早朝の突撃、今西軒のおはぎ
「仙太郎のぼた餅が美味かった? 京都では今西軒ですよ、ひっひっひ」
以前、東京・新宿伊勢丹のデパ地下で行列に並んで京都の老舗「仙太郎」のぼた餅を買い、賞味したことがある。行列の凄さと1個260円という値段に驚いた。確かに美味かったが、コスパ的にはわざわざ並ぶほどのものではないな、というのが率直な感想だった。そのことを京都にお住いのグルメ先生に話した時の反応が上記のひと言だった。
京都の最終日夜、そのグルメ先生が病院からわざわざ「今西軒に行くといいですよ。朝7時半には開いてます。ウマズイめんくい村に帰る前に行ったらよろしい」とメールを打ってきた。むろん、当初からその予定だったのだが、グルメ先生の好意を無にするわけにもいかない。「へーい、了解しました」と急いで返信したのだった。
おはぎ一筋118年(烏丸五条「今西軒」)
開業時間を調べたら、午前9時半だった。突撃気分で10分前に烏丸五条にある「今西軒」に到着。すでに5人ほどが並んでいた。明治30年(1897年)創業、古い町家造りの建物に「名物おはぎ」の看板が歴史を感じさせる。今西軒では仙太郎と違って「ぼた餅」とは言わない。並んで待っていると、どんどん後ろに行列ができるのがわかった。
午前9時半開店の瞬間
9時半ぴったりに若い店主(多分四代目)が中から現れ、木戸を外しにかかった。なかなか見れない光景。見事なおはぎが店頭に並んでいた。大きさはフツーの大きさだが、色味といい風格といいかなりのものを感じさせる・・・。
行列の価値
3種類しか作らない
1個190円なり
おはぎは3種類のみ。「つぶあん」「こしあん」「きなこ」(それぞれ1個190円)。作る数が限られているため、売れ切れたらそこでお終い。村長はそれぞれ1個づつ買い求めた。「賞味期限は本日中」なので、ウマズイめんくい村に持ち帰って賞味することにした。
一夜の夢?
つぶあん(右)とこしあん
村民2号がお茶を入れて待っていた。「京都おはぎ界の最高峰」を前に村長の小さな胸が高鳴る。まずは「つぶあん」。箸で割ると、つぶあんの厚みがわかる。うむむ。それだけで小豆のいい風味が立ち上がってきた。小豆は北海道産。ガブリと行くと、甘さがかなり抑えられていて、雑味のなさに軽く驚く。こってり感はあるが、しつこくない。
つぶあんの厚さ
あんこの作り方にかなりの時間とエネルギーを使っていることがわかる。もち米は半搗(つ)きのようで、搗きたて餅のように柔らかい。知らなければ通り過ぎてしまいそうなほど、その味わいは繊細で、絶妙なバランスというしかない。
「こしあん」にはさらに感心。さらさらとしたきれいな風味が口中から鼻腔を抜け、そよ風となって脳天にまで達したのがわかった。ピュアな洗練という言葉が浮かんだ。塩の気配は感じられない。砂糖はグラニュー糖でも使っているのか? 美味。野暮ったいぼた餅好きの村長にとっては軽い驚きでもある。
こしあんの厚さ
最後の「きなこ」は今西軒でも一番人気でいち早く売り切れになるそう。中はこしあん。よく見ると、きな粉に黒ゴマが混じっていた。
「私はこれが一番好き。もち米もとてもいいわ。1個190円というのも納得よ。今西軒のおはぎは初めて食べたけど、洗練されたおはぎというものが確かに存在するのね。さすがグルメ先生の情報だわ」
村民2号がため息交じりに感想を漏らす。
希少なきなこ
ピュアな絶妙
「人間と同じだ。品格のある人間は少ないけれど、確かにいる。ここにも・・・」
「それ以上言わないで・・・。わかってるわよ」
なぜかお互いに自分のことだと思って、少しだけ下を向いた。ウマズイめんくい村に救いはない。
「グルメ先生も早くこれを食べれるようになればいいわねえ。お嫁さんでも来ないかしら・・・」
村民2号がきな粉の付いた口でポツリとつぶやいた。
本日の大金言。
ぼた餅は春のお彼岸に食べる。おはぎは秋のお彼岸に食べる。「牡丹(ぼたん)」と「萩(はぎ)」の時期からそうなったようだが、今では一年中食べれる。四季餅と言った方が正しいかも。
以前、東京・新宿伊勢丹のデパ地下で行列に並んで京都の老舗「仙太郎」のぼた餅を買い、賞味したことがある。行列の凄さと1個260円という値段に驚いた。確かに美味かったが、コスパ的にはわざわざ並ぶほどのものではないな、というのが率直な感想だった。そのことを京都にお住いのグルメ先生に話した時の反応が上記のひと言だった。
京都の最終日夜、そのグルメ先生が病院からわざわざ「今西軒に行くといいですよ。朝7時半には開いてます。ウマズイめんくい村に帰る前に行ったらよろしい」とメールを打ってきた。むろん、当初からその予定だったのだが、グルメ先生の好意を無にするわけにもいかない。「へーい、了解しました」と急いで返信したのだった。

