究極か?立ち食いの松茸そば

 秋といえば、松茸(マツタケ)さま、である。秋のグルメの頂点にそそり立つ、このキノコの王様について説明は無用である。東京・渋谷で井の頭線乗り場近くをウロウロしていたら、「赤字覚悟! 売り切れ御免」の文字とともに「松茸そば 時価600円~800円」の看板が視界に入った。松茸そば? 時価? 見ると、立ち食いそば界ではちっとは知られた「そば処 信州屋」だった。

           信州屋① 
       松茸そばだとお?(東京・渋谷「信州屋」

財政事情がひっ迫している今のウマズイめんくい村にとって、「松茸」という言葉は「純粋」という言葉とともに無縁の二文字。だが、目の前に、「600円~800円」という手が届きそうな数字がひらひら。「信州屋」は新宿にも支店があり、信州更科産の石臼挽きそば粉を使用していることを売り物にしている。そば粉の比率は不明だが、かけ・もりが250円、天丼470円・・・という価格も良心的。こいつは秋から縁起がいいわい。村長は飛び込むことにした。

           信州屋② 
           いい店構え

券売機はない。入るとすぐ両側にカウンター席があり、奥が厨房になっていた。立ち食いスペースもある。揚げ立ての天ぷらが旨そうに並んでいる。スタッフは店長らしき男性が一人、それにおばさんスタッフが2人。いい感じで働いていた。
「松茸そばを食べたいんだけど、今日の時価はいくら?」
「えーと、630円です」

           信州屋③ 
           人生は捨てたものではない

即決。注文してから茹で始めるようで、立ち食いそば屋にしては6~7分と待ち時間が長め。立ち食いそば屋で松茸そばが食べれるなんて・・・長い間人間をやっていると、こういう幸運に当たることもあるんだなあ、食べる前からしみじみと喜びをかみしめていると、女性スタッフが「松茸そば」を運んできてくれた。好感のもてるサービス。

有田焼きのドンブリから湯気がほんわかと立ち上り、そこに松茸さまが横たわっていた。薄切りだが、白いお姫様のよう。数えてみたら8切れ!その横に揚げ玉と刻みネギ。礼儀として、まず匂いを嗅ぐ。濃いめのツユのかえしとカツオ節のすき間から、松茸特有のあの香りがほのかに漂ってきた。思ったほどの香りではないが、値段が値段なのでこの際、ぜいたくは言えない。

           信州屋④ 
           ほのかな香り
           信州屋⑤  
           松茸さまぁ~
           信州屋⑥   
           信州そば

そばは細めでそこそこの旨さ。コシもそこそこある。ツユはかなり甘めで、七味唐辛子をぱらぱらかけると、そばとの相性も悪くない。立ち食いそば屋のレベルとしてはかなり高いと思う。何よりも松茸が予想以上に新鮮で、歯ごたえも食感も「松茸を食べてる」という実感が口中に広がり、鼻腔へと抜けていく。630円の至福。

           信州屋⑧ 
          どないどす?

食べ終えてから、つい余計なことを聞いてしまう。
「この松茸、どこの松茸? まさか国産ではないよね?」
女性スタッフが、店長らしき男に聞きに走った。

「あのう、産地まではわからないそうです」
申し訳なさそうに肩をすくめた。松茸は松茸だ。村長は松茸の残り香を脳内に留めたまま、雑踏に出た。思わず一句。松茸に出はどこかと問うしめじ。お粗末。

本日の大金言。

立ち食いそば屋で松茸そばを食う。このあり得ない世界が現実に存在する。イリュージョンを超える立ち食いの世界に脱帽したくなる。



                        信州屋10 














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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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