東京下町の絶妙いなり寿司

 「あーた、ご存じ? BSで北千住の居酒屋を取り上げますよ。北千住通を自認する村長なら、ほとんど行った店でしょうが、ま、ご参考までに。ヒッヒッヒ」
京都の調布先生から突然、糸電話がかかってきた。いつもながら、愛情あふれる情報に、村長は地団駄を踏んだ。もし知らなかったら、穴に入るしかない。村長は覚悟を決めて、その番組を見た。

3軒紹介していたが、そのうちの2軒は知らなかった。1軒は高ビーな店で、どうでもよかったが、もう一つの1軒が気になった。居酒屋ではなく「いなり寿司屋」だったが、村長の琴線に触れる店だった。グヤジイ。江戸での野暮用の帰りに思い立って、そのいなり寿司屋「松むら」に行くことにした

           北千住大和湯 
           銭湯の下町

東口から13~4分ほど歩くと、昔ながらの小さな商店街・柳原商店街がある。銭湯「大和湯」の前を通り抜けると、いかにも下町の風情の庶民的な店構えで、「稲荷寿し 松むら」の暖簾が見えた。ガラガラっと引戸を開けると、京都の下町にも通じるような小ざっぱりとした板場で、眼光鋭い白衣の大将と女将さん、それにきれいな娘さん(?)がいなりとのり巻きの作業中だった。

          松むら① 
          めっけ!
          松むら⑤ 
          シンプルなメニュー

ここは持ち帰り専門で、小さなテーブルが一つあるが、店内で食べるシステムではないようだ。村長は壁に張られたメニューから「まじり」(いなり4個とのり巻き5個 630円)を頼むことにした。注文してから大将が見事な手つきで作り始めた。待ってる間、娘さんが冷たいお茶を入れてくれた。外連味や飾りのない下町の応対に村長の汚れちまった心が洗われる。大将は南千住の本店で修業したのちに、この場所で暖簾を下げたそう。以来50年。地元では知る人ぞ知る店になっている。

          松むら③ 
          大将のワザ

ウマズイめんくい村に持ち帰って、缶ビールで賞味することにした。いなりは見るからに東京のいなりで、1個が大きめ。ふっくらと色濃く煮締めたお揚げにケシの実がぱらぱら。その牢名主のような存在感。「おいトウヘンボクめ、ちゃん喰えよ」と言われたような気がしたほど。がぶっとひと口かじると、手作り感にあふれた甘辛が中のふっくら炊かれた酢飯と絶妙なバランスで口内に広がってきた。具は何も入っていない、まさに東京の稲荷ずし。

          松むら1 
          東京・下町のおいなりさん!
          松むら3 
          ふっくら感と煮締めた手づくり感
          松むら4 
          酢飯との絶妙
          松むら5 
          ガブッと行っておくんなさい

スーパーのお稲荷さんとは全然違うわ。味は濃いけど、その濃さがやさしい。おいしいわ。のり巻きもかんぴょうの柔らかさと美味さがひと味違う」
「確かに。いなりはかなり甘いけど、その甘辛が五臓六腑に滲みてくるような美味さだな。大将と雑談したけど、すべて手づくりで、かんぴょうは栃木の最高のものを使ってるって言ってたよ。そのさり気なさがいい。本物がここにいるって感じ」
「まがい物にダマされやすい村長もたまにはいいものを見つけるのね」
「・・・・・・」


本日の大金言。

関東の稲荷ずしは米俵の形、関西は三角形。味も見た目も違うのに、本物はどこか奥深くどこか懐かしい。



                    松むら6 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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