おはぎ一筋118年(烏丸五条「今西軒」)
開業時間を調べたら、午前9時半だった。突撃気分で10分前に烏丸五条にある「今西軒」に到着。すでに5人ほどが並んでいた。明治30年(1897年)創業、古い町家造りの建物に「名物おはぎ」の看板が歴史を感じさせる。今西軒では仙太郎と違って「ぼた餅」とは言わない。並んで待っていると、どんどん後ろに行列ができるのがわかった。

午前9時半開店の瞬間
9時半ぴったりに若い店主(多分四代目)が中から現れ、木戸を外しにかかった。なかなか見れない光景。見事なおはぎが店頭に並んでいた。大きさはフツーの大きさだが、色味といい風格といいかなりのものを感じさせる・・・。

行列の価値

3種類しか作らない

1個190円なり
おはぎは3種類のみ。「つぶあん」「こしあん」「きなこ」(それぞれ1個190円)。作る数が限られているため、売れ切れたらそこでお終い。村長はそれぞれ1個づつ買い求めた。「賞味期限は本日中」なので、ウマズイめんくい村に持ち帰って賞味することにした。

一夜の夢?

つぶあん(右)とこしあん
村民2号がお茶を入れて待っていた。「京都おはぎ界の最高峰」を前に村長の小さな胸が高鳴る。まずは「つぶあん」。箸で割ると、つぶあんの厚みがわかる。うむむ。それだけで小豆のいい風味が立ち上がってきた。小豆は北海道産。ガブリと行くと、甘さがかなり抑えられていて、雑味のなさに軽く驚く。こってり感はあるが、しつこくない。

つぶあんの厚さ
あんこの作り方にかなりの時間とエネルギーを使っていることがわかる。もち米は半搗(つ)きのようで、搗きたて餅のように柔らかい。知らなければ通り過ぎてしまいそうなほど、その味わいは繊細で、絶妙なバランスというしかない。
「こしあん」にはさらに感心。さらさらとしたきれいな風味が口中から鼻腔を抜け、そよ風となって脳天にまで達したのがわかった。ピュアな洗練という言葉が浮かんだ。塩の気配は感じられない。砂糖はグラニュー糖でも使っているのか? 美味。野暮ったいぼた餅好きの村長にとっては軽い驚きでもある。

こしあんの厚さ
最後の「きなこ」は今西軒でも一番人気でいち早く売り切れになるそう。中はこしあん。よく見ると、きな粉に黒ゴマが混じっていた。
「私はこれが一番好き。もち米もとてもいいわ。1個190円というのも納得よ。今西軒のおはぎは初めて食べたけど、洗練されたおはぎというものが確かに存在するのね。さすがグルメ先生の情報だわ」
村民2号がため息交じりに感想を漏らす。

希少なきなこ

ピュアな絶妙
「人間と同じだ。品格のある人間は少ないけれど、確かにいる。ここにも・・・」
「それ以上言わないで・・・。わかってるわよ」
なぜかお互いに自分のことだと思って、少しだけ下を向いた。ウマズイめんくい村に救いはない。
「グルメ先生も早くこれを食べれるようになればいいわねえ。お嫁さんでも来ないかしら・・・」
村民2号がきな粉の付いた口でポツリとつぶやいた。
本日の大金言。
ぼた餅は春のお彼岸に食べる。おはぎは秋のお彼岸に食べる。「牡丹(ぼたん)」と「萩(はぎ)」の時期からそうなったようだが、今では一年中食べれる。四季餅と言った方が正しいかも。

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