「一子相伝」氷あずきの微妙

 蔵の街・栃木市に足を伸ばすことにした。ここにある甘味屋「冨士屋」は、村長のお気に入り。以前、「小倉ソフト」(330円)を賞味して、その小倉あんとソフトクリームのあまりの美味さに仰天、栃木味覚文化を見直すきっかけとなった店。ここは今川焼き(志”まんやきと称している)も絶品だが、夏のこの時期は、小倉ソフトに限る。ここで、村長は「氷あずき ソフト付」を目ざとく見つけた。

          冨士屋①  
          「冨士屋」の店構え(栃木市)
          冨士屋② 
          これに決めた!

ここは何と言っても「あんこ」の美味さが際立っている。昭和17年創業で、現在の当主は二代目。北海道十勝産の小豆をじっくり炊いているが、その粒あんの作り方は一子相伝で、「当主以外には立ち入ることさえできない」か。砂糖はザラメを使っているようだ。「北斗の拳」のような一子相伝のあんこづくり。その秘伝は三代目に引き継がれる。

と前置きしたところで、今回は初めて「氷あずき ソフト付」(360円)を頼んだ。店内にも小さなテーブルと椅子があるが、外の縁台で食べることにした。この店の評判は富に高まっているようで、観光客や地元の常連客で賑わっている。5分ほどでお盆に乗っかった「氷あずき ソフト付」がやってきた。ドヒャー。

          冨士屋⑤ 
          何という風情

透明なガラスの容器に「氷あずき」が鎮座し、その上には、見事な色の粒あんが乗っかり、さらにその上にソフトクリームがそびえていた。ここのソフトクリームにはこしあんが入っていて、そのベージュがかった色合いはマーベラスである。かき氷と粒あんとこしあんソフトクリーム。問題はそのバランス。「小倉ソフト」がほとんど完ぺきなだけに、村長は、慎重にスプーンを入れていく。

まずはソフトをひと口。こしあんの風味がかすかに漂い、村長は、うむむと頷く。次に見事な粒あんへ。ふっくら感といい色合いといい、これだけの粒あんはそうザラにはないと思う。ふくよかな甘さが冷たい美味となり、村長の口内に広がる。うむむうむむ、と頷くしかない。続いて、ソフトと小倉とかき氷と自由に組み合わせてみる。「うむむうむむ」が「あれれ」に変わっていった。小倉ソフトほどの感動の波が来ない。

          冨士屋⑧ 
          こしあん入りソフトクリーム
          冨士屋⑦ 
          粒あんの魔力

その理由はすぐにわかった。かき氷の目が粗すぎることと、この三者の相性がそもそもあまりよくないのではないか。粒あんとソフトは相思相愛の関係だが、そこにかき氷が入ると、冷たい三角関係になってしまう。三すくみの状態。そういうことではないだろうか。

          冨士屋⑨ 
          三角関係?

粒あんの量が小倉ソフトよりやや少ない。この比率を変えれば、未来は明るくなるはずだ。そこで、あんこ大好き村長の提案だが、メニューに「氷あずき ソフト付 粒あん特盛」を加えてほしい。400円にしても村長は納得する。粒あんを正妻にすることによって、微妙な三角関係も納まりがよくなり、蜜月関係も少しは復活するはずだ。一子相伝のワザもさらに光り輝くと思うのだが・・・。


本日の大金言。

主役と脇役の関係はバランスを間違えると、たちどころにその世界は崩壊する。それ故に作り手は細心の注意を払う必要がある。






                       冨士屋11
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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