喜多方ラーメンの老舗「上海」の微妙な味

 ラーメンと蔵の街・福島県喜多方市。赤羽彦作村長が山形・冷やしラーメンを賞味したその足でやってきたのは、約120軒ある喜多方ラーメン店のなかでも50年以上の歴史を持つ老舗の人気店「上海」だった。村の財政事情から駐車代をケチって、ポンコツ愛車を市役所近くに止め、炎暑の中を歩く。懐中時計を見ると、午後2時近い。夏休みだというのに、人が少ない。風評被害が1年前よりは収まりつつあるといっても、まだ以前の活況は戻っていないようだ。


       喜多方ラーメン・上海① 

「村長、ようやく上海のラーメンとご対面ね」
「これまで二度、足を運んだが、なぜか定休日だった。縁がないのか、日ごろの行いが悪いのか。でも、今日は開いてる。うれしいねえ~」
「日ごろの行いがいいとは言えないもんね」
美熟女の村民2号のさり気ない毒など耳に入らないかのように、彦作村長は井上陽水の「なぜか上海」を口ずさんでいる。

以前ご紹介した江戸年間から続く老舗醤油屋「若喜」から歩いて2~3分の距離。路地裏にあるので、少々わかりにくいが、探す楽しみがあるのも喜多方のいいところでもある。「うまいものを求めるなら歩け」ウマズイめんくい村のご意見番・文吾ジイの寸言である。

雰囲気のある暖簾が下がった入口をくぐって中に入ると、「源来軒」や「坂内食堂」に比べてこじんまりしている。テーブルが6つほど。2階は座敷だそう。感じのいい女将さんらしき人が「いらっしゃい」。時間が遅いのに、人気店だけあって、ラーメンマップを持った観光客が5組ほど。

迷うことなく「中華そば」(550円)を注文する。待つこと10分ほど。見るからにうまそうな、シャーシューが3枚乗った喜多方ラーメンだった。シナチクと刻みネギがしっかりと控えている。
まずスープをズズズ。多分とんこつと煮干しで取った、しょう油ベースのコクのある深い味わいが、彦作村長の長旅の疲労を癒すかのように口中に広がる。


          喜多方ラーメン・上海② 


「これよね。脂と魚粉がこれでもかこれでもかと入った最近のアブラーメンとはまるで違う」
「アブラーメンとはうまいこと言うね」
「脂が多すぎて、体にもアブないラーメン。もともと村長が言ったのよ。ボケが始まってきたのかな?」
「佐野ラーメンもそうだけど、シンプルが一番。シンプルの中に深みがある。日本文化だよ」
「値段がリーズナブルのも本当の日本文化ね」


麵は喜多方特有の太い平縮れ麺。モチもちしていてうまいにはうまいが、ちょっと鈍感な印象。
「うーん、期待値が高かった分、あと一歩というところだね」
「私は好きだな。このもっちり感。以前何度か源来軒でも食べたけど、当たりはずれがあったわよね
「そうそう。メチャメチャうまい時とそうでない時があったね。お湯の問題じゃないかな。スープがきれいに澄んでいた時は麵もつるりとしていてコシがあってうまかった。そうでない時は少々濁っていた。麵もどんよりしていたね。人間が作るのだから、出来不出来があるのは仕方ない」
「今日もそうだと言いたいわけ?」
「上海は今日が初めてだから、比較のしようがない。でも、チャーシューもやや固めで、グルメ雑誌や食べログなどのレビューとは違和感がある」
「すべて自家製だから、しょうがないわよ。私はいいと思うよ。店の感じもいいし。それと大根の浅漬けが付いている。この気配りがうれしいし、これはめちゃうま!」
「村長は佐野の宝来軒の凄味を知ってるから、喜多方の職人意識を心配しているんだよ。喜多方ラーメンの実力はこんなもんじゃない。喜多方よ、油断慢心はないか? 首都圏ではラーメン界の生き残りを賭けた戦いはさらに激しくなっているのだよ。原点を忘れていないか?ちょっとエラそーすぎるかな」
「慢心してるのは村長の方よ。気になるのなら、また来て、確かめればいいんじゃない?」

喜多方も佐野も天然の伏流水という他にない武器がある。喜多方にはさらにしょう油蔵が多いという武器もある。
お~い、喜多方さんよ~、風評被害を蹴散らして、またきたかった、と言われるようになってくれ~。自分のバカを棚に上げて、ダジャレのつもりか彦作村長は炎暑の空に向かって叫び続けるのだった。そんな村長を村民2号とどこかの老犬が冷ややかに見ていた。



本日の大金言。

そば屋のお釜になってはいけない。ゆ~だけ。しかし、そのお湯をていねいにかえているだろうか。自戒を込めて。

         喜多方ラーメン・上海③ 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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