息も絶え絶え「羽黒山の力餅」

 羽黒山の石段は2446段。去年、山寺の石段(1050段)を登り切って自信を付けたウマズイめんくい村の怪しい一行約2人は、「ナニ、千も二千も変わりないさ」と五重塔を参拝してから延々と続く石段を登り始めた。樹齢300~500年と言われる杉木立、その間から見える空、身体ごと洗われるような清澄な空気・・・だが、300段も行かないうちに息が上がってしまった。日ごろの運動不足が悔やまれる。
                     五重塔① 
          平将門が建てたと言われる五重塔

「修験道の山伏はここを何往復もしたのよ。恥ずかしいったら、ありゃしないわ。ほら、子供だって平気な顔で登ってるわよ」
立ち止まってハアハア息を鎮める村長の横を、小学4年生くらいの男の子が「トントントンヒノノニトン」などと口ずさみながら登っていく。こんなところでCMなんか歌うな。

「せめて二の坂までは行きたいわ」
「ちょっと無理かもな」
「二の坂茶屋の力餅を食べなくてもいいの? 村長の好きなあんこ餅・・・」
「ハアハア・・・それがホントの目的だった。忘れるところだったよ。二の坂茶屋はちょうど中間点。ハアハア、そこまでは何としてでも・・・」
              羽黒山⑥ 
              オアシスが目の前に・・・

あ の武蔵坊弁慶が油をこぼしたと言われる「油こぼし」の急坂の上に、「名物力餅」の看板が見えた。ここまで1時間ちょいかかっている。足が鉛になっている。休み休み足を動かす。ようやく「二の坂茶屋」たどり着いた。タイムは1時間15分。茶屋はこの一軒しかない。考えてみれば凄い茶屋なのである。創業は江戸時代とか。広く大きな木組みの小屋。そこに「あんこ餅、きな粉餅、納豆餅」などのメニューが見えた。急に元気が出る。
              二の坂茶屋① 
           江戸時代創業の二の坂茶屋
              二の坂茶屋12 
              外人観光客の姿も
              二の坂茶屋⑤ 
              メニューの一部

簡素な縁側寄りに腰を下ろす。メニューの中から「抹茶付 ミックス餅」(あんこ3個、きな粉2個 700円)を頼むことにした。村民2号も同じもの。外国人の観光客の姿も見えた。待つこと10分ほど。お盆に乗った力餅と抹茶がやってきた。
              二の坂茶屋1 
              抹茶付ミックス餅

まずは抹茶をズズズ。普通の抹茶。続いて、あんこ餅へ割り箸を伸ばす。紫色のこしあん。ほのかな湯気。これが予想以上の旨さだった。庄内産もち米を毎日杵(きね)でついているという餅はコシが強く、伸びが力強い。こしあんも手づくりだそうで、塩気がかなり強め。だが、その塩加減が絶妙で、小豆のいい風味とともに口中に広がる。美味。疲れた体の細胞一つ一つにに染み入ってくるよう。
              二の坂茶屋⑦ 
              パラダイス
              二の坂茶屋⑨ 
              秀逸なあんこと餅

きな粉餅は甘さを抑えていて、それがいい。庄内産青きな粉の風味も立っている。村長はあんこの絶妙な旨さに感心。「これはどなたが作ってるんですか?」と若女将に聞いてみた。すると、しばらくして、奥からおばあちゃんが出てきた。
              二の坂茶屋⑧ 
              青きな粉の美味

「ワタスが毎日作ってます。代々受け継いだ作り方で。うんだ、江戸時代からずっと」
「おばあちゃんで何代目ですか?」
「わがんねえ。わがんねえくれえ古い」

おばあちゃんのいい顔がすべて。それ以上、聞くことは無駄だと思った。きれいに平らげた村民2号が、「さあ、あと半分、頂上を目指しましょ」と立ち上がった。どこかからほら貝の音が聞こえた気がした。芭蕉にならって一句。有難や石段消えるあんこ餅

本日の大金言。

羽黒山は古来から修験道の行者たちの場所。それが今やミシュラングリーンガイドジャポンで三ツ星(最高ランク)。外国人も訪れる観光地となっている。だが、杉木立の石段には変わらぬ沈黙がある。



                       二の坂茶屋11 










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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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