「ゆでめん食堂」の郷愁焼きそば

振り向けば群馬県の埼玉・羽生市はB級グルメの意外な穴場である。最近は「ゆるキャラサミット」でも名前が知られてきたが、セピア色の昭和の匂いの残る店が点々とある。

「村長もネタが苦しいようなので、いい情報をお教えしましょう。羽生に安くて面白い食堂があるんですよ。そこはゆでめんを製造もしていて、そのゆでめんが実に旨い。おすすめは焼きそば。騙されたと思って、一度ポンコツ車を走らせてみてください」
そんなメールが、埼玉シンジケートの知人から届いた。先日、「甘太郎」で50円今川焼きを食べ、その味とあまりの安さにフンドシがずり落ちそうになってしまったことを思い出した。

           小川うどん店① 
       昭和のままの佇まい(「小川ゆでめん」

その「小川ゆでめん」は地元では知られた店で、創業60年ほど。戦後、ゆでめん製造業を営み、その後、食堂も始めた。羽生駅東口を背にメーンストリートを市役所方面へ向かうとすぐ左手に古いレンガ色の小さなビルが見え、「うどん そば」の巨大な文字が見えてくる。雰囲気のある紺地の暖簾。そこが「小川ゆでめん」である。村民2号は「ゆでめん」という言葉に反応はイマイチ。

店内は大小のテーブルが5つほど、それに小上がり。壁にはバラエティーに富んだメニューが貼りついている。うどん、そば類からカレーライス、かつ丼などドンブリ、定食類まであり、古い田舎のうどん屋食堂の趣き。値段も昭和のまま。村長は「やきそば」(410円)、村民2号はここの名物「大天ひもかわ もり」(450円)を頼んだ。午後1時半過ぎだったので、すでに忙しさのピークは過ぎていた。

           小川うどん店② 
           やきそば、めっけ!
           小川うどん店12 
           大天ひもかわ

店は女将が一人で切り盛りしているようだった。注文を受けると、奥の厨房へと消え、しばらくすると、焼きそばを炒めるフライパンの音がして、甘いソースのいい匂いが漂ってきた。ええのう。村長はお茶をすすりながら、待つ。「ゆでめんを堂々と打ち出しているうどん屋さんなんて初めて。あまり期待はしてないけど」村民2号はつまらなさそうに天井を見ている。

7~8分ほどで「やきそば」がやってきた。自家製の蒸し麺は太い縮れ麺で、ジュウジュウと音のするようなソースと脂のテカりを放ち、見るからに旨そうだった。具はキャベツと人参だけ。その上から青のりが盛大にかかっていた。紅ショウガがどっかと控えている。村長の好みとしては豚こま切れが欲しいところだが、そんな月並みな欲求を抑える何かが潜んでいる気がした。

           小川うどん店④ 
           意外な発見
           小川うどん店⑧ 
           ひと味違う旨味
           小川うどん店⑦ 
           麺と出汁

最初の一口で、この焼きそばが意外なスグレモノであることに気づいた。ゆでめん屋も併業しているだけあって、太めの縮れ麺のモチモチした食感がいい。添加物がない素朴な蒸し麺。ソースがひと味違うのもわかった。ソースのどぎつさがない。B級なのに奥深い素朴な旨味・・・。

「これ、出汁を入れてるでしょ? それもかなり複雑」
村長が女将に聞くと、
「うどんの出汁を加えてるんですよ。出汁は鰹節、鯖節、昆布・・・いろいろ入れて、しっかり作ってるんですよ。毎日大変ですけどね(笑)。昔から同じ作り方です」
女将があっけらかんと答える。ラードは体によくないので使わない、とも。

           小川うどん店③ 
           大天ひもかわ
           小川うどん店⑨ 
           ゆでめんをナメるな

「ゆでめんだからって、軽く見ていたけど、とんでもない間違いだった。ここはひと味違うわ。ツユが出汁が効いたやさしい味で意外な旨さと言うしかない。A級ではない旨さもあるのね。ひもかわもかなりぶっ太いけど、ぼそっとしたホウトウみたいな食感で、ツユとよく合っている。天ぷらは揚げ置きだけど、これだけ手の温もりが伝わる素朴な旨さはそうはないと思うわ。今日は当たり!」
辛口の村民2号の表情が来た時とすっかり変わっていた。

本日の大金言。

ローカル都市の古いノレンには味がしみ込んでいる。数字を超える長年の手の温もりがそのセピア色の世界を支えている。






                        小川うどん店13 









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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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