有楽町ガード下の「絶妙ナスカレー」

「 ガード下」という言葉には戦後のサラリーマンの哀愁と希望がある。神田、有楽町、新橋・・・村長はガード下が好きで、生活のシミがある牛丼屋、居酒屋、立ち食いそば屋などを歩き回るのが好きだった時代がある。今回ご紹介するのは、カレー屋である。有楽町ガード下の「カレー専門店 ふくてい」
           ふくてい 
           ガード下の世界(有楽町)

昭和30年から神田駅ガード下でスタンドカレー屋をスタートさせ、人気を呼んだ。その神田駅が改修されるに伴って、2011年に有楽町ガード下に移転。「東日本大震災が起きる少し前です」(店長)。村長はエンターテインメント新聞社時代に神田で何度か食べ、有楽町ガード下に移転してからもここのカレーを無性に食べたくなると、仕事にかこつけて、暗いやや湿ったガード下に足を運んだ。

都心に所用があったことにかこつけて、久しぶりに足を運んだ。ここはステーキカレーが有名だが、村長は決まって「ナスカレー」を食べていた。15席ほどのU字型カウンター席。奥が厨房になっていて、そこで白衣のコックが2~3人ほどどこかの一流洋食屋のような佇まいで忙しそうに働いている。そこだけ見てると、ここがスタンドカレー屋であることを忘れる。
           ふくてい② 
       スタンドカレー専門店「ふくてい」

今回もむろん「ナスカレー」(550円)を注文した。カウンターの上のレモンの入った氷入りの水ポット、福神漬けとラッキョウがこの店の職人気質をさり気なく感じさせる。弛みのない正統派スタンドカレー屋
           ふくてい1 
           B級の舌代
           ふくてい14 
           職人の気配

5~6分ほどで、ナスカレーがやってきた。大きい平皿に乗ったナスカレーは来ただけで旨そうな匂いが立ち上がってきた。黄土色のカレーの海。やや固めに炊かれたご飯、その上に鎮座する油で揚げた濃い紫色の長ナスが二つ。斜めに切り込みが入れられ、その表面には塩がパラパラとかかっていた。これだこれだ、とつぶやきながら、おもむろにスプーンを運ぶ。
           ふくてい⑥ 
           ナスカレー、である
           ナスカレー 
           ただのカレーではない
           ふくてい⑧ 
           どうでっか?

カレーはじっくり煮込んだ鶏ガラのスープをベースにしている。具はルーの中に溶け込んで、ほとんど形がない。口に運んだ途端、まろやかなで穏やかな旨みが口中に広がる。辛さはほとんどない。だが、そのじんわりと滲み込むような奥深い味わいに「この味は変わっていないな」という感慨が体の中から自然に湧いてくる。絶妙な美味。かすかに化学調味料の匂いもする。
           ふくてい11 
           ナスさま、である
           ふくてい⑦ 
           脇役ではない?

揚げナスとカレー、それにライスのバランスがとてもいい。後を引く旨さ。福神漬けとラッキョウのレベルも高い。20年ほど前、神田ガード下で初めて食べたときほどの感動はないが、村長にとっては懐かしいカレーライス。有楽町ガード下というワンダーな世界がその味わいに彩りを添える。黒の上の彩り。ガード下にはよれよれの背広の、幾千もの夢とため息と汗が滲み込んでいる、そんな気がするのだった。

本日の大金言。

たまにはガード下に行こう。高い場所より低い場所。そこで隣の男の顔を見る。自分の顔が見えてくることだってある。





                        ふくてい12 





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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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