吉田麻也と徳永悠平と小倉アイスの三角関係

 一昨日はなでしこ、昨夜はサムライジャパン。不況、原発、オスプレイ・・・苛立つことがあまりにも多く、東日本大震災以来、日本の辞書から、「快哉(かいさい)」という言葉が消えていたが、この2日間は違った。イギリスから生中継されるサッカーに猛暑の列島が息を飲み、手に汗を握り、最後には「やった!」と快哉を叫ぶ。そういう人が多かったのではないか。興奮して眠れず。会社勤めのサラリーマン、OLなどは今日は仕事にならないのではないか。

「こうした閉塞的な時代状況は危ないな。マッチ一本火事の元、じゃよ。悪い連中が何かを企んどる」
心配性の文吾ジイが、木陰のベンチでつぶやいている。

そんな心配とはまったく無関係に、昨夜のウマズイめんくい村はエキサイトしていた。村のアイドル犬・チャイが必死に闘病しているというのに、この村はどこかヘン。

「行け行けーっ、永井! 何やってんだー、またははずしやがって~」
テレビの前で、美熟女の村民2号が、女をかなぐり捨てて、絶叫する。スペイン相手に大津のゴールで1点先取、その後は再三決定的なシュートチャンスを逃し続ける日本。
彦作村長の戦前の予想では、日本は0-2で負け、と出ていた。実力差を考えると、最高にうまくいって引き分け。それが、違った。あり得ないことが目の前で展開している。
「そこだそこだ、酒井! 回し蹴りだ、回し蹴り!スペインのパエリア野郎なんて潰しちまえ!
彦作村長も缶ビールを飲み飲み、柿の種を放り込んでは、サッカーを格闘技と勘違いしてるみたいに絶叫する。
「ドロップキックで行けー!斎藤、そこはパスじゃない、コブラツイストだろ!」

で、ハラハラドキドキしながら終わってみれば、戦前の予想を覆して0-1の勝利。
「やった、やった!」
選手でもないのに、一試合終えたようなすっきりした顔で、村長と村民2号は手を取り合った。
「今日のヒーローは大津と清武かなあ。永井もよかったけど、あれだけ外しちゃうとなあ」
と村長。
「全員よ、全員の意識がすごかった。このチームはダメかと思っていたけど、やればできる。最後は気持ちよね」
村民2号が、まるで解説者のようなことを言う。
「ちょっと待てよ。ディフェンダー陣の踏ん張りも付け加えたいなあ。特にオーバーエイジの吉田と徳永。0点に抑えたというのも凄い。影のMVPだよ」
「それは言える。特にアタシの好みは吉田麻也。小倉アイスみたいな人よね。地味だけど、ここというときに頼りになる。村長の対極ね」

一夜明けた本日。猛暑がまた始まった。先日は「氷あずき」を取り上げたが、猛暑の救世主として、忘れてはならないのが「小倉アイスさま」である。
「ああ、暑くて死にそうだ。もうダメだ」というときに、危険を察知して、さっと横から体を入れてボールを奪う。氷あずきがイチローなら、小倉アイスは吉田麻也と言えないこともない。(このあたりはかなり強引である)。

彦作村長は東京・湯島にある甘味屋「みつばち本店」の小倉アイスのファン。大昔に池之端に下宿していたころに、よく通った。
小倉アイスは、この「みつばち」が元祖だ。大正4年、余った小豆をたまたまアイスクリームの桶に入れておいたところ、偶然にも「飛び切りにうまいアイス」、つまり「小倉アイス」が誕生したという。傑作は偶然生まれる。しかし、そこから、一つの形にするのは「天才的なひらめき」が必要である。小倉アイスは今では全国に存在する夏の定番だ。地味ではあるが、日本の夏になくてはならないものとなっている。

彦作村長は、久しぶりに江戸の浅草に出かけた際に仲見世にある老舗の「梅園」に足を運んだ。氷あずきにしようか小倉アイスにしようか、1分ほど悩んだが、財政事情を考えて、「小倉アイス」(220円)を選んだ。

「氷あずきは店内で食べれますけど、小倉アイスは外でお願いします」

無愛想な女店員のひと言も、小倉アイスに深いシンパシーを感じさせた。


               桜園・小倉アイス① 


赤い番傘と緋毛氈(ひもうせん)に座って、小倉アイスにかじりつく。最中が柔らかすぎる。これはイカン。小倉アイス自体は「みつばち」には敵わないが、甘さ控えめでまずまず。小倉の存在をもっと出した方がいいと思うが、200円なので、あまり多くを求めてはいけない。(みつばちは300円と少々高め)。

小倉アイスには2つのタイプがある。みつばちや梅園のように小倉をアイスクリームの中に練り込んだもの、男女関係に置き換えると長くて抜き差しならない深い付き合い。夫婦とか訳ありのカップル型。もう一つはアイスと小倉が別々に最中の中で寄り添っているもの。まだ結婚までは行っていない恋人型だ。

その「恋人型小倉アイス」の代表格がここ数年、北関東でファンが増えている「茶寮 かめ福」の小倉アイス(200円)。ここは鯛焼きが絶品だが、今回は小倉アイスを取り上げてみた。最中がパリパリしているのがいい。アイスクリームは可もなく不可もなくだが、下で寄り添っている小倉あんがいい。使っているのは、北海道十勝産小豆。鯛焼きもそうだが、甘さ控えめで、これだけいい食感と味わいの小倉あんは、値段も含めてそうはない。


         つる亀・アイス最中 


35度を超える猛暑の中、二つの小倉アイスを賞味し終えた彦作村長。愛用のオンボロ自転車に跳び乗ると、月光仮面気取りで、どこかへと去って行った。「シオタもいいが、やっぱりオグラが必要だな」などと妙なことをつぶやきながら。チャイは大丈夫だろうか?


本日の大金言。

小倉アイスが甘味界の吉田麻也なら、徳永悠平はサッカー界の冷やしぜんざいである。若い選手の興奮を冷やして、敵に甘いトラップをかけ、最後にはゼンザイ(サン)を奪ってしまう。この甘い三角関係が勝利のカギとなる。
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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