紅葉と天然かき氷の出会い

 「紅葉を愛でながら、天然かき氷でも賞味しに行くとするか」
めっきり寒くなり急いで出した灯油ストーブに当たりながら、彦作村長がつぶやいた。
ダイエットのために始めたラジオ体操中の村民2号が、ぎょっとした顔つきになった。
「前半はわかるけど、後半は意味がわからない」
「秩父・長瀞(ながとろ)に天然かき氷の美味い店があるんだよ。長瀞はちょうど紅葉の真っ盛り。紅葉を見ながら、かき氷を食べる。我ながらいいアイデアだなあ」
「私はかき氷なんて食べないわよ。付き合ってられないわ」

          阿左美冷蔵11 
          猫だって楽しむ長瀞の紅葉

その約3時間後、ウマズイめんくい村の怪しい一行は秩父鉄道・長瀞駅近くの「阿左美冷蔵宝登山道店(あさみれいぞうほどさんどうてん)」にいた。岩畳の紅葉は例年よりくすんでいたが、スケール的には満足いく内容だった。「阿左美冷蔵」は皆野町金崎に本店があり、埼玉で唯一の天然の氷を今でも作っている。ここはその唯一の支店。ちなみに天然の氷室(ひむろ)を持っているのは今では全国でも5軒しかないそう。

         阿左美冷蔵① 
         モダンな阿左美冷蔵(宝登山道店)

白を基調としたガラス張りのモダンな建物で、木のテーブルが8つほど。カウンターにはかき氷の器械があり、BGMはフュージョンが流れていた。ホントは夏に来たかったのだが、1~2時間待ちと言われて、腹立ちまぎれにリベンジを誓ったのである。

         阿左美冷蔵② 
         シンプルなメニュー

天然かき氷メニューの中から、村長は「抹茶あずき黒みつ付き」(800円)を選んだ。「氷あずき」(700円)よりお得感があるような気がしたからだ。
「かき氷のメニューしかないけど、他にコーヒーとかはないの?」
村民2号が棘のある声で女性スタッフに聞いた。
「コーヒーならございます。400円です」
「じゃあ、それ。いくら天然でも、かき氷なんて冗談じゃないわ。からだを壊しちゃうわよ」

シャカシャカシャカという小気味いい音が終わり、お盆に乗って「抹茶あずき黒みつ付き」が登場した。村長は思わず息を飲んだ。木の器に真っ白い天然かき氷がそびえたっていた。高さは優に25センチほどはあろうか。何という絶景。抹茶のシロップと黒みつをかけると、絹のような光沢のかき氷に緑とこげ茶が浸食していった。恐るべきビジュアル。

         阿左美冷蔵④ 
         絶景かな
         阿左美冷蔵⑤ 
         抹茶シロップをたら~り
         阿左美冷蔵⑧ 
         黒みつもたら~り

木のスプーンでまずはひと口。最初のアタックはふわりとしたきめ細やかさ。これが天然かき氷の力なのか?
寒くても美味。冷たさが気にならない。抹茶と黒みつの甘みが口内に秘密のオアシスを用意してくれるようだ。次に、村長の手は深掘りをして、あずきへと向かった。思った以上にあずきが埋蔵してあった。うれしい誤算。蜜のせいかかなり甘い。だが、それは村長の好み。小豆の風味も悪くない。10分ほどでエベレストがきれいになってしまった。800円は高いが、納得感もじんわり出てきた。

         阿左美冷蔵⑨ 
         あずきの冷たい至福

大いなる満足感でコップの水を飲む。これがいけなかった。マズイ。
「これって天然水?」と女性スタッフに聞くと、「いえ、そちらは水道水です」。
せっかくの天然かき氷の美味さが口内から消えて行った。マズイ水道水の後味が残る。
「コーヒーはうまいわよ」
村民2号がうれしそうに言った。


本日の大金言。

紅葉と天然かき氷を同時に楽しむぜいたく。へそ曲がりの美学。禁断の味わい。天罰が下ることだってある。




                      阿左美冷蔵10 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カキ氷に驚きました

長瀞の阿左美に行ってらっしゃったですね! 軽井沢のちもとで、天然カキ氷を食べなかったことを悔やんでらっしゃったので、心配してたんですよ。

でも、こんな寒い時期に行って、抹茶アズキ黒蜜を食べるなんて。村長らしいと思いました。

迫真のレポートに感動しました。でも、村民2号さんのお気持ちもわかります(笑)。アズキのこと、もっともっと取り上げてください。

付記 猫と紅葉のお写真、よかったです。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR