埼玉で驚きの「あんぱん」

 ここがパン屋? 最近、美味いパン屋が多くなっているが、そのほとんどはコストパフォーマンス的に首をかしげざるを得ないことが多い。知人のグルメ特派員からのメールで、「意外な場所に不思議としか言いようのないパン屋さんがある。イーストと天然酵母のパンを少量しか作らない。それなのに焼き上がる時間には客が殺到する。村長も一度、覗いてみてはいかがですか?」と挑発するかのような文面だった。またか、と思いつつ、ダメもとでポンコツ車を走らせた。時刻はちょうど昼飯時。パン好きの村民2号が鼻歌を歌っている。

          cimai① 
          どこにもない場所? 看板もない

それが、埼玉・幸手市の「cimai(しまい)」というパン屋だった。幸手市役所の裏手の通りに面しているが、看板もない。白を基調にした、中古の二階建て。木のドア。よく見ると、壁の左に小さく「cimai」というロゴ。言われなければ、そこがパン屋だとは知る由もない。だが、ドアを開けて一歩入った途端、密度の濃い、香ばしいパンの匂いが押し寄せてきた。目の前に焼き上げられたばかりのパンと焼き菓子が、どこかフランス下町の駄菓子屋風に並べられていた。パンの焼き上がりはオープン時の正午がイースト発酵のパン、午後4時が天然酵母のパン。その間にスコーン類やキッシュなども焼いているようだ。

         シマイ② 
         この香ばしさは何だ?

奥が広い厨房になっていて、そこで店名の由来でもある姉妹がパン作りに精を出していた。他に若い女性スタッフが2人。アンティークなインテリアが今流行の軽さを感じさせるが、どうしたわけか浮ついた感じはしない。只者でないこだわり方。右手に小さなテーブルが二つあり、そこでコーヒーを飲むこともできる。村民2号が「リンゴケーキ」(1カット260円)と「スパイスチョコ」(200円)コーヒー(400円)を頼んだ。村長は、目ざとく「あんぱん」(150円)を追加した。値段は安くはないのに、次々と車でスノッブな客がやってくるのがわかった。埼玉の片田舎に、日本なのに日本ではない場所。

          シマイ⑤ 
          絶妙あんぱん、めっけ

「リンゴケーキ」は天然酵母で発酵させたパン、と言ってもいいような焼き菓子で、外側がカリッとしていて、中の生地は蜜煮した半透明のリンゴとナッツが散りばめられていて、食感はねっとりしていた。甘さはかなり控えめで、その素朴な味わいに感心した。だが、村長が驚いたのは「あんぱん」だった。素材は小麦、乳、イーストとしか書いていない。焼き色がきれいなきつね色で、手で割ろうとすると、別れるのを惜しむかのように、生地が離れようとしない。そのもっちり感は只事ではない。

          シマイ⑧ 
          あんぱん、リンゴケーキ、スパイスチョコ
          シマイ5 
          外側カリッ、中はムニュ
          シマイ2 
          恐るべきあんぱん

つぶあんも自家製で、風味が立っていた。甘さが控えめ。ここでも余分な砂糖は使わないという姉妹のパン職人の決意のようなものを感じる。これだけの美味いあんぱんをメニューの一つとしてさり気なく作っていることに、あんこマニアで辛口の村長もポカンと口を開けるだけだった。

          シマイ7 
          チョコのパン

「こんなところにこんなパン屋があることがまず驚き。埼玉でも隠れナンバーワンという人もいるらしいわ。でも、ちょっと値段が高い。内容から見てそれは仕方がないかもしれないけど、お金があるときしか来れないわ」
「とにかく小さいのに圧倒的なパン屋だと思う。毎日は無理だけど、週に一回くらいはここのパンを食べに来てもいいね。パンの美味さが半端ではない。あんぱんには驚いたよ」
「村長の稼ぎじゃ、週一も多すぎよ。すぐに売り切れちゃうのも痛し痒し。でも、こういう店はこのままがいい。そっとしといてあげたいわ」
「教えたくない店ということかもなあ。ブログに書くのもやめようかな・・・」
「バレバレよ。オシマイってダジャレで締めたいんでしょ?」
「・・・・・・」


本日の大金言。

高くて美味いと安くて美味い。B級の王道は安くて美味いだが、高くても美味いを容認したくなる店もたまにはある。こだわり方にお賽銭・・・。




                       シマイ 



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とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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