いわきのワンダーな「穴子丼」

 約2年ぶりに福島・いわき市へと向かう。目的の一つが小名浜の海鮮料理。3.11で小名浜漁港も大きな打撃を受けたが、「チーナン食堂」や「鮮魚食堂 うろこいち」など港付近の食堂の復活具合を見たかったこともある。石巻や陸前高田ほどの巨大津波ではなかったものの、営業停止に追い込まれた店も多い。
           小名浜漁港 
           小名浜漁港

あれから4年以上の月日が流れた。正午過ぎ、ポンコツ車が小名浜漁港に到着。抜けるように青い空、漁船・・・堤防でイワシ釣りのオヤジもいる。表面的には震災の跡は見えない。震災後、いち早く店を再開した「チーナン食堂」に向かう。漁港関係者や近くのサラリーマンなどで混み合っていた。7~8人の待ち。

もう一軒、「鮮魚食堂 うろこいち」に行ってみる。ここは魚屋が営む食事処で、入り口の横には「御支援ありがとうございます。大震災から2年、ようやく店を再開することができました」という手書きの張り紙が貼ってあった。日付は平成25年3月15日となっていた。津波の被害で店は営業休止に追い込まれていた。
           うろこいち① 
      3.11から立ち直った「うろこいち」
           うろこいち⑤ 
           滲む想い

たまたま近くにいた地元のおじさんが「ここは旨いよ。魚は放射能の問題で福島沖では獲れないので、常陸沖で獲ったものが中心だけど、鮮度もすごくいいよ」。日焼けした顔がいい。「ここにしましょ」と村民2号。
           うろこいち② 
           メニューの誘い

ここも混み合っていたが、「チーナン食堂」ほどではない。4人用のテーブル席が7つほど。その一つに腰を下ろして、メニューの中から「穴子丼」(1050円)を頼むことにした。村民2号は「刺身定食」(1500円)。どちらもカニ汁、おしんこ付き。

店は魚屋と直結していて、長靴姿の男性が行き来していた。女性スタッフの動きもキビキビしている。約15分ほどで、「穴子丼」がやってきた。ドンブリではなくお重同時に「刺身定食」も登場。見るからに鮮度のいいまぐろ、平目、甘エビ、イカ、たこ、ホタテ、かつおなどがどっかと盛られている。ご飯の盛りもレベルを超えている。
           うろこいち⑥  
           これで1050円とは・・・
           うろこいち④ 
           人気の刺身定食

「穴子丼」はふたを取った瞬間、そのボリュームにまず唸ってしまった。お重からはみ出そうなくらいぎっしりと詰まった煮穴子。立ち上るいい匂い。わさびを付けて、まずはひと口。煮穴子は実に柔らかく炊かれていて、口中に入れると、やや甘めの風味が広がった。常陸沖の穴子だそう。細かい骨も見えるが、柔らかく煮込まれているためか気にならない。
           うろこいち⑦ 
           言葉がない
           うろこいち⑨ 
           絶妙な穴子丼

ご飯は福島産のコシヒカリで、タレの滲み込み具合もいい。ふうふうしながら食べると、潮風が脳天に抜けていくようで、実に旨い。築地場内市場「高はし」で食べた穴子丼(2000円)ほどの洗練はないが、1050円でこれだけの穴子丼を出すこの店に敬意を表したくなった。フツーの穴子丼の1.5倍くらいのボリュームとふくよかな圧倒。
           うろこいち10 
           裏から失礼
           うろこいち11 
           プロの技

「刺身定食は築地で食べるよりも全然安くて旨い。平目とまぐろが特に美味だわ。カニ汁はフツーに素朴。小名浜は初めてだけど、来てよかったわ。また来なくっちゃ」

「政府も東電もひどいウソをつく。そのために福島は厳しい状況が続いているけど、こうして小名浜の海鮮料理を食べていると、人間の価値って何だ?と考えてしまうよ。長靴から、胃袋から世界を見る。肝に銘じたいよ」

「福島を他人事だと思ってる人が多いけど、福島は日本なのよね。想像力を働かせればすぐわかることなのに」

「確かに。見たくないものはないことにしてしまおう。一国の首相ともあろうものの言葉のあまりの軽さ。そして、気づいたら誰もいなくなってしまった・・・なんてね」

「状況はコントロールなどされてはいない」
「パンツだってコントロールなどできやしない・・・」
何かを思い出すように、村長は清志郎の「サマータイムブルース」を口ずさむのだった。歌もコントロールできない。

本日の大金言。

海は誰のものでもない。ましてやそれを汚すことなど論外だと思う。未だ誰も裁かれていない不思議。



                        小名浜漁港① 




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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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