「漬け物カフェ」の不思議な時間

 「漬け物をタダで出してくれる面白いカフェがあるんだけど、行ってみない?」
情報通のシバの女王が声をかけた。
「漬け物がタダだって? 聞いたことがない。そりゃヘンなカフェだ」
「ケーキセットを頼むと、食べ終わった頃に漬け物がサービスで出るのよ。それが凄いのよ」
「どこにあんの?」
「埼玉・白岡の見沼代用水沿いよ」

シバの女王の掛け声に、恐るべきグルメ・ドン圭氏、謎の食通・イシカワそば仙人、それに足軽村長が同時に反応した。カフェ竜で雑談中のこと。腰が浮いている。
「そんじゃ、行くべえか」
ドン圭氏の60年代クラシックカーに飛び乗って、野次馬4匹が白岡方面へと向かった。三角窓から入ってくる風が心地よい。
               カフェ悠① 
               広大な古民家

50分ほどで、見沼代用水沿いにあるその面白いカフェに到着した。広大な敷地。旧家の佇まい。門があり、入り口に「珈琲 自家焙煎 悠(ゆう)」という看板。漬け物カフェという軽い思い込みが吹っ飛んだ。これは文化財的店構えではないか。広い庭にはテラス席もある。
               カフェ悠2 
               もはや文化財カフェ

正面の入り口から入ると、息を飲む光景が広がっていた。インカの木像や骨董品が惜しげもなくインテリアとして飾られている。
「スゴいでしょ? でも驚くのはまだ早いわよ」
「これは相当金かけてるな。古民家を移築したとしても、一千万じゃ済まないぞ」
「これだけの柱と梁だけでもスゴい。これは相当な資産家じゃないかな」
               カフェ悠3 
               ようこそ
               カフェ悠5 
               不思議な空間

午後2時を過ぎていたせいか、客は村長一行4人だけ。奥からダンディーな初老の店主が出てきて、テーブル席に案内された。立派な押し出し。
「一人でやってるもんだから、大変なんですよ。この店は7年前から始めてます。ちょっと時間がかかるかもしれませんが、ゆっくりお待ちください」
店主は大企業に勤めていて、そこをリストラされて、一念発起、第二の人生を「リタイア後の生き方」などをテーマにしたコミュニケーションの場としてこの店を開いたそう。
               カフェ悠② 
               メニューは少ない

村長はケーキセットメニューの中から「レアチーズセット」(自家焙煎コーヒー付き800円)を頼んだ。レアチーズケーキはスポンジもレアチーズも柔らかくて、それなりに美味い。コーヒーは焙煎の苦みが効いていてこのレアチーズケーキに合う。リッチな時間。
               カフェ悠③ 
           レアチーズケーキセット登場
               カフェ悠④ 
               やわらかなチーズケーキ

やがてシバの女王が話していた「漬け物セット」がやってきた。息を飲む。驚くべき内容。漬け物3種と果物3種、それになぜかビーフジャーキー。それらが七つの小鉢に見事に盛られて、さらにお茶と湯呑みまで付いていた。「サービスです」と店主。何も知らなければこちらがメーンディッシュではないか? シバの女王がしてやったりの表情。
               カフェ悠⑧ 
               これがサービス?

店主がリタイア後の健康と人生について、自説を話し始めた。「動きたくない時ほど身体を動かせ」とか「好奇心を持って人の役に立つこと」など延々と語り始めた。ありがたい話だが、次第に足がしびれてきた。漬け物は大根のぬか漬けが旨い。残念ながら自家製ではないそう。果物は梨とグレープフルーツが美味かった。

ドン圭氏とそば仙人が合いの手を入れ、次第に店主を圧倒し始めた。いつの間にかドン圭氏の話を店主がかしこまって聞いている。何ということだ。立場が逆転していた・・・。
               カフェ悠⑨ 
               まさかの展開

この店はメニューよりも雰囲気が素晴らしい。説話も好きな人にはたまらない魅力かもしれない。ランチがないのが不思議だったが、人手不足で「そこまで手が回らない」とか。「悠」の中には「窮」もある。村長は悠々自適と窮々自適は紙一重だと思う。シバの女王は「今回は漬け物の中に玉子焼きがなかったわ。これが旨いのよ。それがちょっと残念かな」とつぶやいた。次回は説法より玉子焼きを食べてみたい・・・。

本日の大金言。

世の中は想像よりも広い。知ったつもりでも知らないことがいかに多いか。漬け物をサービスで出すカフェなんて、来る前は想像だにできなかった。漬け物に人生を見ることもある。



                             カフェ悠12
 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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