謎多き立食い「ラー油入り肉そば」

 「銀座に面白い立ち食いそばがある。凄い人気らしい。村長が行けば、きっとビックリする。ひょっとして知ってるかもしれないけど」
少し前、面白がりの友人がわざわざ電話してきた。

「ああ知ってるよ。『俺のイタリアン』とか『俺の焼肉』とか経営してる店でしょ? 話題作りの上手い店はあまり信用しないことにしてる。ま、そのうち行ってみるよ」
そんな会話があり、一応頭の中のメモリーに入れておいた。メモリーは壊れかかっている。
              俺のだし① 
              そば俺のだし

銀座で飲み会があり、そのついでに立ち寄ってみることにした。数寄屋橋ビルの地下にその店「そば俺のだし GINZA5」があった。ちょっと前までは「俺のそば」という店名だったのが、なぜか「そば俺のだし」に微妙に変わっていた。うむ。

店構えは開放的で立ち食いそば屋というより、モダンな和風バル(居酒屋)のようで、銀座のサラリーマンやOLに人気なのもすぐ理解できた。地酒やワインまで揃っている。「いきなり!ステーキ」などと同じ匂い。ランチはもとより、仕事帰りにちょっと立ち寄りたくなる雰囲気。BGMはお決まりのモダンジャズ。女性スタッフの対応がとてもいい。
              俺のだし 
              和風バルか?

一番人気だという「俺の肉そば(冷)」(700円)を選んだ。店がオープンしたのは去年の4月11日。何か3.11と関係あるのか? 調べてみたら、道場六三郎の愛弟子がスカウトされて、この店のメニュー作りにかかわったらしい。3.11とはどうやら関係はないようだ。
              俺のだし② 
              メニューの魅力

立ち食いスペースは80人ほど入るスペース、奥が厨房になっている。そこで「俺の肉そば(冷)」を受け取る。男性スタッフが4人、女性スタッフが1人ほど。テキパキと働いていた。

お盆に乗った冷たい肉そばを見てその姿に驚いた。刻み海苔が山のように盛られ、その下には白ゴマが雪のように広がっていた。箸で海苔の下をかき分けると、新鮮な白ネギの層が現れた。さらにその下に、黒々とした田舎そばが「おばんです」と現れてきた。至るところに薄切りの豚肉が岩のように佇んでいた。驚くべきはそのボリューム。普通盛りなのに1.5倍は優にありそう。
              俺のだし③ 
              俺の肉そば(冷)
              俺のだし④ 
              圧倒と驚き
              俺のだし3 
              階級社会?

つけ汁に付けて食べる。ラー油がドカと入っていた。つけ汁自体がかなり濃いのに、そこにラー油の辛さが押し寄せてくる。そばは器械打ちで、コシがかなり強い。そば粉は国産だろうか? 風味もそこそあり歯ごたえも悪くない。それは村長の好みだが、つけ汁は醤油の存在が濃過ぎて、出汁の奥ゆかしい姿が感じられない。うむ。
              俺のだし⑦ 
              そばのコシ
              俺のだし5 
          ラー油の風味がたまらない

ラー油に驚かされたが、しだいにそれが思ったほどの辛さにはならない。寸止めの辛さ。これは確信犯的なプロの味だと確信した。豚肉の質はそれほどではないが、薄切りなのでいいアクセントになっている。どんどん箸が進む。食べ進むうちにこの強烈なビジュアルと味はどこかで味わったことがあることを思い出した。
               俺のだし4 
               薄切りの豚肉

2年ほど前に賞味した虎ノ門近くの「そば処 港屋」とそっくりではないか? 濃い味、ラー油入り、海苔と白ゴマ、コシの強い田舎そば・・・ひょっとして兄弟店なのか? 「港屋」は2002年にオープン、そのスタイルは立ち食い業界に衝撃を与えた。今も人気の行列店である。

ウマズイめんくい村に帰ってもそのことが気になった。気になると眠れない性質なので、翌日思い切って、電話で聞いてみることにした。

「あのう大変旨かったのですけど、虎ノ門の『そば処 港屋』とは関係あるのですか?」
「はっ? 何か」
「よく似てたものですから、関連会社かなと思って」
「まったく関係ありませんよ」
「たまたま似てたってことですかねえ」
「ウチはウチですよ」

世界には自分とそっくりな人が3人いる、と言われるので、たまたま似ていても不思議はない。これがラーメンだと考えれば不思議はない。村長は「結局は旨ければいいんだな。港屋はそばオンリーでバルでもないし、居酒屋でもない。形態も違うしな」と思い直した。激烈な外食戦線。だが、どこか割り切れないものがかすかに残るのだった。元祖?「そば処 港屋」にも電話して聞いてみようと思ったが、バカバカしくなって指を止めた。

本日の大金言。

似せることは悪いことではない。物マネからオリジナルが生まれることだってある。もしそこに職人がいれば、という前提付きだが。




                            俺のだし10 















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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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