大ボスも唸った「しらすのつくだ煮」

 久しぶりに東京・佃島(つくだじま)に足を運んだ。村長の好きな街の一つで、歴史的には徳川家康が江戸に幕府を開いたときに、摂津州佃村から移ってきた漁師たちが定住した場所。佃煮(つくだに)の発祥地でもある。東京湾が隣接していて、有名人が住んでいる高層マンション群も見える。そこに江戸の昔にタイムスリップしたような一角があり、村長の目的は佃煮の「丸久(まるきゅう)」である。                                         佃島② 
           創業天保8年(1837年)の「天安」
           佃島① 
           創業天保14年(1843年)の田中屋

宮仕え時代に大ボスが「佃島に江戸時代から続く老舗が三軒あるんだよ。天安、田中屋、丸久。どこが一番美味いか知ってるか? 一番地味な丸久だよ」。そう言ってニヤリとした。当時、メディアによく取り上げられていたのは日除け暖簾が見事な天安。続いて田中屋だった。大ボスの食べ物に関する好奇心と知識は並大抵ではなかった。村長がいい店や食べ物に関心を持つきっかけの一つはこの大ボスの影響もある。
           丸久⑤ 
           こちらが「丸久」、創業は安政6年だ

その丸久は創業が安政6年(1859年)。老舗三軒の中では一番新しい。約5年ほど前に耐震の関係で店を建て替えたために、かつての風情はないが、久しぶりに暖簾をくぐると、以前と同じように、奥から当代がのそっと出てきた。天安や田中屋のようにスタッフが大勢いるわけではない。建物は新しくなっても、最も手づくり感のある店だと思う。売り切れ御免の店でもある。
           丸久③ 
           店内は実にシンプル

一番人気の「あさり」(100グラム720円)と「しらす」(同720円)を買い求めた。「あみ」(100グラム411円)、「まぐろの角煮」(同617円)は予算の関係で今回は断念した。その後、赤坂に寄る用があり、「あさり」を手土産にしたために、手元に残った「しらす」をバッグに入れ、夜遅くウマズイめんくい村に帰った。
           丸久② 
           あさり
           丸久① 
           こちらがしらす

翌日、その丸久の「しらす佃煮」で昼ご飯を食べることにした。村民2号が胚芽米でご飯を炊き、大根と油揚げの味噌汁を作る。包みを解き、しらすの佃煮が現れる。琥珀色(こはくいろ)に煮詰められた丸久の佃煮は以前とまったく変わりない。まずは箸でひと口。懐かしい美味が立ち上がってくる。
           丸久 
           風情のある包み
           丸久① 
           美味まで1マイル
           丸久② 
           これで100グラム

代々継ぎ足しのタレで油断なく煮詰められたしらすは、きりっとしていて、やや甘めだが、雑味がない。1匹1匹に深い旨みが詰まっている、とでも表現のしようがない。スーパーで買う佃煮とは比較できない職人の味わい。噛みしめると、歯と歯の間から旨みがにじみ出てくる。つい海で泳いでいた時のしらすに想いが行く。醤油と味りんと歴史の海をくぐり抜けてきた美味の円環。
           丸久④ 
           しらすの夢?
           丸久⑤ 
           最高のぜい沢?

炊き立てのご飯にのせる。これは最高のぜい沢かもしれない。何杯でもご飯が進む。唾液がどんどん出てくる。頭の中がキラキラしてくる。
           丸久⑦ 
           ご飯の上の天国
           丸久⑨ 
           人生が変わる?

「そこでストップ! もっと大事に食べましょうね」
村民2号の 声がなければ、軽く3杯は行っていた。その後、たまたま小津安二郎監督の「お茶漬けの味」を観た。年に一度くらいは「つくだ煮の味」も悪くない。次があるのか、もわからないというのに・・・。

本日の大金言。

シンプルの至福。ロングアンドワインディングロードの先。果たしてそこまで行けるか?


                       丸久10 


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贅沢知らず

胚芽米で佃島のシラスとはあまりに贅沢。丸久は以前の方が建物にも趣があり、天安や田中屋より奥まったところにポツンとあった。それ故にあなたの大ボス(ひょっとしてあの方?)も目をかけたのではないか。今や丸久も人気店。シラスやアサリもいいが、値段的にもアミがいい。究極の贅沢は冷や飯に湯がけかたくわん飯だと思う。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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