創業1532年、芥子(ケシ)餅の極致

 「飯炊き仙人のゲコ亭が復活してるようですよ。あーた、ちょっと前にブログで引退して味が落ちたと書いてたでしょ。相変わらず勉強が足りまへんなあ。もういっぺんチンチン電車に乗って、堺を訪ねたらよろしい。ひっひっひ」

京都にお住いのグルメ仙人先生から久しぶりに糸電話がかかってきて、かようなことをのたまった。ぐやじい~。飯炊き仙人が引退してフジオフードシステムという会社がそのままゲコ亭を引き継いだのだが、引退したはずの飯炊き仙人はその後も店に顔を出し、後進をあれこれ指導しているそう。だが、堺は遠すぎる。ああ悲しい。夜遊びをやめて、貯金箱にお金をためて、もう一度行かねばならない。

と書いたところで、隠し玉を特出しすることにした。知る人ぞ知る堺の超老舗「本家小嶋」の芥子餅(ケシもち)と肉桂餅(ニッキもち)である。ウマズイめんくい村の最終兵器と言ってもいい和菓子。それを今回,、隠し金庫から取り出してご紹介したい。
              本家小嶋 
              元祖の店構え(堺・宿院)

チンチン電車の停留所、宿院から歩いて2~3分ほどの距離。時代から取り残されたようなセピア色の一軒家。それが本家小嶋で、創業が何と室町時代末期・天文元年(1532年)。ややこしい話だが、高島屋はじめデパート展開をしている「堺 小島屋」はまったくの別会社。こちらは江戸時代中期の創業で、本家小嶋の歴史には及ばない。気が遠くなるような話だが。
              本家小嶋① 
              483年の暖簾

ここで村長は芥子餅と肉桂餅の箱入り(各3個入り 920円)を手に入れた。その時の女将との会話。女将は感じのいい丁寧な人柄だった。
              本家小嶋④ 
              時空を超えて

「初代小嶋吉右衛門から数えて、当代で20代目になります。遡りますと、元々が薬種問屋で貿易商だったようです。そのせいで中国やインドシナから芥子の実とか肉桂とかが手に入ったようです」
「創業当時はちょうど千利休が10歳くらいだったことになりますね。その後茶人となり、やがて信長、秀吉につかえる。利休は芥子餅も茶席に出していたようで、ここの芥子餅を出していた可能性が高い」
「それはあったでしょうね」

ウマズイめんくい村に持ち帰って、賞味となった。利休の絵の入った紙包みを解き、きれいな箱を開けると、一個ずつ区切りされた芥子餅と肉桂餅が現れた。芥子餅(ケシもち)は見事なケシの実がびっしりと表面を覆い、肉桂餅(ニッキもち)は表面がでん粉で覆われていた。大きさはそれぞれ3~4センチほど。
              本家小島① 
              おや利休さん?
              本家小嶋 
              いざ戦国の世へ
              本家小嶋① 
              神様か?

まずは芥子餅(ケシもち)。口中に入れた途端、ケシの実の香ばしさが鼻腔を抜け、餅の柔らかさと伸びがとてもいい。こしあんはきれいで極めて控えな甘さ。風味が立ってくる。利休の時代に同じようなこしあんがあったかどうかはわからないが、芥子餅は変わっていないはず。ケシの実のプチプチ感と香ばしさも只事ではない。感動を超えるさり気ない絶妙。
              本家小嶋② 
              芥子餅㊧と肉桂餅㊨
              本家小嶋③ 
              ケシの実がびっしり
              本家小嶋⑤ 
              うむむむ

肉桂餅(ニッキもち)はニッキ(シナモン)の香りがきつくない。餅にもニッキが練り込んでいて、さらにこしあんにもニッキが入っている。芥子餅と同じように実にていねいな作り。気品のあるニッキ餅で、どこかの和菓子屋のように過剰な説明がない。むろん添加物など入っていない。賞味期限はその日から二日間。
              本家小嶋⑥ 
              肉桂餅の凄味

女将は「なるべく本日中にお召し上がりください。時間が経つと餅が固くなります」と言葉を添えた。本物はやはりさり気ない。ところで、グルメ仙人先生は本家小嶋の暖簾をくぐったことがあるのだろうか・・・今度、糸電話で聞いてみようっと。

本日の大金言。

堺にはいい和菓子屋が隠れている。戦国の世に世界を相手に覇を唱えた堺の歴史の一片。奈良や京都と違う味わいがチンチン電車の先にある。



                          本家小嶋⑦ 




 
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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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