「おむすびカフェ」の意外ビーフカレー

 恐るべき食通のドン圭氏が、村長がよく立ち寄る「カフェ虎之介」でボソボソと言った。
「面白い店があってね、メインメニューはおにぎりとカレーしかない。おばさんが一人でやってる店でね。これが安くて旨いんだよ。B級の村長に教えなきゃと思ってね」
場所は埼玉の果て、加須市騎西町だという。騎西町は原発事故で被災した双葉町が集団移転した場所としてメディアにも大きく取り上げられた町でもある。

翌日、青いポンコツ車が、その「おにぎりカフェ 小道」の駐車場に止まっていた。騎西クリニックの隣りにある古い一軒家。「安い」と聞いて村民2号も付いてきた。ドン圭氏は元政治家で実業家でもある。そのため料亭料理から立ち食いそばまで舌のエリアは驚くほど広い。そのドン圭氏の情報に間違いはない・・・はずだが。
           小道① 
      隠れ家、発見?(「おむすびカフェ 小道」)

「おにぎりカフェ 小道」という地味な看板。「おむすび」の幟(のぼり)。入り口に小さな黒板があり、そこに「ビーフカレー500円(サラダ付き)」「おむすびセット500円(煮物、天ぷら玉子焼き、みそ汁付き)」とメニューが確かに二つしか書かれていない。のどかな田舎の陽だまりにでもいるような気分。
           小道③ 
           のどかな入り口
           小道② 
           安くて旨いか、それとも・・・

時刻は午後1時ちょい過ぎ。店内は4人用のテーブルが二つと2人用のテーブルが一つだけ。左手が厨房になっていて、そこにおばさん店主が一人。客も一人。若い女性がビーフカレーを食べている最中だった。それが旨そうだった。厨房のところに「騎西産コシヒカリ100%」という手書きの紙が下がっていた。
           小道 
           悪くない風景

村長はおにぎりセットにしようと思っていたが、女性が食べていたビーフカレーが旨そうだったので、方針転換、「ビーフカレーお願いします」。村民2号は「おむすびセット」を頼んだ。
          小道④ 
          おむすびセット、登場
          小道⑥ 
          ビーフカレー、登場

そのビーフカレーが意外に旨かった。じっくりと煮込んでいることがわかる濃厚で素朴なルー。タマネギは溶け込んでいて、姿が見えない。ビーフは大きめのものが3切れほど。マッシュルームが5~6個。想像していたジャガイモやニンジンの姿はない。田舎のカレーというより洋食屋のカレー。ほのかな甘みと旨味が滲み込んでいる。辛さはほどほど。
          小道⑧ 
          煮込まれたルー
          小道11 
          ビーフとマッシュルーム
          小道⑨ 
          濃厚な旨味

ビーフもマッシュルームも柔らかく煮込まれていて、よく炒められた小麦粉の名残りが余韻として絡んでくる。隠し味も何か潜んでいるようだ。炊き立ての騎西産のコシヒカリも美味。ボリュームもある。福神漬けではなく、からし菜の漬け物がライスの脇にちょこんと乗っかっている。これがライスによく合う。
          小道10 
          騎西産コシヒカリ

「おむすびセットは家庭の味そのもの。素材がいいからフツーに旨いわ。500円というのも好感」
このビーフカレー、どうやって作っているんだろうね。ジャガイモやニンジンがドカドカ入ったおばさんカレーを期待していたけど、いい意味で裏切られた気分だよ」

女将は無口な人で、店をオープンしたのが7年前で、「会社勤めを定年で辞めてから自宅を使って店を始めた」と聞き出すのが精一杯だった。料理は随分研究したとも。ビーフカレーの作り方を聞いてみたが、謎の微笑を浮かべるだけで、言葉が出てくることはなかった。その農家のおばさんのような、風雪に耐え抜いた風貌に、村長の言葉は届かない。あんた、まだまだ修行が足りないよ、道祖神のような謎の微笑はそう言っているようだった。


本日の大金言。

宇宙が広いように小さな町も広い。改めてメディアがすべてではないことを知る。諸君、たまにはスマホを捨て、街へ、村へ、走ってみよう。





                        小道13 







スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR