晩夏の日本橋の焼き鳥丼

 ペンクラブでの編集作業の合間を縫って、ランチを取りに大好きな人形町方面へとブラブラ歩いた。新大橋通り。日本橋蛎殻町。このあたりはサラリーマンが多く、ランチタイムはかなり込み合う。時間をずらして、午後1時ちょい前に「いい店はないか。穴場はないかいな」と鼻歌混じりにあちこち物色。

すると、焼鳥「ときわ」の看板が見えた。「焼き鳥丼」「親子重」の立て看板。「ランチタイム850円」の文字も。入るかどうか迷っていると、ちょうど店からサラリーマン3人組が出てきた。「ああ旨かったなァ」一人がそうつぶやいた。決まり! 村長は暖簾をくぐることにした。
              ときわ 
              犬も歩けば・・・
              ときわ① 
              穴場発見か?

テーブル席が左右にあり、奥が厨房になっていた。小ぎれいな店内。いい匂いがかすかに鼻腔をくすぐる。村長は2人用のテーブルに腰を下ろすと、メニューの中から「焼き鳥丼」(汁椀、香物付850円)を選んだ。鳥肉は「大山鶏を使用」とあり、さらに「阿波尾鶏のつくね付き」と表記してあった。どちらも国産ブランド鳥。これは期待できるかも。
              ときわ② 
              当たりの予感

厨房で焼き始める香ばしい匂い。店主らしい中年男性の立ち姿は悪くない。待ち時間は13~4分ほど。お盆に乗って「焼き鳥丼」がやってきた。木製の茜色のドンブリ。その景色がいい。フタを取ると、見事な焼き鳥が目に飛び込んできた。ネギ間が3本、塩つくねが1本。一つ一つのボリュームと肉汁感が滴るようで、「これは当たりか」と思わせるに十分だった。それにシシトウが二つ。
              ときわ③ 
              漆塗りのドンブリ

まずはみそ汁をひと口。シジミの出汁の効いたやさしい旨味。豆腐が崩れていたのが残念だが、いい味わい。七味をパラパラかけてから、本命の大山鶏を口中へ。かじった瞬間、弾力と旨味がじゅわりと歯の間から広がった。タレはやや甘め。
              ときわ④ 
          フタを取るとウムムの世界
              ときわ⑥ 
              七味をパラリ

海苔とともにご飯をかっ込む。タレはやや掛け過ぎだと思う。とはいえ、ご飯の旨さに目を見張らされる。柔らかすぎず固すぎず。まさに「立ってるご飯」で、「茨城産コシヒカリを使ってます」とか。ご飯の量は少なめだが、鶏肉のボリュームがたっぷりなので、全体としてはちょうどいい分量。
              ときわ⑦  
              阿波尾鶏の塩つくね
              ときわ⑧ 
              絶妙な大山鶏
              ときわ⑨ 
              ご飯がスグレモノ

阿波尾鶏のつくねは軟骨と青じそが入っていて、薄い塩味がつくねの肉の旨みを引き出している。淡泊できれいな旨味。これがいいアクセントになっている。全体的に850円とは思えない充実ぶりで、ランチの穴場発見の気分。
              ときわ10 
              美味の断層

店は元々は八丁堀で暖簾を下げていたが、4年ほど前に現在の日本橋蛎殻町に移転してきたという。村長がこれまで食べた焼き鳥丼の最高峰の一つは築地「ととや」だが、この焼き鳥丼はそれよりも300円ほど安い。それを考えると、大関クラスの味わいだと思う。ワキ役のお新香とネギが大山鳥と阿波尾鶏つくねの陰に隠れてもう一つなのが残念だが、いい店であることは確か。

かつて作家の丸谷才一が「春の築地の焼き鳥丼」と「ととや」の焼き鳥丼を絶賛したが、晩夏の日本橋の焼き鳥丼も悪くない。ツマヨウジをシーハーしながら、村長はマヌケ面でペンクラブへと戻るのだった。

本日の大金言。

メディアの情報に頼らずに街を歩くと、いい焼き鳥屋に出会うこともある。空、地面、風、行き交う人、肉体感覚・・・もう一度大地を踏みしめてみる。


                            ときわ11 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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