「2500円懐石料理」の凄い中身

 恐るべき食通、ドン圭氏の周りには食べ歩き好きの女性が太陽の周りを回る惑星のように存在している。
「あのね、村長、彼女らがいい和食屋を見つけたって騒いでいるんだよ。ランチもやってるけど、夜のコースを食べに行かない?」
ドン圭氏からそんな誘いの電話が入った。断る理由はない。村長は新しいフンドシを締めて、いそいそと出かけることにした。村民2号にはナイショである。

村長はビールくらいは飲むことにしているので、酒を飲まないドン圭氏の車で、埼玉・久喜市菖蒲町三箇にあるその店に向かった。午後6時半。女性陣はすでに着席していた。店は久伊豆大神社の前にあり、一軒家の料亭のようだった。玄関先がライトアップされていて、「和彩 ちょうじ」という木の看板が柔らかな光に浮かび上がっていた。比較的新しい店のようだ。ふむ。
           ちょうじ 
           料亭のよう(久喜市菖蒲町)

店内はゆったりとした小上がりとテーブル席。右手奥が厨房になっていて、板前姿の店主がちらと見えた。いい料理屋の雰囲気。かような場所でかような店構えで、かような料理をやるというのは、腕に相当な自信がなければできることではない。

たまたまランチを食べて、驚いたのよ。で、夜はコース料理だけど、これまた2500円とは思えない内容だった。で、みんなに教えなきゃ、と思って、ドン圭さんを誘って、村長も誘ってもらったというわけなのよ」
ワシちゃんが言えば、タカちゃんも「ここ、穴場よ。たまにぜい沢したくなったらおすすめ」と相槌を打つ。ワシとタカの絶妙コンビ。だが、2500円はフツーに考えて、安くはない。
           ちょうじ① 
           夜のメニューどす

夜は三つのコースに分かれていて、全員、一番安い「花菖蒲 2500円(税込み)」にした。村長のみ生ビール500円(中)を頼んだ。女将さんがお品書きをさり気なく置いている。「前菜、御造り、茶碗蒸し、揚げ物、蒸ししゃぶ、お食事、甘味」全部で七の膳。これは懐石料理である。エンターテインメント新聞社時代に神楽坂や築地、向島などで懐石料理を何度か食べたことがあるが、それらは料理だけで1万~2万円はした。ここは2500円。あまり期待せずに料理を待った。
           ちょうじ④ 
           これで2500円とは・・・

最初の前菜で目を見張った。本格的な八寸で、カボチャを練って作った銀杏(いちょう)、ウズラの卵で作った柿、胡麻和え、粟麩田楽などが秋の世界を彩っていた。店主の腕が確かなことがわかった。味わいも確かなもので、前菜を食べただけで、女性陣が騒ぐだけのことはあると思ってしまった。聞くと、店主は東京の懐石料理店で修業したそう。
           ちょうじ② 
           前菜の八寸
           ちょうじ③ 
           板前の腕前 

ヒラメとイカの旬の御造りもエンガワが付いていて、鮮度のよさといい、満足できるもの。蒸ししゃぶは黒毛和牛で、下に敷かれた白菜ときのこを湯気とともにポン酢とゴマダレで賞味。これが美味。談笑しながら箸が進む。最後の黒ゴマのアイスクリームを食べ終えると、ドン圭氏が「これで2500円というのは確かに凄い。だけど、この内容で店やっていけるのかな。儲けが出ないんじゃないか」心配げにポツリ。
           ちょうじ⑨ 
           黒毛和牛の蒸ししゃぶ
           ちょうじ12 
           あーん
           ちょうじ10 
           ポン酢とゴマダレ
           ちょうじ13 
           ホタテの磯辺揚げ
           ちょうじ14 
           ちりめんご飯と赤だし
           ちょうじ15 
           〆のデザート

「大丈夫。ドン圭氏とワシちゃんとタカちゃん、それに村長が毎日一人3人連れて来れば、それだけで1日3万円の売り上げ。20日で60万円。その間に噂を聞いた客がどんどん増えるはず。それをずっと続ければいいだけです。やがて埼玉の有名店になる」
村長がほろ酔い顔で言い放った。

ウマズイめんくい村に帰ってから、村民2号にその話をすると、「バッカみたい。ずっとそうやって取らぬ狸をやってれば。そんな客、店にとっては返って迷惑よ」とコーヒーを飲みながら手裏剣を放つのだった。グスン。


本日の大金言。

一週間に一度くらいはささやかに贅沢をしたい。そういう店を一軒くらい持つと、人生がまた楽しくなる。


                       ちょうじ16 






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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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