冷やしラーメンの元祖とついにご対面

赤羽彦作村長は実は大の冷やしラーメン好きである。首都圏には「冷やし中華」をメニューにする店は多いが、悲しいかな「冷やしラーメン」を食べさせてくれる店はきわめて少ない。ここで改めて冷やし中華と冷やしラーメンの違いを確認しておきたい。

「冷やし中華」はスープが少量で酢醤油であること。具には千切りにされたキュウリ、ナルト、ハム、チャーシュー、錦糸卵、紅ショウガなどが乗っていること(店や地域によってはもやしやトマトや鶏肉なども使う)。黄色い洋ガラシがちょこんと付いていること。これらの要件を備えたものが「冷やし中華」である。
一方、「冷やしラーメン」はイメージとしては、ラーメンをそのまま冷やしたような形式。スープはラーメンと同じくらいの量で、文字通り「冷やし」「ラーメン」なのである。とはいえ、スープはそのままだと、コクがなくなる。そのため、店によって様々な工夫がある。

彦作村長が東京・三鷹で暮らしていたころ、メーンストリートの路地裏にあった洋食屋のメニューに突然「冷やしラーメン」の文字が躍った。「ハンバーグ」とか「ミックスフライ」とか「ビーフシチュー」に混じって、冷やしラーメン!
感動した村長は、値段は少々高かったが、さっそく注文した。これが実にうまかった。スープは牛のテールから取っていた。しょう油とコンソメとプラス何か、麵は細ちじれ麺で、コシがあり、近くのラーメン有名店の「江ぐち」より上等な麵だと思った。具はチャーシューともやし、それにミニトマトが乗っているだけ。

夏だけのメニューだったが、若かりし村長はその味のトリコになり、足しげく通った。しかし、その店は理由は不明だが、閉店してしまった。オーバーではなく、「こんな理不尽が世の中に会っていいものか」と1週間ほど嘆き悲しんだものだった。


その後、門前仲町をたまたま散歩中に中華そば屋「晴弘」を発見、よく似た味の「冷やし中華そば」に出会った。牛をベースにしたスープは少なめだが、細縮れ麵も具も実にしっかりと作られていて、それぞれが絶妙の味わいで、1+1が3になっている。村長の長いB級グルメ生活ではここが「冷やしラーメン類ナンバーワン」だと思う。ここには今でも時間があれば通っている。

東北ツアーの目的の一つが、「冷やしラーメンの発祥」と言われる山形市の「栄屋本店」。メディアでも取り上げられる機会が多くなり、午後5過ぎだというのに、込み合っていた。2~3人順番待ちもいた。もともとそば屋なだけに、メニューにもそばやうどん類が書かれている。

                 冷やしラーメン② 

山形の夏は暑い。2007年(平成19年)、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市が40.9度を記録、それまでの山形市の記録40.8度(1933年に記録した40.8度)を塗り替えた。恐るべきことに山形市は79年間「日本で最も暑い街」だったのである。
あまり暑いので、常連客の一人が店主に「夏はそばも冷てえのを出すんだから、ラーメンも冷てえのを食べたいべえ」。そのひと言が切っ掛けとなって、店主が研究に研究を重ね、1952年(昭和27年)の夏、ついにメニュー化に成功したという。

テーブルに着くと同時に「冷やしラーメン」(750円)を注文する。美熟女の村民2号も明るい声で「右に同じイ~」。

やってきたのは見事な盛り付けのラーメン。
乗っている具はもやし、キュウリ、かまぼこ、シナチク、のり、刻みネギ、チャーシューは小さめだがビーフ。それらが浴衣、うちわ風姿でウインクしながら「おいでおいで」しているように見える。和と洋の絶妙な融合。氷が浮いているのがすごい。

         冷やしラーメン③ 

ますはスープ。牛と鰹節と昆布などで取っている。あっさりとしているのに濃厚。牛のダシの甘さが奥に潜んでいる。山形の名産ラ・フランスの香りも入れているというが、村長の舌には、そこまで味わう余裕はない。鼻の穴が広がっている。麵は太くてごわごわしていコシがある。そば粉を入れているのかもしれない。

うまい。ス―プには冷やしても固まらないように紅花油やごま油なども入れているという。もやしとシナチクはシャキッとしていて麵とスープによくマッチしている。ビーフのチャーシューは硬めで可もなく不可もない印象。三鷹や門前仲町の経験であえて言わせてもらうと、チャーシューは豚の方がいいと思う。

半分食べたあたりで、村民2号の箸が止まった。
「私にはボリュームがありすぎる。最初はうまい。でも、味が単調で、少し飽きてくる」
「村長もそれは感じていたよ。二箸、三箸あたりまでは絶品だと思った。確かに味が単調で、奥行きにかける気がする。氷はいらないと思うよ。エアコンがなかった昔ならいざ知らず。スープが散漫になっていく。期待が大きかった分、余韻がどうもなあ」

彦作村長は、冷やしラーメンという発想とその開発の努力には敬意を表するが、混み合う店内を見渡しながら、メディアのB級グルメ報道の過熱を冷やすことも必要かもなあ、と思うのだった。何事も行きすぎはよくない。「ウマズイめんくい村通信」はオンボロだが、その小さなタグボートでもある。だが、焼きそば、冷やしラーメンの行脚は、東北の被災地めぐりというあまりに哀しい現実の前で言葉を失いかける。

「大丈夫だよ、村長。天国ではバカバカしいけれど、これまでにないキュートなブログとして評判になってるから。ウォームハート、クールヘッドで、ファイト、ファイト!わお~ん!」
天国特派員のチャイが独自の通信網を使って、村長のカビが生えつつあるダンボ耳にそうメッセージを送ってくるのだった。



本日の大金言。

B級うまいもの探しに休息はない。コロンブスと猫ひろしに休息はなかったように。 
                                           

          花笠まつり  
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はじめまして!加須市市民活動ステーション・くらくら館への訪問ありがとうございます。
外出先から帰館したところ、ダンディーな彦作さんが(^^)~と叫ばれましたので、さっそくHP拝見させていただきました!
食べ物だらけのHPが、わたくしのHPと似ていて(すみません)すっごく身近にかんじさっそく書き込みさせていただきました。
是非、今一度ご来館ください!
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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