日本最古「和菓子屋のあぶり餅」

 「玉の輿(こし)神社」とも言われる今宮神社参道に日本で一番古い和菓子屋がある。「あぶり餅 一和(一文字和輔)」である。村長はこれまで何度も京都に来ているが、「一和」には行ったことがない。友人のお茶の師匠から、「一和に行かずして和菓子は語れませんよ」と言われたこともある。何せ創業が長保2年(1000年)という俄かには信じがたい店。源頼朝も豊臣秀吉も生まれていない。ひょっとして、世界一古いお菓子屋さんかもしれない。
           今宮神社① 
         まずは今宮神社に参拝

今回の旅の目的の一つがここへ行くこと。午前10時、今宮神社は疫病を鎮める神様でもあるので、「どうかエボラ出血熱が少しでも早く治まりますように」と祈願してから、静ひつな空気の中を、南側の参道へと向かった。すると、両側にタイムスリップしたような大構えの茶屋が向かい合って二軒並んでいた。右が「一和」で、左が江戸時代創業と言われる「かざりや」。1000年超とと400年超という歴史。頭がクラクラしてきた。どちらもあぶり餅の店。まだ口開けしたばかりで、お客はまばらだった。
           一和とかざりや  
           右が「一和」、左が「かざりや」
           いち和③ 
        1014年の時を超えて

村長は創業年に敬意を表して、一揖(いちゆう)してから「あぶり餅 一和」の縁台に腰を下ろした。開放的な縁台の奥は広い座敷が二つ。そこで食べることもできる。「一和」は代々茶道や華道を指南する家柄で、千利休もここのあぶり餅を茶菓として使っていたという。入り口で、年配の女性が竹串の小さなあぶり餅を一本一本ていねいに焼いていた。炭は備長炭で、赤々と熱を放射し、大きなヤカンも置いてある。焼き上がったら、それを秘伝の白味噌ダレにくぐらせていく。
           いち和⑤ 
         備長炭でていねいに焼く
           いち和13 
       最後に白味噌ダレにくぐらせる

あぶり餅(お茶付き 一人前500円)を頼んだ。7~8分ほどで、香ばしい匂いとともに「あぶり餅」がやってきた。えんじ色の漆器の皿に載ったあぶり餅は予想以上に小ぶりで、女性の小指の先ほどの大きさ。それが13~15本ほど。餅の焦げ目と秘伝の白味噌ダレ。口中に含むと、その焦げ目が見た目ほど気にならない。というよりも、むしろその絶妙な焦げ目が甘味噌ダレと相まって実に香ばしい。
           いち和11 
           一人前500円どす
           いち和⑦ 
           おこしやす
           いち和⑧ 
           焦げ目が美味
           いち和⑨  
           あーん

急須に入ったお茶が美味い。千年以上の歴史に思いをはせながら、ていねいに食べる。本数はあるが、餅自体が小さいために、きれいに平らげても、せいぜい腹三分ほど。もう一皿頼むかどうか思案していると、右手の部屋で女性4人が車座になって、あぶり餅を作っている光景が目に入った。つき立ての餅を小さく手でちぎって、それにきな粉をまぶしていく。それを細い竹串に刺していく。見事な手つき。
           いち和14 
           仕込中どすえ

餅にきな粉をまぶし、それを備長炭で焼くという一連の手作業は見ているだけで感動する。1000年以上前から同じ作り方で、代々一子相伝で継承しているという。想像を超える歴史。観光客が殺到するのも頷ける。だが、どこかの観光地のような浮ついた感じがない。
           一和 
           当代は25代目

舌代を払う時に年配の女性にそっと聞いてみた。
「このあぶり餅を信長とか秀吉も食べたんですかね?」
「さあ、そないなことわかりまへん(笑)。見た人も残ってまへんよってに。記録に残ってたらええんですけどなあ。へえ、食べはったかもおへんなあ」
村長は間違いなく食べたと思った。美味そうに頬張る秀吉の猿顔が前頭葉をよぎったのだった。


本日の大金言。

最古の和菓子屋で時間の旅をする。そのぜいたく。当時、京都は何度も疫病に見舞われている。今宮神社とあぶり餅には病気・厄よけの切実な思いも込められている。



                         いち和15
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR