札幌味噌ラーメンは月一回でいい

 彦作村長は記者時代、札幌が大好きだった。仕事で出張の話があると、真っ先に手を上げて、「あ、それ、ボク行きます。2泊3日はきついですけど、最低でもトップ原稿2本とサブ原稿7本は取材してきます。まっかせてください」などと真面目に大ぼらを吹いて、デスクを煙に巻いて羽田からビューンと千歳まで飛ぶ。

札幌に足を入れた途端、まるでホームグラウンドに来たような気分になって、あちこち歩き回った。夜はジンギスカンの赤ちょうちんに入り、面白い店はないかと鼻をひくひくさせる。腰痛ヘルニアになってしまった現在では、とても考えられないくらい元気だった。

で、楽しみの一つがラーメン横丁だった。まるでモグラの巣穴のような狭い路地にラーメン店が密集している。「味の三平」とか「ひぐま」といった人気店の前には行列ができていた。「味の三平」は味噌ラーメンの元祖で、中華鍋でもやしなど野菜をいためて、そこにスープと味噌を入れて、仕上げるという「札幌味噌ラーメン」の形を作った店だ。西山製麺の麺をいち早く使ったのも「味の三平」と言われている。

「ひぐま」は日本はもちろん、フランスのパリにまで進出して成功するなど、「札幌味噌ラーメン」を世界ブランドにまで広げている。彦作村長がパリでルーブル美術館近くの「ひぐま」に入って、パリッ子と一緒に安ワインをを飲みながら、チャーシューや餃子を食べた話は以前書いた。

札幌で食べた味噌ラーメンは格別だった特に夜遊びした後の味噌ラーメンは「チクチクするような」罪の意識までを北の大地の香ばしい味噌が、赤塚不二夫のような大きな心で「自分を責めるな、それでいいのだ」と慰めてくれるようだった。

東京でも麦みその「銀座時計台」やFC展開している「「むつみ屋」をはじめ「純連」「味の時計台」など、あの濃厚な味噌と中太の縮れ麺を食べたくなったら、谷岡ヤスジのバター犬みたいに飛び込んでは北の大地を思った。

〈ここでお詫びギャグが古すぎるというのは理解しておりますが、「2人のギャグ漫画の天才」赤塚さんと谷岡さんは村長が最大限に尊敬しているので、使わせていただきました。かつては大変お世話になりました。こんな使い方をしてすみません。


                 久喜・ふきのとう① 


さて、ウマズイめんくい村の村長になってからは札幌味噌ラーメンを食べる機会が減った。というのも、元々寒冷地である北海道で誕生したことと関係しているが、「体を温める」効果を高めるために、ラードとにんにくの割合が多い。そこに独自にブレンドしたした味噌。それが病み付きになる秘密でもある。

「ひと月に一回ならいいわよ」
悲しいかな、健康に問題を抱える彦作村長が、うるさい村民2号からようやくとった許可である。札幌味噌ラーメンはこのペースがいい。

で、7~8年前からそっと通っているのが、埼玉県久喜市の「らーめん屋 ふきのとう」。ここは店主が北海道出身で、しかも使っている麺はあの西山製麺の黄色味がかった中太縮れ麺。札幌のラーメン横丁に負けない本格的な味噌ラーメンで、村長が太鼓判を押せる店だ。

醤油らーめん(750円)、塩らーめん(750円)も掛け値なしにうまいが、ここはやはり味噌らーめん(800円)を注文。たぶんとんこつベースに、味噌も麦味噌など数種類をブレンド、ひと言では分析できないほどのさまざまな要素が詰まった濃厚で甘めでコッテリしたスープと西山の中太縮れ麺が実によく絡まる。ほのかに山椒の香りも混じっている。

そこに千切りした白ネギと洗練されたシナチクが合いの手を入れる。厚めのチャーシューは豚ばら肉を柔らかく煮込んでいる。そこに半分に切った半熟の煮卵。麵の量は少々少な目。「味の三平」など元祖系のように、もやしやタマネギなど野菜はほとんどない。


         久喜ふきのとう② 


いま札幌でも人気店である「純連」のような、ある意味で「余分なもの」をそぎ落としてスープの中に練り込んだ、とでも表現したくなる「進化系の味噌ラーメン」と言える。とろけるようなうまさ、である。

「そこが難しいところだけれど、ラードとか背脂をもう少し少なくしてくれたら、月に3回は許可するわよ。家計もあるけどね」
美熟女の村民2号が、無茶なことを言って、チクリと釘を刺す。

日差しが強くなってきたウマズイめんくい村の午後のひと時。村長は最近急増している村民2号のお腹のあたりのラードを思って、自分がとろけてしまいたくなるのだった。


本日の大金言。

ラードの少ない味噌ラーメンとラードの少ない人生、どっちが幸せなんだろうか?


          久喜ふきのとう③
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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