あんこ界の奇跡?「よもぎ餅」の夜

 棚からぼた餅、ということわざがあるが、犬も歩けばよもぎ餅に当たる。月旅行から帰還した当麻寺先生を囲む会が某所で行われた。その席で、当麻寺先生が「これ、みんなに」と手土産として持ってきてくれたのが「中将餅(ちゅうじょうもち)」だった。「村長も好きでしょ」とも付け加えた。気配りに涙・・・。

村長は手にしていたワイングラスを落としそうになるほど、おったまげた。「中将餅」はよもぎ餅の最高峰ともいえる存在で、奈良・葛城(かつらぎ)市にある中将堂本舗の逸品。知る人ぞ知る「あんこの本」の表紙にもなっていて、よもぎ餅とその上からヘラで擦り付けられたあんこが見事だった。一度食べてみたかったもの。そっとテーブルを移動する。
            中将餅① 
            夢かうつつか?

それが目の前にある。村長はみんなに出す前に勝手に「毒見する」ことにした。万が一のこともある・・・。包装紙を取ると、折り箱が現れた。焦ってはいけない。ゆっくりとフタを取る。「あんこの本」の表紙と寸分違わぬ、見事なこしあんが乗っかったよもぎ餅が現れた。こしあんは一つ一つヘラで擦り付けられたもの。美味の整列。3秒ほど絶句状態。合計15個入り(1200円)。
            中将餅② 
            棚からよもぎ餅・・・
            中将餅③ 
            ゆっくりと急げ
            中将餅④ 
            言葉はいらない

ムフムフの毒ミッションをしなければならない。これはあくまでも「犠牲的精神(?)による毒見」である・・・かすかに残っている良心と戦いながら、箸で一つだけ取ることにした。だが、よもぎ餅が実に柔らかくて、箱から離れようとしない。伸びるよもぎ餅。こしあんが身をよじる。何というシチュエーションか?それだけでよもぎの風味とこしあんの風味が絶妙に立ち上ってくる。

中将堂本舗は昭和4年(1929年)創業。現在三代目だが、「中将餅」は初代が當麻の里に昔から伝わる「あん付け餅」をひと口大の大きさにしたもの。当麻寺に伝わる中将姫伝説にちなんで「中将餅」と命名したようだ。中将姫は天平19年(747年)、藤原大納言の娘として生まれ、若くして仏門に入り、一夜にして當麻曼荼羅を織り上げたという伝説が残っている。かなりの美人だったそう。

よもぎは葛城の里に自生する天然物を使っている。ちょうど4月~5月、今の時期が摘み取り時期で、目の前にある中将餅は新よもぎを使っているはずだ。箸で何とか口中へ。よもぎの風味が素晴らしい。その柔らかさ。こしあんの絶妙がそれに覆いかぶさってくる。自然に笑みが漏れてくる。
            中将餅⑤ 
            風味が立ってくる

こしあんは昔の「赤福」のようだが、豊かできれいな甘みと小豆の風味が、赤福より格上。「比べるのが失礼というものですよ」当麻寺先生のような声がどこかから聞こえてきた。よもぎ餅の香りがやや勝っているが、よもぎ餅好きにはそれもまたたまらない魅力でもある。
           中将餅⑥ 
           葛城の里のよもぎ
           中将餅⑦ 
           至福の時間は短い

中将堂本舗によると、こしあんには丹波大納言も少し混ぜているそうだが、悲しいかな村長の舌には感知できなかった。ミッションの時間が短すぎたのと良心の呵責が邪魔をしたのかもしれない。次回は奈良・・当麻寺まで行かなければ、そう決意して、残りの14個をみんなの前に持っていった。

本日の大金言。

歴史のある生菓子には曰くがあるが、それを抜きにしても、「中将餅」がよもぎ餅界の最高峰の一つだと思う。「赤福」の轍を踏まないことを祈りながら。



                      中将餅⑧
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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