謎のキーシマと衣笠丼に遭遇

祇園祭以来の京都へ。ペンクラブの「京都例会」ミッションのため。会場の平安女学院に行く途中で、腹の虫が鳴いた。時計を見ると、午後1時ちょいまえ。時間があまりない。烏丸御池から丸太町の途中で何とも言えない風情のある店が視界に入った。つい立ち止まる。「生そば やっこ」の看板。それも旧字で表記してある。風景が突然、セピア色に変わった。
              やっこ① 
              おんやまあ?
              やっこ 
              吸い込まれる

入り口に「キーシマ」(420円)、「ミニ衣笠丼」(470円)のメニューと写真が貼ってあった。かけそばのような写真。キーシマって何だ? 「テレビ雑誌でお馴染の店」という表記も見えた。これはいらないと思う。かえって安っぽくなる。好奇心に駆られて、白地の暖簾をくぐった。
              やっこ② 
              キーシマって何だべ?

店内は年季の入ったテーブルが7つほど。それとカウンター席(6席)。その向かいが板場になっていて、やや高齢の女将さんと店主の姿が見えた。娘さんらしき感じのいい女性がお茶を持ってきた。店は昭和6年(1931年)創業(昭和5年説もある)で、娘さんは3代目だった。うむ。
              やっこ⑥ 
              いい風情やなあ

「あのう、キーシマって何ですか?」
「キーは黄色、ラーメンの麺のことをこのあたりでは昔からシマ言うてはります。それでキーシマ。うどんのツユにラーメンの麺だけを入れただけのもんで、元々は賄い料理だったんです。先代がそれをメニューにしたところ、どんどん頼む人が増えてきて、うちの看板の一つになったんです」
「へ~、面白い。じゃあそれとミニ衣笠丼をお願いします」
              やっこ③ 
              シンプルな京都?

これぞ京都庶民のディープな味ではないか? ひょっとして京都にお住いのグルメ仙人先生も食べているかもしれない。待つこと12~3分でキーシマとミニ衣笠丼が湯気を立ててやってきた。甘い出汁の匂い。かけそばか素ラーメンのよう。キーシマは黄色というよりもベージュっぽい細麺で、ほどよいコシともっちり感、それにつるりとしたのど越しが悪くない。麺は自家製だそう。軽い驚き。
              やっこ1 
              キーシマやでェ
              やっこ3 
              さて正体は?

ツユはまさしく甘めのうどんのツユで、昆布出汁がしっかり効いている。ズズズとすすると、京都エキス(それも庶民の)が胃袋と脳を幸せ感で満たし始める。七色をパラリとかける。「ええなあ」という言葉が自然と漏れてくる。一滴残さず飲み干す。

ミニ衣笠丼はミニというよりもジュニアのボリュームで、トロトロの半熟玉子と九条ネギの風味がいい。お揚げの姿が見えなかったが、二口ほど食べ進むと、中からもっさりと出てきはった。これやこれや。ご飯にかかったツユがほどよい。こちらも甘め。もう少し甘さを抑えた方が村長の好みだが、これが京庶民の味なのかもしれない。九条ネギはもう少しあった方がいいと思うが、ひょっとしてこの時期、九条ネギが高いのかな?
              やっこ⑦ 
              衣笠丼さま
              やっこ⑨ 
              これやこれや
              やっこ10 
              お揚げやでェ

「ナニ寝ぼけこと言うてはりまんのや。キーシマなんちゅうけったいなもん食べよって。だから会津は京都でよう気張りおすなあ、と言われるのや。そんなしょうもないもん食べるなら、ケテルのシュークリーム食べてみなはれ。イノダコーヒが閉店した東京・銀座ケテルのケーキがなくなるのを惜しんで、京都で復活させた。このニュース知らない? それでよくスイーツ好きと言えまんなあ。ひっひっひ」
突然、天井から不思議な声が聞こえてきた。まさか、仙人の声?

本日の大金言。

キーシマは「きいしま」とも表現する。関西の一部で昔からあるようで、焼きそばの黄色い麺のことを「きいしま」と言っていたようだ。衣笠丼が京都の家庭の味なら、きいしまもディープな京都の味ということになる。京都は奥が深すぎる。



                           やっこ11 

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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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