京都老舗「ぼた餅」の微妙

 和菓子の本場は京都であることにむろん異論はない。いい素材と伝統のワザに裏打ちされた味の数々は筆舌に尽しがたい。京都にお住いの調布先生によると、「あちこちに店を出すようになったらお終いですよ。本物は亀末廣のように、デパートからいくら声が掛かっても、絶対に出店しまへん。老舗とはそういうものです」とか。なるほどそういうものか、と妙に納得する。

          仙太郎② 
          行列の意味

東京の老舗デパ地下を散策中に、行列の和菓子屋と出会った。虎屋など有名老舗はさほど混んでいないのに、これはどうしたことかと覗いてみたら、「仙太郎」だった。上菓子ではなく、生菓子専門の京都の老舗。老舗と言っても、1886年(明治19年)創業なので、奥の深い京都では老舗とは言えない。

村長は取り敢えず並ぶことにした。「ぼた餅」や「ご存じ最中」などが売れ筋のようで、実に美味そうに並ぶ生菓子を見ながら、「ぼた餅」を2種類(あんこときなこ、それぞれ260円)買い求めた。260円という価格は安くないが、1個の大きさと見事な風格に敬意を表することにした。「おはぎ」と言わず「ぼた餅」と言ってるのもさすが京都、と感心。商売の上手さも感じる。

          仙太郎④  
          包みを解くと・・・

賞味期限が本日中だったので、大急ぎでウマズイめんくい村に持ち帰って、賞味することにした。先日、東京・有楽町の「おかめ」で、瘋癲北欧先生がこの店の名物、特大おはぎを美味そうに食べたので、そのことも頭にあった。包みを開けると、見事なぼた餅が現れた。だが、店で見たよりもほんの少し小さく見えた。「おかめ」よりもひと回り小さい。目がおかしくなったのかもしれない。
            

まずは定番のあんこを賞味してみた。外側を包む粒あんは見事な色合い。小豆界の最高峰と言われる丹波大納言小豆を使用し、砂糖は北海道産のグラニュー糖、熊本産天草の天然塩を使用というのはダテではない。さらに中の八分づきのもち米に目を見張らされる。半透明でつややか。点々と青じそが入っている。ほどよい甘さと青じそのかすかな風味、ほんのりと塩加減。だが、と村長は思う。あんこの量がもう少しあった方が、ぼた餅という名前にふさわしいのではないか。底にあんこがないのも気になる。

          ぼた餅②  
          ごくり
          仙太郎13 
          見事なもち米

次にきな粉へと移った。村長はこちらの方が好みだった。かなり多めのきな粉がいい。揺すると、きな粉が崩れる。中のあんはほどよい甘さのこしあん。こしあんを包むもち米にはやはり青じそが点々と入っており、それらがきな粉の立ち上がるような風味とケンカしていない。それどころか、三位一体となって、口中の粘膜に「どうどす、どうどす、おいしいですやろ?」とささやいてくるよう。確かに美味。脳がシビレテくる・・・。だが、と村長はまたも思う。

           ぼた餅④  
           多めのきな粉がいい
           仙太郎⑦ 
           中はこしあん
           仙太郎11 
           青じその風味も

雰囲気と洗練をとるか、コスパを取るか。ハムレットの心境で、村長は大いに悩んだ。ぼた餅本来の意味を考える。1個260円ナリの意味。デパ地下の行列の意味も考える。高くて美味いは当たり前、安くて美味いこそウマズイめんくい村の本道と思い直す。村長にとって、仙太郎のぼた餅は微妙である。


本日の大金言。

いい素材を使えば高くなる。見かけがよければ、さらに心が動く。だが、そこに見失ったものが潜んでいることだってある。




                      仙太郎14 









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一言だけ

仙太郎は確かにコスパ的にはどうかと思うけれど、あの品のいい味は、仙太郎だけ。むずかしいことは抜きにして、口福堂のおはぎを絶対に食べるべきです。あれこそコスパのいいおはぎですじゃ。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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