「最強のあんパン」の一夜

 「とんでもないあんパンがあるよ。想像を超えるという言葉がそのまま当てはまるようなあんパンだよ」
エンターテインメント新聞社時代に、珍しいもの好きの編集者がそんなことを言ってたことを突然思い出した。
「あんこの量がとにかく半端ではない。行っても売り切れで、予約しないと買えないんだ」
多忙にかまけて、その話をすっかり忘れていた。

それがあるきっかけで、思い出した。アンパンマンのあんこの量について考えていたときである。詳しいことは省略するが、その「とんでもないあんパン」を実際に見て、食べたくなった。思い立ったら止まらない。そのパン屋さんが江東区大島・中の橋商店街にあることを突き止めて、すぐに電話で予約した。甘味中毒がさらに進行しているようだ。
           メイカセブン① 
      奇跡のあんパン(東京・大島「メイカセブン」)

翌々日、江戸表での用事を済ませてから、夕暮れの中を都営地下鉄・大島駅で下車して、その「メイカセブン」というパン屋さんへ。。問題の「薄皮あんパン」(1個185円=税込み)はすでに「本日分は売り切れました」という札がかかっていた。予約しておいてよかった。奥がちょっとしたカフェコーナーになっていたので、こしあんと小倉あんをそれぞれ2個ずつ買い、出来立ての1個をそこで賞味することにした。
           メイカセブン② 
           売り切れの表示が・・・

「メイカセブン」は昭和33年創業の下町のパン屋さんで、「薄皮あんパン」はその当時から作っている。店の女性スタッフに聞くと、「創業時から同じ製法で、一日200個しか作りません」とか。コーヒー(235円)も頼み、袋に入った薄皮あんパンを手に取ってみた。ずしりと重い。その重さが半端ではない。甘い胸騒ぎ。「250グラムはあります」とか。
           メイカセブン③ 
           焼き立ての薄皮あんパン!

こしあんと小倉あんをそれぞれ1個ずつ食べようと思ったが、思い止まった。そのくらいの衝撃。とりあえずこしあんを賞味することにした。包みを取ると、卵白でこんがり焼けたパン生地、その上の黒ゴマ、さらにその下の世界に目が釘付けになった。アンビリーバブル・・・パン生地からどっしりと詰まったあんこが黒々と透けていた! ため息と感動。
           メイカセブン⑤ 
           文句ある? いいえ・・・

大きさは直径7センチから8センチくらいで、高さが優に5~6センチはありそう。想像を超える世界はホントだった。気を取り直してから二つに割ると、天も地も左右もぎっしりあんこの山状態で、パン生地はせいぜい1~2ミリ程度の薄さ。うむむうむむ。これはあんこの塊そのままではないか? 見てはいけないものを見てしまったような動揺・・・。
           メイカセブン⑥ 
           言葉がない

さて、問題は味。手でちぎってから、ガブリと行くと、薄いのにパン生地のこんがり感が口中に広がった。確かにあんぱん。こしあんは甘さを比較的抑えているが、かすかな塩気がその甘さを逆に引き立てている。出来立てのせいだろう、ねっとり感が強い。あんこは「金沢のあんこ屋さんから仕入れている」そうだが、質の高さはさほど感じない。期待していたほど風味も特出していない。業務用のあんこをそのまま食べている感覚・・・。やがて、あんこの深情けに押し倒される妄想も。複雑な感情が舌の上で行ったり来たり。
           メイカセブン⑦ 
          こんなのアリ?

あんこ好きにはたまらない黄金の時間とも言えるが、質を求める人には不向きのあんパンかもしれない。食べたこと、そのこと自体が記念になる・・・そんな稀なあんパン。

翌朝、小倉あんを食べてみた。半日経ったせいか、落ち着いた味で、こちらの方が村長の好み。それでも1個食べるのに時間がかかった。村民2号も途中で、「四分の一で降参するわ」とひと言。1個を6人くらいで食べることをお勧めしたい。
           メイカセブン① 
           こちらは小倉あんパン(翌朝)
           メイカセブン② 
           コマネチ!
           メイカセブン④ 
           参りました・・・

その夜、友人宅で行われた忘年会にスペシャルゲストとして、「薄皮あんパン」を登場させたところ、ひと目見て全員びっくり。1個を五つに切って賞味してもらった。「意外に美味い」という声や「パンを増やして欲しい」という声も。かなり酔っぱらっていた一人が大きめを勢いで食べた後、急に黙ってしまった。「もう勘弁してほしい・・・」とつぶやいてからソファにひっくり返った。そのまま甘い夢の中へ。最強のあんパン、恐るべし・・・。


本日の大金言。

あんパンのあんこに限度はない。究極のあんパンが56年の歴史を持ち、毎日午前中でほぼ売り切れという隠れた人気となっているのは、それが人を引き付けるからだ。あんパン界にもゴジラはいる。


                         メイカセブン⑨ 











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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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