「お江戸のへそ」日本橋で絶品立ち食いそば

今回はとっておきのB級情報、いやT級情報をお届けしよう。「立ち食いそば」である。(立ち食いはウマズイめんくい村ではT級グルメと定義している)
赤羽彦作村長は宮仕え時代から大の立ち食いそばファンである。仕事の合間を縫っては、街中、駅のホームを問わず、「これは」と直感すると、たとえ少々腹がいっぱいでも、ダイビングみたいに飛び込んで賞味した。

10年ほど前までは、B級どころかC級、D級、低級の「この値段じゃぜいたくは言えねえ」という店がほとんどだった。そばはぼそぼそ、汁は甘辛濃いめ、天ぷらは取り置き、という「立ち食いそば3つの定理」が当然のごとく闊歩していたように思う。。それが、日本の技術指導で、レベルアップしたそば粉がオーストラリアや中国から入ってくるようになって、状況が変わってきた。日本経済のデフレ化が進み、サラリーマンやOLの給料がガクンガクンと下がってきたことも背景としてはある。

立ち食いそばに競争原理が働き始め、そばばかりではなく、天ぷらも揚げ立て、汁もダシのきいた本格派の店が登場するようになってきた。東京・有楽町のガード下とか新橋、神田など東京のあちこちに「うまい立ち食いそば屋」ができ始めたのである。「小諸そば」「富士そば」「「ゆで太郎」「箱根そば」などチェーン店もどんどん美味しくなっていき、立ち食いソバ黄金時代の到来となっていった。

              一心たすけ① 

その間、彦作村長の給料ももちろん下がっていった。4年ほど前のある日、花のお江戸の中心地、東京八重洲から日本橋周辺をブラブラ」歩いていると、立ち食いそば屋が3軒ほど軒を並べている地帯に紛れ込んでしまった。据え膳ならぬ据え立ち食いそば屋。これは乗らなければならない。

どれにしようかと迷った末、入口の構えがちょっとしゃれていたという理由で、「蕎麦 一心たすけ」に入った。立ち食いそば屋らしからぬシックな佇まい。モダンジャズが流れていた。ちょっとしたカフェのような椅子も置いてあり、「ゆっくりと食べてってくださいね」というメッセージが伝わってくる。男性ばかりじゃなく女性客もいる。自販機で定番のかき揚げそばを買って、しばらく待つ。注文を受けてからそばを茹でるというのも誠実さを感じた。

当たりだった。立ち食いにおしゃれとジャズは似合わない。そんなシニカルな彦作村長の目線を見事に裏切ってくれた。まず天ぷらがすごい。揚げ立てのかき揚げ天、なす天、イカ天、春菊天などなどが「吉原の顔見世」のように並んでいる。追加でなす天を注文。汁は鰹とおそらくは昆布のダシがよく効いていて、まろやかだった。茹で立てのそばは江戸前の細麺。これも歯ごたえがよく、そのレベルの高さは、自称・立ち食いソバ評論家の彦作村長を唸らせるに十分だった。


           一心たすけ③ 


彦作村長が猛残暑の中、腰痛を抱えながら、久しぶりに花のお江戸の日本橋に足を延ばしたのは、「一心たすけ」が目的の一つだったからだ。相変わらずジャズが流れていた。好みの天ぷらを2個注文できる「天・天そば」(490円)を注文。天ぷらはイカ天となす天にした。
「あったかいのと冷たいの、どっちにしますか?」
「もちろん、あったかいほう」

後ろにはロン毛の美人OLが冷やしタヌキを食っていた。メイクもタヌキだった。様になっている。しかし、暑いときは暑いもの、この立ち食いの原則第1条のイを知らないとは・・・何という残念、何という損失。

「はい、天・天そばの方~」
待つこと5分ほど。石塚英彦みたいな店主の声が天使の声に聞こえた。

         一心たすけ① 

おお久しぶり、天・天そば! 今年はなすが豊作なのか、デカい。カラッとした衣の加減がちょうどいい。イカ天も揚げたてで、天ぷら屋のイカ天に引けを取らない出来具合。これだこれだ。まずは江戸前そばをズズズ。次に汁をズズズ。イカ天をかじってから、なす天へ。うめえ・・・。素材のよさが衣の甘みとともに、彦作村長を天国への階段へと導いていく。490円のシ・ア・ワ・セ。座って食べる立ち食いソバ。

「立ち食いそば」はかつてのウォークマンに並ぶ日本人が生み出した奇跡かもしれないぞ。彦作村長は食べ終えて出ていくタヌキ美人の後ろ姿を横目にしながら、そこに江戸の昔の「見返り美人」を重ねるのだった。



本日の大金言。

迷った時は立ち食いそば屋へ行け。そこには信じられないくらいの先人の知恵が埋まっている。


          
一心たすけ② 




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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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