不思議な浅草いなりと越乃寒梅

 浅草の「志乃多寿司」で手土産にいなり寿司を買おうと思って立ち寄ったが、あいにく休みだった。ぐやじい。そのまま合羽橋方面へと向かうことにした。大根おろし器を買おうと思ったからである。再発したぎっくり腰を抑えながら、ぶらりぶらりとしばらく行くと、「かっぱ橋本通り」近くで、ふといなり寿司の姿が視界に入った。濃く煮しめた油揚げの色・・・東京のおいなりさん! 村長の目が吸い込まれた。のり巻きやお赤飯、それに「越後家特製大福」の文字。飛び込むっきゃない。
          越後家 
          めっけ! (東京・西浅草三丁目)

不思議な店だった。「新日本料理 越後家」の看板と白地の暖簾が下がっていた。どう見てもきれいな和食処なのに、店の右側は下町の和菓子屋。調べてみたら、すぐ近くに本店があり、そこは創業120年を超える庶民的な和菓子屋だった。いなりやいか天巻き、お赤飯、それに「福多もち(大福)」などが売り。本店が町の和菓子屋で支店が本格的な和食処というのも珍しい。
          越後家① 
          東京のおいなりさん、大福も・・・

その支店で見つけた「いなり」(1ヶ115円)を3個買い求めることにした。さらに「福多もち」(1ヶ190円)も二つ頼んだ。この「福多もち」がユニーク。「浅草名物 越後屋特製大福」と表記され、白い和紙に一個一個包まれていた。大きく「福多もち」と書かれている。福が多くなる餅? 店の女性に聞いたら、「昔からこう言ってるんですよ。豆大福ではなく普通の餅大福です」とか。透明なビニールで包まれた豆大福は多いが、白い和紙ふうでていねいに包まれているのは珍しい。

ウマズイめんくい村に持ち帰ると、いなり寿司好きの村民2号がにこやかに出迎えた。先日、友人が手土産に持ってきてくれたあの「越乃寒梅 金無垢」(純米大吟醸)で、浅草のいなりを味わうことにした。越乃寒梅を口にするのはは約十年ぶり。滅多に飲めない酒と下町のいなり寿司の組み合わせ。デザートには「福多もち」。ムフフフ・・・これぞウマズイめんくい村の曼荼羅世界。
          越後家5 
       越乃寒梅(金無垢)との相性は?

いなり寿司は江戸前の濃い味付けで、醤油と砂糖、味りん、酒などで作ったタレでじっくりと煮詰められている。関西のように出汁感はない。大きさもフツーのものよりひと回りほどデカい。ガブッと行くと、かなり濃い甘さ。北千住の「松むら」と似ているが、もっと素朴だった。酢飯には具がない。やや固めのご飯だけ。何というシンプルないなり寿司。村長は拍子抜けした。
          越後家⑤ 
          これこれ、江戸前のいなり
          越後家⑥ 
          裏側も濃い色
          越後家⑦ 
          恐るべきシンプル

江戸前のブッキラボーな味わい。それをぜい沢にも「越乃寒梅 金無垢」で洗い流す。トロリとした、ボディーの強いやや辛口の美味さ。江戸前が越後の名酒に包まれていく。なぜか笑いがこみあげてくる。

私はこのいなり、好きよ。シンプルな中に深い味わいがあるわ。ニヤニヤしてないで、村長もこのいなりを見習ったら?」
「うむ、高級と飛び切りの低級の融合が悪くない。店の人が言ってたけど、油揚げのタレは創業以来継ぎ足し継ぎ足ししているんだってさ。あまり知られてないけど、凄いいなりかもな」
「当たり前でしょ。見た目は似てても、スーパーのいなりとは違うわよ。そろそろ、デザートにしましょ」
          越後家⑧ 
       イッツ、デザートタイム!

「福多もち」はまん丸で大きさもひと回り大きい。まるで田舎の大福のようで、餅の存在が圧倒的。固めだが、伸びやかでしっかりとした食感。あんこはきれいなこしあんで、甘さは抑えている。ごくフツーの美味さ。こしあんよりもむしろつぶしあんの方が合うのではないか、と思った。
          越後家⑨ 
          大福餅さま
          越後家6 
          餅の存在感
           
お茶をすすりながら食べているうちに、餅の尻に敷かれている気がしてきた。越乃寒梅といなりと大福・・・黄金のトライアングル・・・ある種の理想郷が近づいてきた・・・。

本日の大金言。

高級と低級はどこかで繋がっている。だからこそ面白い。人間、この不可思議な生き物に福あれ、なんてね。



                         越後屋5 




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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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