「東京スポーツ青春物語」と絶妙水なす

 久々のうれしいニュース。村長の知人が本を出版した。江戸に出たついでに、日本橋丸善に立ち寄り、「東京スポーツ青春物語」(飛鳥新社刊)を買い求めた。著者の柴田惣一氏はプロレスひと筋の記者生活を送り、デスク→第二運動部長→Web東スポ編集長などを歴任し、現在も「ワールドプロレスリング」(テレビ朝日)などでも解説を務め、現役記者として健筆をふるっている。なぜかネクタイ評論家としても知られている。
            
その新刊本を手にしながら、夕暮れどき、銀座・泰明小学校近くの「泰明庵(たいめいあん)」にふらりと立ち寄ることにした。路地裏の隠れ家。ここは銀座でも知る人ぞ知るそば屋で、常連客も通人が多い。宮仕え時代の大ボスもここのファンで、「相席で美味い肴をつつきながら一杯やるのがいいんだ」などと話していたこともある。
                   泰明庵2  
          銀座の路地裏の名店

創業は昭和25年(1950年)。「そば 軽食 泰明庵」のネオンが灯り、その下の情緒的な店構えはどこか京町家のよう。「軽食」の文字が時代を感じさせる。ここで食べた「水なす」が実に絶品だった。
           泰明庵② 
           隠れ家?

夕暮れどきとあって、客はまだ少なかった。昭和の昔にでもタイムスリップしたような店内。村長は非通人だが、年季の入った木のテーブル席に腰を下ろして、まるで居酒屋のようなメニュー札を見る。「もり 600円」「かしわ 780円」などの定番メニューの他に、「焼きホタテ」「まぐろ煮」などの手書き文字がズラリと並んでいる。
           泰明庵④  
           そば屋か、居酒屋か?

キリンの瓶ビールを頼んでから、迷った末に「だし巻き」(680円)と「そら豆」(380円)を頼むことにした。すると、おばさんスタッフが「水なすが美味いですよ」と絶妙な合いの手。うむ。「では、それもお願いします」と村長。非通人の哀しい見栄。
           泰明庵⑤ 
           旬の水なす、登場

しばらく待っていると、青緑の小鉢に盛られた「水なす」(680円)がやってきた。見事な浅漬け。水なすはビニールハウス栽培でほぼ一年中食べれるようになったが、最も美味い露地物は今からが旬。築地で仕入れているようだが、大阪・泉州ものかもしれない。
           泰明庵3  
           いきなりメーンエベント
           泰明庵4 
           カウント、スリーか?

ビールでのどを潤してから、まずはひと口。噛んだ途端、そのみずみずしい芳醇が口中を支配するのがわかった。絶妙な浅漬け具合。むむむ。さり気なく、美味い。水なす自体の甘みと白だしの塩加減が素晴らしい。いい料理人が暖簾を守っているようだ。幸せ感がじわじわと脳天へと広がっていく。新鮮な水なすは生のままスライスしても美味い。
           泰明庵⑦ 
           揃い踏み
           泰明庵⑨ 
           だし巻きの美味さ

「そら豆」はフツーの美味さだったが、「だし巻き」はまるで京都で、この洗練された味わいも格別だった。いい余韻を残して、その4時間後、北千住のジャズバー「ゆうらいく」へ。オーネット・コールマンを聴きながら「東京スポーツ青春物語」を読む。「白黒つけるだけが人生じゃない」の帯が効いている。ページをパラパラとめくっているうちに、次第にその内容に引きずり込まれていった。
           泰明庵③ 
     熱い思い(北千住「ゆうらいく」で)

東スポとプロレスの舞台裏がこれほどスリリングに書かれた本は少ない。前田日明に前歯2本を折られた事件などプロレスの見方が変わるほど。東スポWebの立ち上げエピソードなどもあり、一人の記者の熱い思いが伝わってくる。どこかベタな、青臭いタイトルが案外、東京スポーツという極めてユニークなメディアへの悲しいエールにも思えてきた。東スポは不滅のはずだが、果たして・・・「泰明庵の水なす」に答えがあるかもしれない。

本日の大金言。

時代が混迷すると、原点を忘れがちになる。迷った時は足元を見ろ、百の言より一つの汗。そこから道が見えてくることもある。



                        泰明庵10 


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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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