げ出し

 居酒屋の街・北千住の中でも、「大衆酒場 幸楽(こうらく)」はその名の通り、もっとも「大衆酒場」らしい居酒屋だと思う。「永見」や「天七」「シチュー屋」などとともに駅西口の飲み屋横丁を代表する老舗居酒屋だが、格式や過剰なこだわりが感じられない。それはオープンの時間が平日は午後3時、土日祝日などはお昼から店を開けていることでもわかる。創業ははっきりしないが、太陽が高いうちから飲める居酒屋として、日本の高度成長期にはすでにノレンを下げていたようだ。「幸楽」には「大衆の時代」の匂いが残っている。

           幸楽3  
           敷居の低さ

午後6時ちょい前。彦作村長は志村けんのヘンなおじさん気分で、久しぶりにこの「幸楽」のノレンをくぐった。友人はまだ来ていなかった。店内は広く、いかにも下町の中年の女性店員が注文取りに勤しんでいた。入り口のすぐ左手が厨房で外からも、ヤキトリを焼く姿が見える。メニューがやたら多いのも「大衆酒場」らしい。彦作村長は生ビール(中480円)頼んでから、「串かつ」(480円)と「もちとなす揚出し」(450円)を追加した。

          幸楽⑤  
          揚げ立ての串かつ
          幸楽⑥  
          やっぱりウースターソース

注文してから作り始めるので、少々時間はかかるが、揚げ立ての「串かつ」がやってきた。2本。新鮮なキャベツとレモンが添えられている。村長はウースターソースをかけてから、ガブリと行った。アツツ。慌ててフウフウしながら、味わうと、パン粉の衣の存在感の強い串かつで、その感触は悪くない。肉は多分モモ肉だろう、やや固め。甘いタマネギと交互に食べると、じんわりと大衆酒場の中の幸せ感に包まれてくる。フツーのうまさで、味は特別なものはない。揚げ物に関してはすぐ近くの串揚げ専門「天七」にはかなわない。だが、この店の開放感という別の味付け具合がいいのである。

         幸楽⑨ 
         もちとなす揚出し
         幸楽12 
         意外なうまさ

「もちとなす揚出し」は意外なうまさだった。出汁の効いた薄口のツユがいい味だった。油で揚げた柔らかい餅とナス、それにシシトウとなめこがいい小料理屋のような味を作っていた。大根おろしと大葉も効いている。かような一品をさり気なく出すことに、正統派「大衆酒場」の実力と誇りを感じる。大衆にやさしい酒場。A級ではなくB級の活気としみじみ感。失敗も挫折も飲み込んでくれる懐の深さ。

入り口の高いところにセッティングしてあるテレビに楽天の三木谷が映っていた。楽天優勝セールの価格偽装で記者会見した様子を流すニュースだった。三木谷は多分「大衆酒場」の意味も力も知らないだろうな。知ろうともしないだろうな。そう思うと、愉快な気分になった。


本日の大金言。

大衆酒場の主役はサラリーマン。そのサラリーマンに格差が広がっている。大衆酒場の土台が崩れかかっている。




                    幸楽③ 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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