「ねぎチャーハン100円」の驚き

 東京・上野に所用があり、その帰りに久しぶりに大宮駅で途中下車。西口のソニックシティビルの裏手、「大宮ラーメン激戦区」をウロウロしていると、「焦がしねぎラーメン 葱次郎」という看板が目に入った。午後3時過ぎ。新聞チラシみたいな野暮ったいラーメン屋。すぐ近くには人気店「らーめん102」や「麵処ほん田」がある。それらの洗練とはほど遠い、統制のとれていない、その外観が気になった。このラーメン激戦区で、これだけの野暮ったさ。何かあるに違いない。

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           ラーメン激戦区の「葱次郎」
           葱次郎③ 
           むむむ100円?

入り口のタテ看板の一番下に「ねぎチャーハン100円 お一人様1点限定」と書かれていた。うーむ。店内はL字のカウンター席のみで、12人ほどで満員になるほどのスペース。時間が時間なので客は3人ほど。券売機で「煮魚つけめん」(並盛730円)と問題の「ねぎチャーハン」(100円)を選んだ。「煮魚つけめん」は豚骨ベースに魚を加えて煮込んだこってり系のつけ汁で、この店の人気ナンバーワンと表記されていた。麺は中太で山芋を練り込んでいるそう。スタッフは男性一人と女性一人。その女性がなかなかの美人だった。

           葱次郎② 
           無秩序のバランス

カウンターの前が厨房になっていて、注文と同時に、店長らしき男性が驚くべきスピードで中華鍋を操り、チャーハンを作り始めた。作り置きではなく、注文してから作ることに軽く驚いた。100円でまさかの展開。そのチャーハンが美味だった。量は半チャーハンだが、自家製チャーシュー、卵、長ネギがふんだんに入っていて、しっかりと焼かれたライスのパラパラ感がとてもいい。味付けはやや濃いめだが、村長がこれまで食べた半チャーハンの中ではベスト3に入るレベル。有楽町ガード下の「谷ラーメン」の半チャーハンも美味だが、400円もする。これは一つの発見だった。

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           チャーハンと温野菜
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           まさかのチャーハン

さらに驚いたのは、まるで前菜のように「温野菜」が出てきたこと。サービスだとか。ほうれん草ともやしのあっさり味だが、この意表を突く展開自体がここがラーメン激戦区であることを物語っていると認識。その2~3分後、「煮魚つけめん」がやってきた。麺は中太でやや黄色みが強い。コシがしっかりしていて、エッジも立っている。モチモチ感もある。

           葱次郎⑦ 
           よくある構成だが
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           チャーシューとつけ汁

つけ汁は脂の透明な膜が表面に横たわり、熱い泥沼のようなこげ茶の奥から、湯気とともに複雑な魚介の匂いが立ち上がってきた。点々と何かが浮いている。ざらざら感のある恐るべき濃厚。レンゲですくってみると、焦がしネギや刻みネギとともに、チャーシューがゴロゴロ潜んでいた。うーむ。旨そうだが、身体によくないかも。そんな思いがチラと走る。

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           豚骨と魚介の濃厚

麺をつけてズズズとすする。むむむ、濃い! 魚介と豚骨の出汁がじわじわと口内に広がる。焦がしネギだけではない、たぶんタマネギの甘さが味覚に侵入してくる。山芋麺の歯ごたえは悪くない。15分ほどかけて並盛で400グラムというつけ麺を何とか制覇する。あちこちに戦闘の跡。無秩序の満足感にしばし浸る。この店をどう評価していいのだろう? 混乱する頭の中で、100円チャーハンが燦然と輝いてくるのだった。


本日の大金言。

整然と混沌。日本とアジア。アポロンとデュオニソス。ラーメンの世界にもこの二つの流れがはっきりしてきているようだ。両方を愛することもむろん可能だと思う。



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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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